自分にとってベストな「勉強法の見つけ方」

勉強,坪田信貴,ロザン
(画像=The 21 online)

勉強は、しんどくて当然。そう考える人は少なくない。しかし、自分を追い込んだ挙句、結果が出なかったとき、「こんなに勉強したのに、結果が出ない。やはり自分はバカなんだ」と、気持ちが折れてしまうのではないだろうか。しかし、少し視点を変えれば勉強は上手くいく。そう指摘するのは、「ビリギャル」先生の坪田信貴氏と、京大芸人であるロザンの宇治原氏と菅氏。勉強に行き詰って悩んでいる学生や社会人に向け、「学ぶとはどういうことか」アドバイスいただいた。

なぜ、勉強はすぐにしんどくなるのか

――昨今、巷にはさまざまな勉強法を解説する書籍が溢れていますが、自分には合わず途中で投げ出してしまう方が多い。挫折しないで、勉強する方法はないでしょうか。

宇治原 全員に共通する条件をあえてひと言で表現するならば、それは「楽しい」ということではないでしょうか。僕の経験からすると、「苦しい」と感じるとしたら、勉強法としては正しくないと思います。僕は勉強が好きで、苦しいと思ったことは一度もないんです。

そう言うと、あんたは勉強ロボだからって言われちゃうかもしれませんが、「楽しめれば、伸びる」ということは、全員に共通するはず。だって苦しいことを続けたくないのは、皆さん同じですよね?

 宇治原さんは子供の頃、お母さんに「これで遊んでて」って計算問題を渡されて、ゲーム感覚で勉強する回路ができちゃったんです。かわいそうに。

坪田 なぜ勉強はすぐ飽きちゃうのに、ゲームは熱中できるかというと、ゲームには「成長感」があるからなんです。敵をやっつけたり、点数をゲットするたびに感じられる。経験値を積めばレベルが上がって、能力も高まったのが数値として認識できますよね。でも、勉強にはそれがない。だから勉強に疲れてゲームに手が伸びるのは、ある意味正しい(笑)。

一方で、勉強を続けられる人は、成長感を実感することが上手いんです。「いつもより10分も長く勉強できた!」「今回、答えを間違えたけど次は正解できそう」といった具合に、ごく小さな成長を楽しむことができるんです。その結果、自ずと成績が伸びていきます。

 多くの人は「勉強はしんどくて当然」と思い込んでいるフシがあるでしょう? それって、他人との比較に原因があると思うんです。でも本来、勉強は自分がいかに成長できたかを突きつめていくべきで、他人は関係ないはず。ただ、「受験」になると、みんな人と比べて、自分を追いつめて挫折してしまう。そこに苦しさがあるような気がしますね。

勉強と仕事の成果を高める「共通点」とは?

勉強,坪田信貴,ロザン
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坪田 僕は受験の勉強って、「こんなに簡単なことないな」と思っていて。なぜかというと、「答え」があるからなんです。答えがあるということは解法があるということで、方法さえ間違えなければ、必ず正解にたどりつけます。

でも芸人さんには、「答え」がない。答えがないことで成長することの方が断然難しいですよね。

そうですね。でも、そっちのほうが自分には向いていると思いました。答えがないから、なんとか2人で答えを作ろうとする。それが合っているか間違っているかは別として、「この答えは、これな」という2人だけの共通の答えがあって、それを目指していくということが楽しかったんです。ただ、その方法を見つけるのには、学生時代の勉強が役に立っていますね。

――学生時代の勉強は、どのように仕事の役に立っているのでしょう。

 目標に向かって自分のやるべきことを組み立てていくスキルが身についたことでしょうか。受験だったら、目標の大学があって、受験の日は決まっていて、そこに向けてどう勉強していくかを考えますよね。僕の場合、ライブなんか学生時代の勉強のやり方と同じなんです。

ライブが1カ月後だとしたら、まずは「これから10日間、1日1ネタのペースで作って、残りの20日間でブラッシュアップすれば完成形を見せられる」と計画を立てます。そして、それを実行していき、得られた結果を分析して次に活かしていく。これを繰り返すだけです。

だから、よくこの仕事は大変でしょうって言われるけど、自分ではむっちゃ楽だと思っているんです。あまり頑張ってる感覚がないんで。

宇治原 僕から見たら、菅さんの仕事は大変だなと思います。僕は教科書と答えさえあればやる人間なので、菅さんはそんな僕のことを理解してくれて教科書(ネタ)を用意してくれているんです。

PDCAで自分に合う勉強法を探す

勉強,坪田信貴,ロザン
(画像=The 21 online)

坪田 PDCAを回して、徐々に成長してこられたのですね。実は勉強法にもこれと同じことが言えます。僕はよく「今すぐ伸びる効率的な勉強法を教えてください」って聞かれるんですが、残念ながらそんなものはないんです。英単語を覚えるのに、10回書かないと覚えられない人もいれば、書かないほうが覚えやすい人もいる。絶対的な勉強法などないんです。

 後輩芸人に「どうやったら売れるんですか?」って詰め寄られるのとまったく同じですね。

坪田 そうそう。成果が出る方法が人によって違うのは、仕事も勉強法も同じなんです。大事なのは、自分だけのPDCAを回していけるかということ。たとえば勉強ならば、計画(PLAN)を立てて、実行(DO)する。そこで完結せず、勉強の記録をもとに成果を検証し(CHECK)、勉強法や計画を改善する(ACT)。すると、自分が書いて覚えるタイプか、目で覚えるタイプかもわかる。PDCAを回すことで、世界に一つの自分の勉強法にたどり着けるのです。(取材構成:麻生泰子 写真撮影:長谷川博一)

坪田信貴(つぼた・のぶたか)学習塾「坪田塾」塾長
心理学を駆使した学習法により、1,300人以上の子供を個別指導し、多くの生徒の偏差値を短期間で急上昇させた実績を持つ。2013年、著書『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』(KADOKAWA)が大ヒット。その後も受験指導のみならず、企業の人材教育や起業アイデアの指導、講演活動等多角的に活躍中。

菅 広文(すが・ひろふみ)ロザン/お笑い芸人
1976年、大阪府生まれ。大阪府立大学経済学部中退。ベストセラー『京大芸人』をはじめとする著書多数。近著に、『身の丈にあった勉強法』(幻冬舎)。

宇治原史規(うじはら・ふみのり)ロザン/お笑い芸人
1976年、大阪府生まれ。京都大学法学部卒業。その頭脳と知識を活かし、さまざまなクイズ番組で活躍する。

(『The 21 online』2018年03月03日 公開)

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