中国の動漫(アニメ)産業規模、1500億元を達成、動漫周辺市場規模650億元(1兆800億円)へ、などと最近アニメ産業についてのニュースが目につく。官製メディアの「人民網」を始め、「中国経済網」「中商情報網」などさまざまなメディアが伝えている。外国コンテンツ頼りから脱却し、ブレイクできるのだろうか。実態を探ってみよう(1元=16.65日本円)。

官製メディアの掛け声

中国経済,アニメ,コンテンツ産業
(画像=Eastfenceimage / shutterstock.com ※写真はイメージです。)

まず官製メディア「人民網」から見ていこう。同サイトは「模倣から創造へ、市場から産業能力へ、中国アニメ産業急速発展、市場規模1500億元へ、黄金時代を迎える」という威勢の良い記事を掲載した。

2017年末、中国アニメ産業は1500億元規模に達した。これは文化娯楽産業全体6300億元の24%を占め、ますますその比重は上昇中だ。

2018年4月杭州市で開催された「第14回中国国際動漫節」は、85の国と地域、2641の内外企業と機構から、5760を超える出展があった。成約額は163億元を超え、史上最高を記録した。中国市場の潜在力は、世界中のアニメ関係者を引き付けている。

中国国内のアニメ市場は十分に開放され、外国製アニメは各レベルの放送局で盛んに放映されている。米国のアクション映画と日本のアニメは、中国の映画館で欠くことのできない存在となっている。

注意しておくべきなのは、中国はアニメ派生商品市場の売上と利益の75%を、日本、韓国、米国へ持っていかれていることだ。キャラクター関連ビジネスは、非常に付加価値の大きなモデルである。それにもかかわらず、中国本土作品の知的財産権は、いまだに貧弱なままだ。

しかしここへきてインターネットが、中国アニメ産業を大きく動かした。優秀な漫画が大衆の目にふれやすくなり、本土でも「斗破蒼穹」「全職高手」などブームを起こす人気作品が登場してきた。

IT巨頭が乗り出す

経済サイトの「中国経済網」は、日本をキャッチアップするカギは、IT巨頭が握っているという。彼らは、昨年1500億元に達した動画市場に対し、2020年までにその額を上回る2160億元を投じる計画だ。ただしこれはテーマパーク、ゲーム、映画、テレビ番組、ファストフード、服装など周辺市場を含めてである。

IT巨頭BAT(バイドゥ・百度、アリババ、テンセント・騰訊)のうち、騰訊は「騰訊動漫」、百度は「快看」というアニメ視聴プラットフォームを運営している。どちらも中国最大規模である。騰訊は100動画作品の制作を目標に、12以上の関連企業へ出資する。百度は1作品当たり2億元を投入し、人気キャラクターの創造を促す。

これらアニメ産業の消費主体は、これまで児童だったが、今や青少年から成年層にまで、覆いつくされようとしている。日本の30~40年前をなぞっている段階だろう。

当然日本のように、長期にわたって発展してきた歴史はなく、世界的に有名なキャラクターはまだ登場していない。しかし資金力を含めた周辺の環境は、かなり整備されつつある。あとは成熟するのを待つだけだ。

派生商品市場は1000億元

経済サイト「中商情報網」は、アニメ派生商品市場の予測記事を掲載した。キャラクター商品や出版物の市場である。最も多いのは玩具で、全体の51%を占め、キャラクターTシャツなど服装は16%、出版物は4%だった。2016年、450億円を超え、17年は100億元増の550億元になったとみられる。今年の予想はは650億元だ。

しかしまだまだ取り逃している部分は多く、今後も20~25%の成長が見込まれる。そして2020年には、1000億元の大台突破が有望だ。

少し前のめりしすぎているような気はしないでもない。ブームを起こすような国産の作品は、まだ数えるほどしかない。そのためか“聖地巡礼”と称して日本アニメの舞台をめぐるツアーは、非常に盛んだ。高品質アニメに飢えているのである。

こうしたアニメマニアたちの中から、やがて優れたクリエーターが登場してくるのは間違いない。貧しかった時代を知らない90后(1990年台生まれ)以降の世代は、従来の中国的思考にとらわれず、ある程度自由な発想を持っている。作品の質は上がっていくだろう。普遍的なヒーロー、ヒロインを創造できるかが、派生商品市場1000億元達成のカギとなるだろう。(高野悠介、中国貿易コンサルタント)