日経平均予想レンジ20,950~21,903円

伊藤嘉洋,株式相場見通し
(画像=PIXTA)

今週は、米国株高の流れを好感して日経平均は3日続伸から節目となる22,500円台を一時回復した。その後、パウエルFRB議長の議会証言後の米金利上昇や、トランプ大統領による鉄鋼、アルミ製品に対する関税方針表明を受けた米国株の大幅続落から、リスク回避の流れが強まり、21,088円迄売られ、週末は21,181円で終了した。

海外の焦点

27日パウエルFRB議長は議会証言で、「米経済成長とインフレに対する自信が強まっている」と発言。その上で、米経済の過熱リスクと成長を軌道上に保つことのバランスをとると確約し、段階的な利上げを実施する方針を堅持すると表明した。ただ、後手に回り経済が過熱すれば利上げペースを速める必要があるとも表明したことで、FRBが一段とタカ派的なスタンスに転換する可能性があると受け止められた。

又、トランプ大統領は鉄鋼輸入品(25%)、アルミ製品(10%)に関税を課す方針を来週にも発表すると表明した。これを受けて外国製品に対する価格競争が増す鉄鋼株が買われる一方、貿易摩擦激化などへの懸念から自動車関連株中心に幅広く売られ、ダウ平均は3日続落で1,000ドル下げた。米国の輸入制限に対し、中国や欧州などがどのような対応を取るのか注目される。

国内の焦点

4-12月期企業決算発表が終了した。3月期の経常利益予想は12.7%増、純利益は30.1%増と4-9月期の17.1%から大幅上方修正された。2018年3月末の予想EPSは1,690円(3/1)と過去最高となった。日経平均の予想EPSが上昇したのは米法人税率引き下げによって繰り延べ税負債が減少した企業が目立ったためと考えられる。ただ、米法人税率の引き下げの影響は一時的であることに加え、12月調査の日銀短観での下期想定レート109円66銭を上回る円高となっていることもあり、来年度企業業績は伸び悩む可能性が高まっていることには留意しておく必要はあろう。

チャート面では、2/14の20,950円を底値として、2/27の戻り高値22,502円で、一旦自律反発は一巡したと考えられる。日足が25日線で押し返される格好となり、日柄的な調整が一段と進む展開が視野に入る。目先的には、下値模索となった際、2/14安値20,950円に対する2番底を探る展開であり、200日線の位置する21,179円はPER12.53倍となり売られ過ぎ水準だけに、ここで踏み止れるかがポイントとなる。

来週の株式相場

以上、来週は米国株、米金利、ドル円相場を睨んだ下値固めの中、3月相場入りで好業績株や自社株買い、増配など株主還元策に前向きな企業を個別に物色する流れの強まりが想定される。日経平均のレンジは上値は5日線の21,903円が意識され、下値は2/14安値20,950円が目処となる。

伊藤嘉洋,株式相場見通し
(画像=岡三オンライン証券)

伊藤嘉洋
岡三オンライン証券 チーフストラテジスト