昨日の海外時間には、シリアが化学兵器を使用した疑いでトランプ大統領が「24~48時間以内に重大な決定を下す」と述べたことからリスク回避で円買いが強まりました。今日の東京時間に、 習近平中国国家主席が演説で「対話が問題解決の方法」「中国は解放を続ける」「自動車輸入関税を引き下げる」などと融和的な言葉を繰り返していることからリスク回避が後退して円売りが強まっています。
今後の見通し
引き続き政治的な話題で相場が動かされています。
シリアのアサド政権が化学兵器を使用した疑いに関して、トランプ大統領が「ロシアなのか、シリアなのか、イランなのか、われわれは解き明かす」「24~48時間以内に重大な決定を下す」「プーチン氏が責任を担うとなれば、それは非常に厳しいものになる」などと述べて、緊張が高まって円買いが強まりました。もし軍事オプションを選択するのであれば、その報道で再び円買いが強まる可能性が高いため今後も注意が必要です。
一方米中貿易摩擦問題に関しては、昨日は中国が対抗措置として人民元の段階的引き下げの影響を調査、と報じられましたが、さきほどから海南省ボアオで開催中の「ボアオ・アジアフォーラム」年次総会で行われているいる習近平中国国家主席の演説では「対話が問題解決の方法」「中国は解放を続ける」「自動車輸入関税を引き下げる」などと融和的な言葉を繰り返していて、リスク回避が後退しています。
ドル円買い持ちを維持して108円台を目指す
昨日書いたように、金曜日の安値近辺106.80円で再びドル買いのポジションを作りました。損切りラインは106.50円割れにおいて持っていましたが、さきほどから上昇しているので、損切りラインを持ち値の106.80円に引き上げて108円台での利食いを目指します。
海外時間からの流れ
欧州時間、東京時間からの流れを引き継いでドルが堅調に推移する中「中国、貿易摩擦の対抗措置として人民元相場の段階的引き下げがもたらし得る影響を調査」と報じられると円買いが強まって、ドル円は106.90円台まで、ユーロ円は131.20円台まで下落しましたが、すぐに反発しドル円は107.20円付近まで上昇しました。
NY時間にかけて、特段の材料はありませんでしたが、米長期金利がやや低下する中各国株価が軟調に推移してドル売りが優勢となって、ドル円は106.90円付近まで下落し、ユーロドルは1.2320台まで、ユーロ円も131.70円台まで上昇しました。さらにドラギECB総裁が「ユーロ圏の景気拡大は2018年を通じて力強いペースを維持する」などと述べたことからユーロ買いが続き、ユーロドルは1.2330付近まで、ユーロ円は132.00円手前まで上昇幅を拡大しました。この間ドル円は米長期金利が反発したことから107.10円付近まで上昇しています。
NY時間午後にはいるとトランプ大統領がシリアに関して「24-48時間内に「重大決定」をする」としたことから米長期金利が低下する中各国株価が下落して円買いが強まって、ドル円は106.60円台まで、ユーロ円は131.30円台まで下落しました。
今日の予定
今日の海外時間には米・3月生産者物価指数の発表があるほか、カプラン・米ダラス連銀総裁、ビスコ・イタリア中銀総裁の講演が予定されています。
(提供:FXプライムbyGMO)
高野やすのり
慶應義塾大学卒。チェース・マンハッタン銀行(現J.P.モルガン・チェース銀行)、スイス・ユニオン銀行(現UBS銀行)などでインターバンクディーラー業務等に従事。現、(株)FXプライムbyGMOお客様コンサルタント。Twitterでも情報発信中 高野やすのり@takano_fxp