人口の減少及び働き方に対する考え方の変動に伴い、新人が定着しないという問題が顕著になっている。厚生労働省の発表によれば、2008年卒の学生の3年以内離職率が25.5%だったのに対し、2012年卒の学生は32.4%と、離職率は増加傾向にあるようだ。

もちろん、タイミングの問題や偶然性というのも否定はできない。しかし、新卒3年以内の離職率は時代を遡ってみても、その数字が大きく下がることはなく、企業としては常に対策を講じ続けていかなければならない問題であることは間違いないだろう。

ここでは、新人が定着しないことに掛かるコストとリスク、そして新人が定着しない会社の特徴について紹介していこう。

新人採用に掛かるコストはどれぐらい?

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(写真=PIXTA)

買い手有利だった時代は終わりを告げ、採用市場は今や完全に売り手有利な状態になっている。採用者1人当たりにかかる採用費は46万1,000円と言われており、決して安い買い物ではないということが分かるはずだ。

しかも相手は人間である。「採用したらそれで終わり」というわけではない。使える人材となってもらうためには、教育が必要になってくるだろう。当然のことながら、そこにもコストはついてくる。教材を使うならその費用、講師を雇うのであればその人件費が対象になるわけだが、新人1人当たりの教育費用の平均額は、入社前教育で4万527円、導入教育で18万5,722円となっている。

つまり、新人を採用するに際し、おおよそ70万円ものコストが掛かるということだ。

さらに、採用した後も継続的な教育は必要で、給与や福利厚生費なども忘れてはならない。保険料や業務に利用する機器の代金なども換算していけば、新人であっても年間600万円程度の金額は軽く掛かってくるのである。

それだけのコストを掛けながら採用した人材を、みすみす手放してしまっていては、会社の損失は計り知れない。事業を成長させるには人が必要だが、人を採用することでコストがかさみ、事業が成長しない。そういった笑えない現実も、実際に起こってしまっているのだ。

会社の成長のためには、いかに新人を定着させ、利益をもたらす人材へと成長させられるかがポイントになると言えるだろう。

新人に辞められる会社の特徴

ここからは、せっかくコストを掛けて新人を採用したにも関わらず、すぐに辞められてしまう会社の特徴を紹介していこう。

  1. 人間関係が良くない
    退職の中で最も多いと言われるのが人間関係のトラブルだ。こと新人に限って考えれば、部下などは存在せず、同期との繫がりも強いことから、上司との人間関係が一番のポイントとなるだろう。

教育熱心過ぎても「ウザイ」という反応になり、放任過ぎても「ほったらかし」と思われてしまうため、適切な距離感を計りながら、効果的なマネジメントを実施できる上司を配置する必要がある。

  1. 評価基準が不明確であり、やりがいが感じられない
    近年の新人が特に重要視しているのが「仕事のやりがい」だ。自分が何のために働いているのか、何を目的に頑張れば良いのか、それらを明確に示せない会社は離職率が高くなる傾向がある。

「何をどれくらいやれば、給与や待遇などにどれくらい還元されるのか」ということを明確に示してあげることはもちろん、事業の目的や理念といったソフトな情報をいかに刷り込ませることができるかも重要になってくるだろう。

  1. 休みが少ない、残業が多い
    働き方改革などの話題が世間をにぎわすようになり、こうした要素を持つ会社はすべて「ブラック企業」という目線で見られるようになってしまっている。若者の飲み会離れ、などという話もあるが、自分の時間を持ちたいというニーズも年々高まっているのだろう。

「いくらやりがいや仕事の意義を説いても、定時に帰れなければ意味がない」という人材も一定数いるということだ。すぐには無理でも、働き方改革を推進しているという姿勢をアピールすることも大切である。

「優しい会社」が定着率向上のカギ

定着率が低い会社の特徴を紹介したが、裏を返せば、そこを改善できれば定着率を上げられるということでもある。

優しく教育をし、頑張りを優しく評価し、優しく家に帰してくれる会社。今の新人が求める会社の傾向はそういうことになるだろう。そんなものは甘えだと断じることも簡単ではあるが、これからの時代を生き抜くためには、昔ながらの考えを一度捨て去る努力も必要なのではないだろうか。(提供:百計ONLINE


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