「お金持ちの住んでいる街」と聞いて、どのようなイメージをお持ちだろうか。日本で高収入のビジネスマンが住んでいるところといえば、都心のタワーマンションや、田園調布、松濤を連想する人も少なくないだろう。確かにこうしたエリアは昔からの高級住宅街であり、あこがれのブランドエリアとされてきた。

しかし、アメリカンドリームを掴んだハリウッドスターがビバリーヒルズに住むように、真のお金持ちは意外なほど郊外に住んでいるのである。それが兵庫県にある「六麓荘町」であり、日本最高峰の富裕層が住むエリアなのだ。今回は真のお金持ちしか住めない六麓荘について取り上げたい。

六麓荘,高級住宅街
(画像=Vadim Ovchinnikov/ Shutterstock.com)

富裕層は丘を目指す

昔から高級住宅街は高台にあるという鉄則がある。東京都内でもヒルズと名が付くエリアには高級マンションがずらりと軒を連ねているし、田園調布も駅前こそ平坦だが、数分移動すると高低差のある街並みを見せる。そして、六麓荘もご多分に漏れず、高台に位置している。なぜ富裕層は丘に住んでいるのだろうか。

個人的見解だが、「丘の上は相対的に安全だから」という理由からではないだろうか。一代で大きな財を成したIT起業家ではなく、本当のお金持ちは代々続く資産家であり、彼らは基本的にずっと同じ場所に住み続けている。だが、地震や水害といった自然災害に見舞われるような場所であれば、引っ越しを余儀なくされるので、住み続けることは出来ない。また、街のレベルはすなわち住んでいる人のレベルの集合体であり、住んでいる人の社会的地位が街の安全性にも反映されるので、富裕層エリアは、そうでないエリアに比べて犯罪発生率も低いのは容易に想像できるだろう。

こうした理由から、「安全で代々住み続けられるエリア」として彼らは丘に住んでいると考えられる。安全な場所に住む、ということは人が生物としての生存本能として持っているものでもある。

町会への入会金は50万円

田園調布や松濤、白金といった東京の富裕層エリアは極めてオープンに情報が公開されている。メディアにもその暮らしぶりについて取り上げられることがある。

しかし、六麓荘はそうではない。町内会がとてつもなく大きな力を持っており、それにより秘密のヴェールに包まれているのである。町内会のサイトによると、町会への入会金はなんと50万円というからまさにケタ違いだ。この町内会は同エリア内で強い影響力を持っており、六麓荘の景観やセキュリティを保つ活動に余念がない。町内会では各種メディアの取材を断っており、それ故に知名度が低い。

そして景観の美しさを極めて重要視していることから、電線や電話線は地下に埋設されており、一切の商業施設、つまり店舗やコンビニ、郵便局まで存在しないという徹底ぶりだ。また、新しく住居を建てる場合は「敷地面積400㎡(約121坪)以上の2階建以下の一戸建個人専用住宅」に制限されているという。そして住居の建設と増改築には町内会の承認が必要というから驚くしかない。また、六麓荘倶楽部という町内会で建てた共有施設があり、無償で使えるスペースもあるという。

誰が住んでいて、なぜ住んでいるのか?

日本最高峰の富裕層エリア、六麓荘にはどんな人が住んでいるのだろうか。江崎グリコ、武田薬品、UCC上島珈琲など有名企業の会長や社長の他、B’zの稲葉さんや天童よしみさんが住んでいると言われている。このクラスになると、年収や資産は、庶民には想像できない額になるだろう。

六麓荘はハッキリいって住みやすいエリアとは言えない。コンビニをはじめとする一切の商業施設はないし、丘の上にあるので駅徒歩数分というわけにはいかない。一般人にとって極めて不便ではあるが、それ故に集まってくる人たちは一般人ではない。買い物に不便でも、使用人がいればお願いをして買ってきてもらえばいいのだし、毎日猛烈に朝から夜まで働いて稼ぐ、という生活でもないだろう。

お金持ちはお金持ち同士での付き合いを好むと言われる。あえて不便なエリアに住むことで、そこに集まってくる人たちは結果的に、同じようなクラスの富裕層ばかりになるというわけである。(黒坂岳央、高級フルーツギフトショップ「水菓子肥後庵」代表)