業務上や通勤途中で被った傷病には労災保険が役に立ちます。治療費は全額支給され、休業して給料が支給されない場合には一部ですが補償されます。業務外の傷病は治療費の3割を負担しなければなりませんが、健康保険がありますので経済的負担を抑えることができます。また、健康保険にも休業により給料が十分にもらえない場合に支給される傷病手当金があります。

このように社会保険制度が充実していても、民間の医療保険は必要でしょうか。労災保険や健康保険から保険金や給付金を受け取ったら、民間の医療保険からは受け取ることができないのでしょうか。社会保険と民間の医療保険の関係について解説します。

労災保険の基本的な補償内容や健康保険との違い

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(写真=zimmytws/Shutterstock.com)

労災保険は、仕事で被った傷病等(業務災害)や通勤途中で被った傷病等(通勤災害)に対して補償される社会保険制度です。社会保険制度には、健康保険(会社員等が対象)もありますが、こちらは業務外が対象となります。また、労災保険の保険料は事業主の負担となっています。

労災保険の補償はいくつかありますが、業務災害や通勤災害により治療を受けた場合の治療費は全額支給(療養補償給付)され、業務災害や通勤災害により給料を受け取れなくなった場合は、休業の4日目から「給付基礎日額」の80%(20%の特別支給金を含む)相当額が支給(休業補償給付)されます。

一方、健康保険は窓口で治療費の3割を支払わなければなりません。健康保険料を半分負担している点も労災保険とは異なります。しかし、労災保険の場合、業務との因果関係が重要となります。たとえば、勤務の休憩時間の私的な行為による災害は業務災害と認められませんが、仕事が原因で持病が悪化した場合には認められるケースもあります。このように労災保険の場合は、労災認定がなされるかどうかがポイントとなってきます。

社会保険(労災保険や健康保険)だけでは不安な点

これまでの内容で社会保険制度だけでかなり充実していることがわかるでしょう。しかし、保険は、それぞれの要件を満たなければ保険金や給付金を受け取ることができません。前述の通り、労災保険は業務上・通勤途中であれば治療費が全額支給され、休業した場合には「給付基礎日額」の80%が支給される補償もあります。 逆にいえば、業務上や通勤途中と認められず、労災認定されなければ労災保険からの補償は一切ありません。また、休業した場合、給付基礎日額の80%しかもらえないため、生活自体が不安定になる可能性もあります。

健康保険は業務外の傷病等が対象で、3割負担であることは前述の通りですが、健康保険は原則、保険適用できる治療に限られます。治療費の3割は負担しなければならず、保険適用外の治療が必要な場合には全額自己負担しなければなりません。高額療養費制度で自己負担額はおさえられていますが、長期の治療となった場合は治療費が積み重なり、負担も大きくなるでしょう。

民間の医療保険の活用方法

では、民間の医療保険はどのように活用すれば良いのでしょうか。民間の医療保険は、社会保険に保障を上乗せする保険と考えられます。社会保険の不足部分を補うのが民間の医療保険の役割です。労災保険や健康保険から保険金や給付金を受け取っていても、民間の医療保険からは契約通りの金額を受け取ることができます。また、複数の医療保険に加入していた場合も支払事由に該当している場合は、それぞれから受け取ることができます。

民間の医療保険は、負担した治療費とは関係なく、支払事由を満たせば保険金や給付金を受け取ることができる点も心強いでしょう。近年は、持病があっても申込できる保険も販売されていますので、必要性を感じたときに準備できる可能性が広がっています。

ただ、民間の医療保険は、基本的に年齢が上がるにつれて保険料が高くなります。保険料が一定の商品もありますが、いずれにしても、保険料が必要になるので、「多くの種類の保険に加入するのは難しい・・」という人も多いのではないでしょうか?どのような保障があれば安心か、どのような傷病のときに家計の負担になるかなど、十分検討して保障内容を絞り込んだうえで加入する必要があるでしょう。(提供:保険見直しonline


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