40歳になると公的介護保険料の負担が始まります。民間の保険会社では、介護状態になったときに保障が対象となる介護保険が販売されています。公的介護保険制度があるのに民間の介護保険は加入するメリットがあるのでしょうか。

そこで今回は、公的介護保険の保障内容と民間介護保険の特徴を紹介し、民間の介護保険に加入する意味について考えていきます。

これだけは知っておきたい公的介護保険のきほん

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(写真=wk1003mike/Shutterstock.com)

<公的介護保険制度の主な特徴>
・ 40〜64歳と65歳以降では保障内容が異なる
・ 状態によって7段階に分けられ、段階によって受けられるサービスの上限がある
・ 自己負担1〜2割で、上限を超えると全額自己負担
・ 介護費用を受け取れるのではなく、サービスを受けられる(現物給付)

ここで紹介した4点をまず確認しておきます。40〜64歳の人は第2号被保険者と言いますが、特定の疾病により介護状態になった場合のみ対象となります。特定疾病は、加齢に伴って生ずる心身の変化に起因するものなので、交通事故により介護状態になった場合は対象外となります。

また介護保険は7段階に分けられますが、症状が軽いほど受けられるサービスの上限が低くなります。

さらにサービスを受けた場合、サービスの1〜2割は負担しなければなりませんが、自己負担額が大きくなり過ぎないように、上限を超えた場合は高額介護サービス費として払い戻しがあります。ただし、受けられるサービスの上限を超えて支払った自己負担額は、高額介護サービス費の対象とはなりません。

最後に介護保険はかかった費用を受け取るのではなく、必要なサービスを選んで受ける現物給付となります。自由に給付金の使い道を決められるわけではありません。

民間の介護保険の役割

民間の介護保険は、公的介護保険の特徴をおさえておくと必要かどうかの判断がつきやすくなります。民間の介護保険の役割は、端的に言えば、公的介護保険を補完し、介護状態になったときの金銭的負担をできるだけ軽くすることです。ここで公的介護保険のどの部分を補完するか確認してみましょう。

・ 40〜64歳と65歳以降では保障内容が異なる
→ 64歳までの、特に事故などで介護状態になった場合に備える

・ 状態によって7段階に分けられ、段階によって受けられるサービスの上限がある
→ 必要なサービスを十分に受けられるように金銭的な保障を得る

・ 自己負担1〜2割で、上限を超えると全額自己負担
→ 自己負担の1~2割の部分や、上限を超えた全額自己負担部分の金銭的な保障を得る

・ 介護費用を受け取れるのではなく、サービスを受けられる(現物給付)
→ 施設までの交通費や対象外のサービス費用などの支出に備える

介護にいくらかかるかは症状によって異なりますし、介護が必要になるかどうかはわかりませんので、どうしても漠然とした部分がありますが、公的介護保険をベースに考えると、どこに不安を感じ、保険でカバーしておきたいか明確になるのではないでしょうか。

民間介護保険の保障内容

では、具体的に民間介護保険ではどのような保障となっているか確認しておきましょう。保障内容は保険会社によって多種多様ですので、ここでは一例を紹介いたします。

<支払基準>
介護保険の支払基準となる介護状態が保険会社によって違います。「保険会社独自基準で、公的介護保険の要介護4程度」のように会社基準の場合や「公的介護保険に連動要介護1以上」のように公的介護保険と連動している場合などがあります。

<支払方法>
保障内容は各社違いがありますが、年金のように毎年一定額支払われるタイプや一時金としてまとまった金額が支払われるタイプ、両方から選択できるタイプなどがあります。

<保険料払込免除の有無>
支払基準である介護状態になったら以降の保険料が免除されるタイプや不慮の事故が原因の場合のみ保険料支払免除となるタイプなどがあります。

公的介護保険で不足なら民間の介護保険の検討を

公的介護保険のサービスで十分と感じたり、不足部分は貯蓄で補おうという人にとって、民間介護保険は不要だと考えていた方もいるかもしれません。また、まだ先の話なので判断がつかないという人もいるでしょう。しかし、民間介護保険を用意しておけば、実際に介護状態になった場合には、きっと助かるはずです。この機会に、介護に対する準備をどうするか考えてみてはいかがでしょうか。(提供:保険見直しonline


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