不動産投資への注目は依然高く、特に新築物件への投資の人気は根強い。ただ今回はあえて中古マンションへの投資について考えてみたい。

昨今、不動産市場は盛り上がっているが、これは新築に限ったことではなく、中古市場においても同じことがいえる。特に首都圏では中古マンションの価格上昇が続いている。中古マンションは新築と違って、建設コストが高くなったからといってその価格が上がることはない。しかし新築マンションの価格が上がるとつられて上がる傾向がある。中古マンションの価格が上がっているのは、新築マンションが高くなっていることがその一因として考えられる。

だが物件の価格が上がっている中でも、賃料はそれほど上がっていない。その結果、利回りが一時期と比べて決していいとはいえない状況にある。こうした状況下で、投資でいい結果、利益を生み出すためには、いい物件を見つけ出すことが不可欠だ。当然、それは容易なことではない。お宝物件を見つけ出し、さらにはうまく管理・運営を行い、利益を生み出すにはコツが必要だ。

中古マンションの特徴

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(画像=PIXTA)

まず中古マンションの特徴を簡単に把握しておこう。中古マンションは新築と比べるとあらゆる面で自由度が高い反面、手間がかかる。

たとえば物件情報を得るにも、新築なら不動産会社がチラシをまいたり、情報誌や電車、Webサイトに広告を出したりとあらゆる宣伝をするものだが、中古は新築ほどアピールされない。だから情報を得るのがそう簡単ではない。住宅情報のサイトをこまめにチェックしたり、懇意にしている不動産業者にコンタクトしたりする必要があるのだ。

価格面でも、中古は売主や仲介してくれる不動産会社に対する交渉の仕方や、両者の思惑などによって大きく価格が動きやすい。規模にもよるが交渉次第で数百万円、価格が動くことは珍しいことではない。事前対策として、競合となる物件の状況や周辺の相場、空室率などの情報をしっかり把握したうえで交渉に臨む必要がある。

また物件を購入した後にリフォーム、リノベーションをほどこして賃貸に出すなど、使い方の面でも自由度が高いのが特徴であり醍醐味である。そしてこれらの特徴はメリットにもなるしデメリットにもなるといっていいだろう。

コツ1 女性のニーズを把握する

いい中古物件を見つけ出すために考慮したいポイント、コツはいくつかあるが、その第一は女性のニーズをしっかり把握することだと考えられる。

まず入居者ニーズを把握することの重要性を否定する人はいないだろう。いくら物件の表面利回りが高くても、入居者がいなければ空室ばかり増えて収益にはつながらない。当たり前のことだが、「満室になったらこれだけ収入がある」のは、あくまで「満室になったら」という前提があってこそなのだ。

たとえばワンルームのターゲットは単身世帯だし、複数の部屋があるマンションには家族や夫婦が住むだろう。この場合、いずれも年代や男女の違いによって微妙にニーズが異なることになる。とはいえ、ターゲットすべてのニーズに合わせた物件選びは難しい。そこで女性のニーズの把握が物件選びの「コツ」と考えられるのだ。

なぜ女性のニーズを把握することがコツと考えられるのか。たとえばファミリー層でも主婦の意向が反映される。一人暮らしでも、女性が住みたがる物件にすれば、男女両方のニーズをとりきれる可能性があるからだ。

女性ニーズをおさえるうえで重要なポイントになるのは治安の良さだ。最寄り駅から物件まで女性が一人で歩ける環境であることが望ましい。途中にコンビニがあることは必須だが、遅くまで営業しているスーパーやオシャレな飲食店があるとポイントは高いだろう。駅から物件までの間で、一人歩きできないような箇所を通らないとたどり着けないような物件は避けたい。

セキュリティは重要だが、オートロックや防犯カメラ、常駐の管理人がいる物件は価格が高くなってしまう。しかし、周辺環境がよければ、それらのセキュリティ設備は、一般的な物件が備えているもので十分と考えられる。

