この超低金利時代。マイナス金利の恩恵を受けるべく、数ある投資運用先の中から収益不動産での運用を検討する企業オーナーもいるのではないでしょうか。収益不動産での運用を法人で行う場合は「決算書」を提出する必要がありますが、どのような点を意識したらよいのでしょうか。融資のポイントについて考えてみます。
決算書とは何か?なぜ必要なのか?
まずは、金融機関に提出する決算書についておさらいします。企業オーナーであれば会社の決算書には必ず目を通すものですが、決算書は1年間を通した会社の成績表で、自社の収益状況や財産状況を客観的に表したものになります。金融機関を始め財務諸表に関して詳しい人達が決算書を見れば、その会社の優れている点や改善した方がよい点の分析ができるほど、決算書は重要な書類だといえます。金融機関は融資をするかどうかを決定するための判断材料として決算書を見ることが多いです。
企業は会社法や税制などの法律によって少なくとも1年に1回は決算を行い、財政状態、経営成績を明らかにし、それに基づいて税務申告や決算公告を行うことが求められています。
融資を受けやすい決算書の6つのポイント
では実際に収益不動産の融資を受けるにあたり、意識したい6つのポイントをお伝えします。
1. 安定的な利益を得ていること
融資を受けたとしても、元金と利金の融資総額をきちんと返済できる財務体系であることが大切です。一時的に大きく上げているよりも、安定的に利益を得られる企業のほうが返済目処が立ちやすいという印象になります。
2. 債務超過ではないこと
債務超過とは負債が資産を超える状態であり、資産をすべて売却しても負債を返済しきれない状態ということです。融資を受けても返済不能になっては意味がありません。そのため、債務超過の有無はよく見られます。
3.自己資本比率が高いこと
自己資本とは返済が不要な資金源泉です。自己資本の比率が高ければ、相対的に負債の比率が低いとことになります。融資が焦げ付く心配が少ないという印象を持たれるでしょう。
4.当期利益と減価償却費の合計額が大きいこと
当期利益と減価償却費の合計額が大きい=キャッシュフローが潤沢ということです。減価償却費は非資金支出費用で、その分キャッシュが社内に残ります。元金と利息の支払いにはキャッシュが必要であるため、キャッシュが潤沢ということは融資には重要です。
5.不動産専業の法人であること
そもそも不動産専業の法人であれば、収益不動産を融資で購入することについても事業計画上当然のことと言えます。不動産専業の法人としての会社概要があれば、合わせて提出しましょう。
6.不動産投資事業の実績が分かりやすいこと
不動産投資事業としての過去の実績や、収支状況。融資を実施する金融機関も過去の実績を担保として融資を行いやすくなります。過去の実績も踏まえた事業計画を準備しておくことが大切です。
収益不動産で融資を受けるために
収益不動産で融資を受けるためには、まずは法人として安定した財政状態・経営成績であり、キャッシュが十分あることが分かる決算書を作りましょう。
その上で不動産事業者としての会社概要を用意し、過去の実績も踏まえて収益不動産を購入した後の事業計画を作成するなどの下準備を行い、融資の相談を行うことが肝心です。融資を受けても完済ができることを客観的に示すことが大事だと言えるのではないでしょうか。 また、不動産融資について法人の決算書内容の良否に関わらず、購入物件の事業価値を基に融資を検討する銀行もありますので、一度問い合わせてみてもいかかでしょうか。(提供:企業オーナーonline)
【オススメ記事 企業オーナーonline】
・事業承継時の「自社株評価」どのような算定方法があるのか?
・不動産を活用し、事業承継をスムーズに進める方法とは?
・法人税の節税対策をご存知ですか?
・職場の「メンタルヘルス対策に関わる課題・悩みあり」が6割以上
・事業承継に備える経営者の一手 相続時精算課税制度