日経平均予想レンジ21,216~21,884円
今週はトランプ大統領の保護主義的な米通商政策に対する懸念が尾を引き4日続落から週初には年初来安値20,937円まで売り込まれた。その後、輸入関税導入を巡って態度を軟化させたとのとの見方から買い戻され、週末は21,469円で終了した。
海外の焦点
米国市場は不安定な動きが続いている。パウエルFRB議長は議会証言で米経済について強気の見通しを示し、ダウ平均は2/2725,800ドルまで上昇した。しかしトランプ大統領の鉄鋼・アルミニウムの関税導入方針とそれに対する外国の反発が米国株を一気に曇らせ、ダウ平均は24,217ドルまで1,580ドル超の反落となった。
今週に入ってからはコーン米国家経済会議(NEC)委員長の辞任を受けてトランプ政権の経済通商政策に対する先行き不安が広がっている。こうした中、8日トランプ大統領は15日後に鉄鋼25%、アルミ10%の関税を適用すると正式発表。除外対象はカナダ、メキシコの2カ国にとどめ、日本など他の同盟国については安保、経済両面の協議次第で除外する可能性を残した。
トランプ大統領はこれまでの交渉事では先手を打ちこれをてこに他の交渉を有利に進める狙いが窺える。ただ、主な標的とされる中国は報復措置を警告、EUなども反発し貿易戦争に発展する火種は残る。
国内の焦点
内閣府が8日発表した2月の景気ウォッチャー調査では景気の現状判断DIが48.6と前月比1.3ポイント低下、昨年4月以来の低水準となった。野菜価格の高騰や大雪などが消費を下押ししたほか、原材料価格の上昇に伴う企業採算の悪化なども影響して3ヶ月連続の低下となった。
テクニカル面では昨年9月に続き今年2月と3月ともに200日線でサポートされており、目先の下値目処となる。2/14安値20,950円と3/5安値20,937円でWボトムが形成されているだけに底入れ感は強まっている。当面2/28の窓埋め22,068円が戻り相場での上値目処として意識される。25日騰落レシオは80%台に下がった上、PERは12倍台、EPSは1,697円と過去最高水準にあることから下落局面では割安感も意識され買いが入りやすい状況にある。
来週の株式相場
国内材料に乏しい中、海外要因に左右されやすい。米国の通商政策や2月雇用統計を受けたインフレ加速や金融情勢を見極めたい姿勢は強く下値固め継続となろう。日経平均レンジは上値は3/9高値21,884円が目処。下値は200日線21,216円が抵抗線となろう。
伊藤嘉洋
岡三オンライン証券 チーフストラテジスト