働き方改革が叫ばれる中で、職場であるオフィスに対する考え方の改革も必要になり始めたその代表例とも言えるのが、シェアオフィスである。 シェアオフィスとは、同じスペースを複数の利用者によって共有するオフィスのことを指し、特に都心部においてその有効性に注目が集まっている。
今回は、そんな注目のシェアオフィスについて解説し、その効果や活用方法について紹介していこう。

拡大を続けるシェアオフィス市場

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(写真=ImageFlow/Shutterstock.com)

これまではニッチニーズだと思われていたシェアオフィスだが、近年大手不動産企業が続々と参入してきている。

昨年の12月、三井不動産は東京駅直結の複合施設「グラントウキョウサウスタワー」に、法人向け大型シェアオフィスである「ワークスタイリング八重洲」を開業した。業務が行う個室はもちろん、東京駅を一望できるリラックススペースや、セミナーや発表会などでも使える30人収容の会議室を用意するなど、かなり力を入れて取り組んでいる事業であることが見て取れる。

また、東京建物も、新宿センタービルにシェアオフィス「プラスアワーズ新宿」を開業。家具付き個室とフリーアドレス制のコワーキングスペース、さらにはシャワー室なども完備した利便性の高い物件だ。

森ビルは、自前の六本木ヒルズ森タワーに「PARK6」をオープンしている。こちらはウェブ上で予約をし、利用時間に応じて料金を支払うというシステムだ。カフェが併設されていたり、靴修理店の「ミスターミニット」や衣料品補修店「ビック・ママ」が入っていたりと、働く人を支援する機能が充実している。

このように大手が続々と参入をし、シェアオフィス市場はかなりの盛り上がりを見せている。ここで実績を積み重ねれば、利用者の増加も難しいことではない。そうなれば、ますます参入事業主も増えることが見込まれ、市場はより活発なものとなるだろう。

シェアオフィスの活用でもたらされる効果とは

シェアオフィスのメリットは数知れないが、テナント側としてはその賃料の安さが目立つだろう。特にスタートアップの企業など、資金源が潤沢でないベンチャーにとって、家賃は安いに越したことはない。都心部で普通にオフィスを借りるよりも格安で拠点を持つことができれば、ビジネスチャンスは大きく広がる。

加えて、光熱費や通信費、備品などに掛かるランニングコスト削減にも一役買うだろう。社員数の少ない企業においては、社長自らが備品の買い物に出かけなければならないというところも少なくない。金銭的な部分はもちろんだが、時間の面でもコストを削減することができるはずだ。

また、実際にシェアオフィスを利用する従業員にもメリットは大きい。働き方改革の推進を受け、テレワークという新しい働き方も広まっている。簡単な仕事であれば本社まで行かずとも、手近なシェアオフィスで片づけられてしまうというわけだ。こうした働き方が広まれば、毎日の憂鬱でもあった電車の「通勤ラッシュ」緩和にも一役買うかもしれない。

多様な働き方を求め、自分の時間を有効活用したいという人が増えている中、シェアオフィスのニーズはますます高まっていくだろう。

シェアオフィスは、企業と従業員の両方が求める新しい働き方の一例

技術革新が進む現代社会において、仕事そのものが場所と時間を選ばなくなってきたのは間違いない。それに応じて、ダイバーシティや働き方改革など、人々が会社に求めるものは刻一刻と変化している。今後、仕事をする「場所」にも、大きなこだわりを持って事業運営をしていくことが求められていくだろう。

しかし、単に時代の流行というわけではなく、シェアオフィスには企業側と従業員側、双方に確かなメリットが存在している。その事実をしっかりと受け止め、今後の経営アイディアの一つとして、シェアオフィスという考えを頭の片隅に置いておくことをおすすめしたい。(提供:百計ONLINE


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