適切な「人事評価制度」があれば、優秀な社員ほどエンゲージメントが高まります。なぜなら、主観を排した、公平で透明性のある評価基準や項目で結果を出せば、昇給や昇進を目指せるからです。評価制度はこれまで、社員の能力や業績などを査定し、昇給や昇進に反映させるものでした。

今では企業の経営方針や業務計画に基づいて社員の成長を促し、成果を引き出すことが大きな目的なのです。努力が報われるなら、社員のエンゲージメントは高まります。評価制度が社員の成長を支えるためには、何よりも社員の理解や納得が必須です。それには評価基準が適正で、客観的に公平で透明性のある絶対的な評価が不可欠。社員の成長に評価制度とエンゲージメントが強い味方である理由を解説します。

社員の成長に適切な人事評価制度が必要なわけ

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(写真=fotohunter/Shutterstock.com)

企業の方針や目標に向かって社員がエンゲージメント(貢献意欲)を高め、努力し、成果を上げることで、生産性は向上し、業績はアップします。そのためのカギを握るのが、適切な人事評価制度の導入、運用です。

● 業務の目的や方向性を与える
社員個々の能力を適正、公平に判断し、定期的に評価することで、成長への意欲を引き出します。社員がエンゲージメントを高めると、効率化や生産性の向上が見込めるのです。定期的な評価はマンネリ化を防ぎ、社員一人ひとりが主体的に自己の目標に向けて業務に取り組み、企業は全体として業績の底上げに繋がります。

● 人材育成システムの一つ
評価制度は従来、昇給や昇進などの査定面が中心でした。給料のアップや役職、管理職などへの昇格は確かに社員のエンゲージメントと密接に関わっています。それに加え、人材を育成するために、評価制度を有効活用し、社員のスキルや能力、業績などを的確に把握することで社員教育やマネジメントに活かすことが大切です。

● 社員の成長は企業、組織の活性化
企業が掲げる目標に向かって社員が能力を伸ばし、成長することは、会社の継続的な発展や業績のアップに欠かせない要素です。適切な評価制度に基づいて査定することで、社員の成長だけでなく、企業業績の向上にも大きく貢献するのです。社員の高まったエンゲージメントが他の社員にも波及すれば組織は活性化します。

人事評価制度が適切に機能するためには

人事評価から導かれた結論は経営戦略上、社員の成長はもちろん、企業にとっても欠かすことができない貴重な将来への財産となります。そこで得られた情報は、今後の社員教育やマネジメントに効果的に活用しなければなりません。

● 公平で透明性のある信頼の置ける評価制度
社員それぞれの業務への進捗状況が、定期的な人事評価から可視化できるシステムが必要です。一部の上司や管理職の主観だけによらず、公平で客観的な透明性のある絶対評価は、プラスとマイナスともに社員の納得を得るものです。前提として、スキルや能力、貢献度などを適切に評価できる人事評価制度であることが重要になります。

● 社員の成長へ経営戦略と事業計画を明確化
人事評価制度を企業の業績アップや社員のエンゲージメントを高め、成長を支えるものにするには、会社の経営戦略と事業計画に沿ったものであることが必要です。会社の目指す方向と異なれば、結果的には無関係となってしまいます。目標設定は、適正で明確な方針が求められます。

● 全社員が納得できる評価基準
人事評価の基準や項目は、社員すべての理解や納得が重要です。不平や不満が募る評価基準では逆にエンゲージメントは低下し、最悪の場合は離職となってしまいます。透明性のある評価基準や項目を社員が共有し、納得できるものであることが重要です。

社員の成長のためには評価制度とエンゲージメント

適切な人事評価制度の導入、運用で社員がエンゲージメントを高め、機能すれば、優秀な人材をスキルや能力によって適材適所に配置できます。これは各社員のエンゲージメントをさらに高め、組織全体の生産性アップへと拡大します。

社員間に行き渡り、信頼される人事評価制度は、個々の社員が査定結果を受け入れやすくなります。これが次への成長やステップに繋がります。さらに従業員のエンゲージメントが高まると、会社にとっては無くてはならない貴重な人材への成長と繋がります。(提供:あしたの人事online


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