教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置

さらに、平成25年4月1日から平成27年の12月31日までの期間限定の非課税措置としてお孫さん1人につき1500万円まで学資としての贈与が非課税となる「教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置」も効果が高いと言えます。

一般に贈与をすると高い贈与税がかかってしまいますが、(例えば1000万円を「ぽん」と贈与されたとすれば400万円以上は贈与税として課税されることになります)、教育資金として1500万円までであれば贈与をしても税金がかかりません。この制度は、教育資金としての贈与をしやすくするための非課税制度として、お孫さん、ひいては将来の日本の人材育成のために作られた制度です。(具体的には銀行・信託会社を通して行います)

メリットはお孫さん1人について1500万円まで非課税で財産を移す事が出来ること、移した財産は、教育資金というお金がかかる局面で使用することができるため親御さん(贈与者から見ればお子さん)の負担を減らしてあげることができ、家族間のつながりを強くすることが期待できることなどがあります。

デメリットとしては、他の資金使途(例えば住宅購入)などには使用できず利用の幅が狭いこと、時限措置であることから、時間と資金のタイミングが合わなければ利用ができないことなどが挙げられますが、おおむね良い制度として好意的に受け止められています。


相続税対策は多面的に

このように不動産の活用以外にも数多くの相続税対策方法があります。前述しましたように、相続税対策は多様な方法を並行して行われることが効果的です。そして、数ある相続税対策手法の中でどの方法が良いかを検討されるにあたってはやはり相続税に詳しい税理士さんと親しくなられることが効果的です。

相続税対策はご家庭の事情、状況などによりケースバイケースですので、いろいろ話すことができて、しかも相続税に詳しい(多くの税理士さんは、所得税などは詳しいものの、相続税についてはあまり得意とされていない方もおられます)専門家を「がっちりと」捕まえることがポイントです。紹介・インターネットなどの他、各種社交場・団体の中でも知り合うことができるでしょう。


円滑な相続の実現で争族回避を

相続税対策としては、当然「いかにして税金を減らすか」ということに意識が向きます。しかし、一定の限度で「相続争いを生じさせないこと」にも目を向けていただきたく存じます。例えば、養子縁組などはトラブルの元となることがあります。相続税を減らすことができても、ご家族がバラバラになってしまっては、元も子もないと言えるでしょう。ご家族に資産を残されつつ、円滑な相続が実現できるようにご配慮いただくことが「真の相続税対策」と言えるのではないかと存じます。

【関連記事】
不動産オーナーの経営事情vol.3〜法人化による相続税対策の検討〜
相続対策で「財産の寄付」!? 財産を社会に還元する仕組み

photo credit: Balaji.B ( 1.5 Million Views and Growing) via photopin cc