コツ2 表面利回りよりランニングコストに注目する

コツの2番目は、ランニングコストにしっかりと注目することだ。

築古の物件は価格が安く表面利回りは高くなる。だが古い分、想定外の修繕費が必要になってしまう可能性がある。このため、購入時点で、新耐震基準を満たしていることや、定期的にしっかりとメンテナンスが施されている物件を選んだほうがいいし、そうした物件を選ぶことがランニングコストの軽減につながるのだ。

そもそも物件の費用について考える時、物件価格や賃料は初心者でも思い浮かぶ要素だろうし、物件資料にこれらの額は比較的分かりやすい形で明示されている。だがランニングコストについては忘れられがち、ことに初心者にはランニングコストがどれくらいかかるかイメージがつかない人もいるはずだ。だからこそこの点にはしっかりとフォーカスしておく必要があると考えられるのだ。

区分所有の場合、管理費や修繕積立金は駐車場の有無や形状、共有施設の充実度によって異なるものだ。当然、総戸数が少なければ区分所有者の負担は大きくなってしまう。その負担に比例して賃料を高くできれば問題ないが、賃料が高ければなかなか入居者はいないだろうから、相場に比してそう高くできるものでもない。

入居者にとって共有施設が充実した施設、居住環境は魅力的だ。だからといって入居者の側に立って考えた時、「いい物件には賃料はいくらでも払う」という人ばかりではないはずだ。投資する側からみれば、ランニングコストが高い物件は収益性が低いだけではなく、空室になった際に大きな負担になってしまうことも忘れてはいけない。

実質利回りの良い物件選ぶコツは、価格と賃料、費用の見極めることであり、そのためには忘れられがちなランニングコストに注視することと言っていいのではないだろうか。

コツ3 表示された徒歩分数ではなく実態を確認しておく

広く知られていることだが、物件案内に表示されている「徒歩●分」という分数は80mあたり1分という距離だけを目安にしている。実際には、急な坂道があるといった途中の道の形状が考慮されているわけではない。また、駅の改札口ではなく出口からの距離なので、改札口から出口までの通路の距離は含まれていないのだ。

たとえば地下鉄の駅を想像してみてほしい。「○番出口から5分」と表示されていても、改札口から出口まで5分以上歩くケースは少なくない。特に新しい駅は構内が広く(深く)つくられている。地下であれば雨風にさらされることはないが、目的の物件に到達するまでの実質的な徒歩分数は10分以上になってしまう。

この場合、その物件が「最寄り駅から5分以内」というのは入居者が選ぶ際に重要なポイントになるはずだ。実質的な徒歩分数が10分を超えるとなると賃料に大きく影響してくる。そうなると入居率(空室率)にダイレクトに影響するだろう。

現地に足を運んで実態を把握すること。駅から物件までの間にどんな施設があるか、信号の数や坂道の有無なども含めて自分が把握しておくことが、その物件での投資を成功に導く重要なコツの一つといえるのではないだろうか。

コツ4 仲介物件より売主物件を選ぶ

物件を購入する際、売主物件を選ぶこともコツといえるだろう。経験者であれば当然把握していることだろうが、「仲介物件」はあくまで“仲介”であって売主が別にいる。だから物件の価格以外にも仲介手数料が必要になるし、物件価格の交渉をするにしても直接できるわけではないので、費用も時間もかかってしまう。もちろん売主物件は宅建業者が売主になるので仲介手数料が発生しないので、同じ物件価格でも投資総額を低く抑えられるわけだ。

売主物件のメリットはこれだけではない。たいていの場合、売主である宅建業者が入居者募集や物件の管理を請け負ってくれるのだ。客付けや管理なども自分が選んだ会社にお願いしたい、または自分でやりたい、という人でなければ、こうした点も任せられるのはメリットといえるのではないだろうか。

このようにワンストップで話が進められれば手間が省けるだけでなく、後々まで面倒を見ることになるので、よくない物件をつかまされる可能性を下げられるのではないだろうか。

中古マンション投資を成功させるために、物件選びの際におさえておくといいコツをまとめてみた。あくまで一つの考え方である。別のエリアや、相場環境やトレンドが変われば通用しないものもあるかもしれないが、この考え方を応用しながら、自分なりの成功セオリーを見つけてほしい。(ZUU online編集部)