自分の可処分時間を15分単位で見直す
社会人にとって、勉強時間をいかに捻出するかも問題だ。睡眠時間を削ってでも時間を確保しようとすると、ハードルが高く、途中で挫折する原因になりやすい。伊藤氏は、「時間は作るものではなく、見つけるもの」だという。
「時間をひねり出さなくても、どんなに忙しい人でも2~3時間は勉強に充てられる時間を持っています。ただ、それが見えていないだけ。まずは自分の可処分時間を可視化することから始めてみてはどうでしょう。
朝起きてから夜寝るまでの1日の行動を、15分単位で書き出してみます。すると、何をしていたのか思い出せなかったり、スマートフォンをいじっているだけだったり、移動中だったり、行動を書き出せない時間があることに気づきます。今はスマホやアプリなど勉強ツールが選べますから、通勤時間を含めて細かな時間を有効活用すれば、2時間くらいは勉強に充てられるはずです」
見つけた細切れ時間で何をするのか。それを決めておくことが、集中力を高めるコツだ。
「せっかく見つけた時間をダラダラと使ってはもったいない。たとえば、『あと一時間勉強してから寝よう』というのでは、集中力は高まりません。『この1時間で20問を解く』のように、時間とやるべき中身を数値化してこそ、集中できます。 冒頭で話した目標設定も同様です。資格試験なら『来年3月の試験に合格する』のように、『いつまでに』『何を』を具体的に決めることが重要です」
計画倒れも気にしない立てることに意味がある
最後に、勉強の計画の立て方について考えてみたい。計画を立てても、その通りにいかないことは多い。それでやる気を失ってしまうこともあるだろう。伊藤氏は、「計画は守れなくても気にしない。立てることに意味がある」とアドバイスする。
「計画を立てるということは、自分の目標を明確にし、自分の現状を把握し、目標達成までに何をすべきか洗い出し、優先順位をつけてやるべきことを可視化する作業です。自分を客観視することが、計画を立てることの目的です。計画通りにいかなければ、優先順位をつけ直し、より優先順位の高いことに絞り込んでいけばいいのです。
実は社会人にとって、勉強ほど楽なものはないと私は思います。人間関係に悩まされることなく、自分一人ででき、やったぶんだけ成果になるのが勉強です。『苦手な上司とうまくやっていくより断然楽だ』と思って楽しんでみてはどうでしょうか」
伊藤真(いとう・まこと)弁護士/伊藤塾塾長/日弁連憲法問題対策本部副本部長
1958年、東京都生まれ。81年、東京大学法学部在学中に司法試験に合格。82年、大学卒業後、司法修習を経て弁護士登録。95年、「伊藤真の司法試験塾(現 伊藤塾)」を設立。2009年、「一人一票実現国民会議」の発起人となり活動している。日本国憲法の理念を伝える伝道師として、講演・執筆活動を精力的に行なう。著書は多数あり、中でも『伊藤真 試験対策講座』シリーズ(弘文堂)は、法律を勉強する多くの人に広く読まれている。(『The 21 online』2018年2月号より)
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