富裕層のオーダーメードへのこだわりとは
最近は「クールビズ」などといって、ビジネスの場でもカジュアルな服装が許されるようになってきたが、やはり、多くのビジネスマンにとって、スーツは制服であると言っても差し支えないだろう。しかし、スーツは既製品で済ませ、「仕立てたスーツまでは・・・」という人が多いのではないだろうか。
対して、富裕層は高価なオーダースーツを身にまとい、服装にもこだわりをみせる。なぜ、富裕層はオーダースーツを着るのか。 富裕層のスーツへのこだわりを探ってみる。
オーダースーツを着るメリット
富裕層は日々、多くの人と会って大きなビジネスを動かしている。ビジネスにおいて、大事なのは第一印象。体にフィットした高級感漂うスーツを、ビシッと着こなして現れれば、相手も一目置くだろう。ただ、オーダースーツのメリットは、そんな見た目の良さだけではない。
1つ目のメリットは、本人の体にぴったりとフィットする点だ。スーツの着こなしを決める最大のポイントは、「サイズ感」であると言われる。サイズ感の合わないスーツを着ると、動きにくいだけでなく、相手にだらしない印象を与えてしまう。
スーツのサイズ感を決めるポイントは、主に「肩幅」「袖丈」「身幅」「ウエスト」「裾丈」「裾幅」の6つである。一般的に、既製品のスーツは、数多くのサイズがあるものの、どのサイズも標準的な体型にフィットするように作られている。このため、どうしても部分的にサイズが合わないところがでてしまう。店で直しを頼むことはできるが、ウエストや裾丈以外はなかなか難しい。直したとしても、全体のバランスが崩れてしまったり、思いのほか高額の出費になってしまったりすることもある。
オーダースーツなら、個人の体型に合わせてつくられるため、サイズ感を気にする必要はない。「個人の体型に合わせるため、体型が良くない場合はかえってそれが強調されてしまうのではないか」と考える人もいるかもしれないが、信頼できるテーラーなら、体型に合わせて、きれいなシルエットになるよう仕立ててくれるので、心配する必要はない。
もう1つのメリットは、個人のスタイルを印象付けることができる点だ。オーダースーツはサイズと生地だけではなく、ポケットの位置、ラペルの幅、裏地、袖のボタンなどを好みで選べるので、自分のこだわりを取り入れることができる。最初は気恥ずかしさがあるかもしれないが、、こうしたこだわりから自分らしさが出て、堂々と振舞うことができるだろう。
富裕層が身にまとう「最高級のオーダースーツ」
オーダースーツといっても、ピンからキリまで存在する。その中から富裕層着る「最高級のオーダースーツ」を紹介したい。
まずは、イタリア・ナポリの最高級スーツである「Kiton(キートン)」。。かつて、ヨーロッパ随一の栄華を誇ったナポリでは、社交界向けの仕立服職人が集まって腕を競い、先進的な仕立技術が生まれた。そうしたナポリの仕立技術を守り、最高のスーツを作ろうとと1969年に生まれたのがKitonだ。Kitonはナポリでも最高級の仕立屋とされ、1つ1つの工程に、熟練の職人が携わり、手作業でスーツを作っていることで知られている。1着のジャケットは150もの工程で、丸一日かけて作られている。
日本にも東京や大阪に店舗があり注文することができるが、年2回ナポリから熟練のフィッターとサルト(職人)が来日して、オーダー会を実施している。
日本の老舗テーラーとして有名なのが、東京・銀座の「壱番館洋服店」だ。1930年から続き、有名政治家などもここでスーツをオーダーしているという。フィッターが2人がかりで採寸し、数字には表れない体型のバランスなどを考慮しながらスーツを仕立てている。値段は30万円からと決して安くはないが、それに見合うだけの価値はあるだろう。
5万円から始めるオーダースーツも
高級テーラーのオーダースーツは、富裕層が着こなすだけあって、値段も高い。壱番館で約30万円から、kitonのスーツなら60万円以上する。しかし、庶民でも富裕層の気分を少しでも味わえるよう、手ごろな価格でスーツを仕立てくれるテーラーも存在する。
たとえば、東京や大阪、名古屋、福岡、札幌など各地に店を置く「麻布テーラー」がその一つだ。
麻布テーラーは、フィッターがサイズを測り、意見を聞きながら洋服を仕立てる、という基本のコンセプトはそのままに、1着37000円からスーツを仕立てることができる。選べる生地も約3000種類と申し分ない。既製服でも一般的に2~3万円することを考えれば、庶民でも手が届くオーダースーツだといえるだろう。
オーダースーツは紳士のたしなみ
仕立てたスーツのことを、イギリスでは「ビスポーク」と呼ぶ。これは「be spoke」、つまり、「よく話をする」が語源だという。一度、フィッターとよく話をしながら、自分ならではの1着を仕立ててもらい、富裕層のこだわりに触れてみてはどうだろうか。 (ZUU online 編集部)