【週間株式展望】

今週(3/5〜3/9)の日経平均は2万0500円から2万2000円とやや幅の広いレンジを想定している。

日本株は海外要因に振り回される展開が続いている。東証1部の売買代金は年初来の最低水準に落ち込んでおり、メジャーSQを9日に控え海外市場の波乱が続くなら、先物主導で薄商いの中、日本株も乱高下する可能性がある。

2月14日につけた2万0950円のVIXショック後の安値を下抜けるなら2万500円程度までの下げを想定しておいたほうがよさそうだ。安値を抜かずに戻りを試すなら今回の「トランプショック」の窓埋め2万2000円がターゲットとなる。

先週(2/26〜3/2)の日本株は大幅反落、日経平均は週間で711円14銭(2.5%)安の2万1181円64銭で商いを終えた。

日本株は前半と後半でセンチメントが一変してしまった。日経平均は27日にザラ場で2万2502円の「VIXショック」後の戻り高値でほぼ半値戻しを達成したが、「トランプショック」で一転下落に転じ3月2日には2万1088円のザラ場安値をつけた。VIXショック後の2番底であり、1番底をブレークするようだと調整は長引く可能性が大きい。テクニカル上の重要なポイントを迎えている。

相場が一転したのは、米国が鉄鋼、アルミに関税を課し輸入制限をするとの報道がきっかけ。今週にも正式発表する見通しで、発動されれば米国の輸入制限は36年ぶりとなる。世界の保護主義化に対する懸念からEUや中国などは米国に対する報復措置も辞さない構えだ。今回の下落は新たな「トランプショック」と言われ始めている。

さらに、世界景気のピークアウト懸念がある。2日に発表された中国2月の製造業購買担当者指数(PMI)は50.3と1月の51.3を下回り、コンセンサスの51.1も下回った。50が景況感の分かれ目となるが、そのギリギリのレベルまで低下した。PMIは世界の景気の先行指標として重要視されている指標。世界景気のピークアウトと保護貿易が重なれば景況感が低下するのは避けられないだろう。

今週は9日にメジャーSQがある。メジャーSQは3カ月に1度重なる日経平均先物とオプションの決済日が重なる日であり、出来高が急増すると共にSQ前は先物・オプションのポジションヘッジで相場のボラティリティが上がる傾向がある。

NYダウは「トランプショック」で4日続落、27日の戻り高値から2日のザラ場の安値まで週間で一時1500ドルを超える下げとなった。週間では前週比771ドル安の2万4538ドルで引けている。もっとも、2日のNYダウは一時391ドル安あって下げ幅を縮小しての70ドル安と下ひげの長いチャートをつけた。下ひげが長くて反転しても、プラスにまで行けないところが今の相場の不透明感を表している。

NY為替市場でも、ドル円は2月16日の円の高値105円55銭をブレークし、一時105円24銭と16年11月の前のトランプショック以来の円高水準をつけた後に、105円80銭まで戻した。

CMEの日経平均の夜間取引でも一時20685円とVIXショックの安値をブレークするところまで下げたが、その後2万1165円と2日の大阪先物の引け比35円高まで戻している。

主要商品に下ひげの長いチャートが出ており、目先底打ち可能性も強いが、輸入制限とその制裁の流れ次第ではリスクオフになるとの懸念は払拭できない。まずは2万0950円の重要なポイントを割るかどうかを見極めたい。

ファンダメンタルズで日本株は割安感が出てきてはいる。株の調整と企業業績の上方修正で、日経平均のPERは12.5倍とここ数年のレンジの下限である14倍を下回っている。ただ、3月1日発表の10〜12月期の法人企業統計で、日本企業の経常利益は6四半期連続の増加となったものの、増益率は0.9%増と過去6四半期中最低の伸び率となった。円高が続くなら1〜3月期の経常利益は減益に転じかねない。

週間為替展望 

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(画像=ZoneCreative/Shutterstock.com)

今週(3/5〜3/9)のドル円は104円50銭から107円50銭とやや幅広いレンジを想定している。

世界の保護貿易化と中国景気スローダウン懸念でNY株が急落、リスクオフの円高が進んだ。今の為替市場は株の動きを見ながら動いている感が強い。今週は焦点となる米国の輸入制限が正式発表される見込みで、米国に対する制裁措置も浮上する可能性が強く、円は高値波乱が続くと見ている。

先週(2/26〜3/2)の東京為替市場で円は大幅反騰、ドル円の2日の東京インバーバンク間の17時のレートは前週末比1円28銭の円高の105円75銭だった。

米国株がVIXショックから順調に戻したため、有事の円高の巻き戻しで28日には107円52銭まで円安が進行した。ただ、米国株が保護貿易懸念の「トランプショック」で27日からNYダウは一時1500ドル以上下落したため、有事の円高に転じてしまい2日には週間安値の105円71銭をつけた。

2日のNY為替市場では。円は2月16日の直近高値105円55銭をブレークし105円24銭と16年11月の前のトランプショック以来の円高水準をつけた。

チャート的には、次は16年9月につけた100円09銭まで大きな節目はない。世界的混乱からリスクオフの円高が続くなら105円突破の可能性もある。ただ、前回105円台をつけた16日に、菅官房長官や浅川財務官は円高牽制と思われる発言をしたため、105円台は政府が警戒するレベルだとも見られている。市場がレベルチェックをしに行く可能性はある。

2日のNYダウは一時391ドル安あって下げ幅を縮小しての70ドル安と下ひげの長いチャートをつけた。下ひげの長いチャートの出現で短期的には底入れの可能性もある。株が戻りに転じればドルも戻りを試す展開となるだろう。戻りは20日移動平均線の107円50銭が目処になりそうだ。

今週9日の米雇用統計、13日の米CPI、20〜21日のFOMCと世界の金融市場を左右する重要な日程が続く。12〜13日には米国債の大量入札が予定されている。今週から中国全人代が始まり米国への報復措置が出てくる可能性もあるだろう。

【今週のイベント・経済指標】

<日本>
5日 日銀副総裁候補の雨宮氏、若田部氏の所信徴収@衆院
6日 30年国債入札
7日 景気動向指数
8日 GDP改正値、景気ウォッチャー調査、オフィス空室率
8〜9日 日銀金融政策決定会合 9日黒田総裁会見
9日 メジャーSQ、家計調査

<海外>
4日 イタリア総選挙
5日 中国全人代開催(〜中旬まで)、米ISM非製造業景況指数
6日 米製造業受注
7日 米ベージュブック、米ADP雇用統計
8日 ECB定例理事会、中国貿易収支
9日 平昌パラリンピック開催、米雇用統計、中国CPI・PPI

(ZUU online 編集部)