高度成長期を支えた年功序列や、終身雇用という日本的な雇用システムが崩れ、労働市場は激しく変革を遂げています。企業が少子高齢化による人材不足という課題に取り組む中、「人事評価制度」や「従業員エンゲージメント」に注目が集まっています。
査定のための評価制度は終わり、企業にとって人事的に機能する成長戦略の一環として位置付ける時代です。従業員エンゲージメントは社員の企業への貢献意欲を意味し、高めることで業績がアップすることが分かりました。中小企業の成長に人事評価制度やエンゲージメントが不可欠な理由を考えます。
相互に補完し合う人事評価制度とエンゲージメント
政府が掲げる「働き方改革」に見られるように、仕事への価値観や働き方、企業のあり方などが大きく変遷しています。これに伴い、中小企業の人事評価制度も時代の流れに応じて的確に変えなければ機能しません。
少子化に伴う中小企業の人材不足はかなり深刻で、絶対数が足りないことで、さらに厳しさが増しています。社員にとっては、従来のように雇用や生活を会社に保障してもらえる時代は過ぎ去り、従業員エンゲージメントの低さも顕著です。多くの企業では社員の入れ替わりも激しく、ようやく人材を確保しても人材育成する機会さえ逃しているのが実情です。
そこで政府は働き方改革の一環として、人事評価制度を導入する企業に助成金を交付するサポートを行っています。企業が独自に工夫、努力することで社会全体の力を底上げし、国としての総力に繋げることが期待されているのです。
そこには、企業の成長に欠かせない社員にフォーカスし、相互に補完し合う関係にある人事評価制度と従業員エンゲージメントが不可欠です。
評価制度が適切なら社員のエンゲージメントは向上
今、中小企業の人材育成で大きな効果を発揮しているのが人事評価制度です。設定された目標に向かって社員は行動し、有効な方法を学び取り、業務の効率化に努めます。適切な評価制度のもと、目標達成への試行錯誤を繰り返し、上司や管理職とコミュニケーションを図り、アドバイスやサポートを受けながら社員は成長します。
評価制度は企業の方針や目標を明確に示すもので、社員の理解に寄与するものであるべきです。上司の主観に寄らず、客観的で透明性のある公平な人事評価制度があれば、そのシステムを理解している従業員は納得して企業のために働きます。
従業員のエンゲージメントが高まり、スキルや能力がアップすれば、企業の業績がアップすることは、世界的なコンサルティング会社で知られるウイリス・タワーズワトソンの調査で明らかになりました。社員の目標設定が企業のビジョンや方針と同じベクトルであれば、従業員がやるべき業務が明確になります。このような社員が増えるほど生産性が向上し、企業の業績はアップするのです。
評価制度を企業の組織強化に活用する
企業が適切な評価制度を導入、運用して得られる効果は、組織の目標や課題を克服する経営戦略となります。ただし、採用する評価制度の内容次第で、機能や効果は異なるのです。そこで組織を強化し、中小企業が成長するための人事評価制度とするには、以下のポイントを抑えた最適なシステムであることが重要です。
● 目的の明確性
社員の成長や人材育成という積極的な目的意識を明確にすることで、効果は大いに期待できます。従来の昇給や昇進を決めるためだけの査定が目的という時代は終わりました。
● 評価基準の透明性と共有
一部の主観に基づく評価基準や、プロセスが不透明では、社員の共感を得ることはできません。社員が納得できる評価制度とするには、評価基準や項目の適切さなどが社員間に共有されることが必須です。
● 公平で客観的な絶対評価
各々に設定された目標に向けた取組みや進捗状況などを常に絶対評価し、公平で客観的なものであることが欠かせません。
● 納得できる評価内容
信頼性がある評価制度とは、結果について社員が納得できるものです。結果に対する明確な説明や根拠が必要で、絶対評価を採用することで社員の納得度はさらに高まります。
以上により、中小企業の成長には組織を強化できる人事評価制度や、エンゲージメントが必要だということが明確になったのではないでしょうか。(提供:あしたの人事online)
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