不動産投資を始める際に金融機関から不動産投資ローンとして融資を受けるとき、年収があまり高くないサラリーマンなどへの与信審査は厳しくなっているとも言われています。また融資を受けられる金融機関も限定されます。

一方で年収が高く保有資産も多い医師など、社会的立場が一般のサラリーマンに比べて高い場合は、不動産投資ローンも受けやすく、より大きな金融機関から安い金利で融資を受けられるケースも多いです。

不動産投資への融資を取り巻く状況は、今後どう変わっていくのでしょうか。そのヒントを、不動産投資ローンの現状や仕組みを紐解きながら一緒に考えていきましょう。

住宅ローンとは異なる「不動産投資ローン」、メリットはある?

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(写真=HAKINMHAN/Shutterstock.com)

まず不動産投資をする際に受ける融資である不動産投資ローンとはどういったものか、住宅ローンとの違いは何か、などについて説明します。

住宅ローンは、本人や本人の家族が住むため住宅を購入したり、新築・改築したりする際に銀行などの金融機関から受ける融資のことを指します。一方で不動産投資ローンは、第三者への賃貸などを目的とした投資用不動産を購入するときなどに利用する融資のことです。

不動産投資ローンを使えば、手元に資金があまり無くても小さく不動産投資をスタートさせることができるというメリットがありますが、資産が既にあり年収も高い層にとってはもう一つのメリット、すなわち一定規模の資金を融資で用意できることで、投資スピードを加速させることができるのです。

開業医などに大きな優位性がある与信審査の仕組みとは?

不動産投資を検討している人が銀行へ融資申請を行うときには、与信審査を受けることになります。融資申請者が個人の場合には、その個人の手持ちの自己資金のほか、保有している資産や年収などの経済状況に関わること、勤務先や勤続年数などの仕事に関わることなどが与信審査の対象となります。

この与信審査において、あまり年収が高くないサラリーマンと高年収で社会的に地位も高い開業医などの層で、評価の点数が変わります。開業医や弁護士のほか、サラリーマンの中でも大手企業に勤めている人は属性が良いと判断され、良い条件で融資を受けやすくなると言えるでしょう。

与信審査の結果によって、その個人に対する金利や融資額が変わってきます。詳しくは後述しますが、金利や融資額の設定においては、その個人がどのような不動産に投資をするかも判断材料となります。そのため、大きなリターンが期待できる物件を選び、投資計画をしっかりと立てているほど、よりよい条件が提示されやすいと言えます。

メガバンク・地方銀行・信用金庫・ノンバンク、異なる審査基準

与信審査について説明してきましたが、結果として融資を受けることが適わないケースも出てきます。

一般的には、ノンバンクや信用金庫、地方銀行などは融資の審査は通りやすいと言われており、一方で都市銀行などのメガバンクはは厳しいとされています。そのため年収が低いサラリーマンよりも開業医などの方が、その個人属性の良さから規模が大きな金融機関の審査に通る確率が高いと言えるでしょう。

ここでポイントになるのは、規模が大きい金融機関の方が金利は安くなる傾向があることです。金利が安い分、その後の不動産投資において手元に残る収益は増えます。医師などの社会的ステータスが高い人が不動産投資に有利と言われている理由の一つがここにあるのです。

金融機関が恐れているのは貸し倒れ、つまり融資したお金が回収不能になってしまうことです。地方銀行などの業績が決して楽観視できない状況にある中、より融資の締め付けが厳しくなっていく可能性もあります。金融機関側が今後、よりリスクが少ない相手や計画に融資枠を回す可能性が高いことは、理に適っています。

良い融資条件を得るために「優良物件」を探すことの重要性

個人属性の高い開業医の方などが不動産投資を始める際、そもそも個人属性として有利な立場にあることを説明してきました。加えて、不動産投資を成功させるためにも、有利な条件で融資を受けるためにも重要になるのが、優良物件を見つけることができるかどうかです。

金融機関には融資枠があります。その融資枠の中でより事業としての成功可能性が高い案件に融資をしようとする傾向があります。そう考えると、良い条件での融資を受けようとすることは、他の融資申請者との競争という見方もできるでしょう。そのエリアの不動産市場の成長可能性なども考慮して、物件選びを進める必要があるのです。

まとめ:有利な立ち位置でより条件の良い融資を受けるために

この記事では地方銀行の業績などを鑑み、今後融資の締め付けが厳しくなっていく可能性があることにも触れました。一方で開業医などの社会的立場が高い人が不動産投資において有利な点などについても、いくつかの視点から解説してきました。

不動産投資を取り巻く状況は、さまざまな要因で変化していきます。しかし現在の仕組みの中で自身の有利な点を活かしつつ優良物件をきちんと選定していくことで、年収が高くないサラリーマンよりは良い条件で融資を受けやすい状況を作ることができるでしょう。(岡本一道、金融・経済ジャーナリスト / d.folio

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