お金をかけずに効果的!スマホ時代のオンライン営業術

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(画像=The 21 online)

ITのめまぐるしい発達により、情報収集や連絡に使うツールはパソコンからスマートフォンに、メールからLINEなどのSNSに変化しつつある。そんな中、主に個人顧客に対する営業に、LINE@やYouTubeを使う有効な方法を提唱する菅谷信一氏。これらのツールをどのようにビジネスに活用すべきなのか。詳しくうかがった。(取材・構成=内埜さくら)

PCよりスマホの時代。営業のツールも変わった

以前は個人顧客に対する営業ツールといえば、電話やホームページの問い合わせフォームなどが主流でした。ですが、今はそういった旧時代の手法では顧客を獲得できない時代に突入しています。

背景にあるのは、個人情報の入力に抵抗を覚える人が増えていることが考えられます。問い合わせフォームには個人情報を入力する必要がある場合が多いですが、情報漏えいなどの恐れから自己防衛策として忌避しているのです。

また、パソコンよりもスマートフォンを常用するように変わったことや、2011年6月にサービスを開始したLINEの普及により「Eメール離れ」が起きたことも影響しています。

このように、顧客からインターネットへのアプローチ法が変わった今の時代に適している営業方法が、LINE@とYouTubeの合わせ技です。

「LINE@」とは、ビジネス版のLINEです。LINEは主に個人間のコミュニケーションツールですが、LINE@は個人や企業が登録会員の顧客に送信することを主な目的としたツール。以前からLINEには「公式アカウント」という企業用のアカウントが存在しましたが、これは月額数百万円と高額。「LINE@」は基本的に無料で使うことができ、しかも、LINE公式アカウントの機能を八割は網羅しているのです。

LINE@で売るための3つのポイントとは?

LINE@では「友だち」登録によって、顧客に情報やクーポンなどを配信することができ、飲食店などの店舗系ビジネスではとくに効果の高い営業ツールです。営業効果を高めるポイントは3つあります。

1つ目は、多くの「友だち」登録者を獲得すること。これは対面接客時、個別にお願いすることが最も効果的ですが、後述するYouTubeからの誘導なども良い方法です。

2つ目は、一斉配信の内容に気を配ること。メルマガと同じように文章を配信できますが、売り込み色が強いと嫌われる傾向にあります。商品の情報ではなく、相手にとって役立つ情報を発信し、信頼関係を構築するのです。たとえば、住宅販売業であれば住宅ローンが安くなる豆知識、自動車販売業であれば燃費がよくなる走行法などです。

3つ目は、個別配信機能の活用です。LINE@では顧客と1対1でトークできる機能もありますが、仕事ができる営業マンは必ず「個別感」を重視しています。これは従来のできる営業マンが雑談でしていたことと同じですが、たとえばその顧客の家族のこと、趣味のことなどの話に終始し、商品の話は一切しません。

このように「LINE@」は文字、音声、動画でアプローチできるツールですが、動画を配信するときは、文字だけの場合に比べてより配慮が必要です。

米Forrester Researchの研究によると一分間の動画には百八十万単語と同等の情報量があると言われている。四百字詰め原稿用紙で四千五百枚分です。原稿用紙一枚を読むのに約一分間かかるとすると、文字情報と比較して動画情報は四千五百倍の情報伝達力があるのです。伝えたいことを伝えるにも有効なら、伝わってほしくないこともすぐに伝わってしまうのが動画というもの。話し方のトーンや表情などに気をつける必要があります。

YouTubeは最強の集客ツール!

次に、YouTubeでのアピールについてお話しします。LINE@が営業における成約や顧客との関係性維持のためのツールとすれば、YouTubeは集客のツール。言わば無料で使える不特定多数に向けたコマーシャルツールです。

YouTubeの優れたところは、グーグル検索と抜群の好相性である点です。YouTubeへの動画投稿本数が多ければ多いほど、グーグル検索に反映されやすくなります。動画を投稿すると最短3時間で検索の上位に表示されるケースもあるのです。

実際にそれを活かして知名度を高めた企業は多数あり、たとえば熊本県のある仏具店は、年間7,000本の動画を投稿し、「熊本 仏壇 リフォーム」で検索するとその店の動画が1ページ目から多数ヒットします。「熊本の仏具店と言えばあの店」と言われるほど有名になり業績を伸ばしました。

動画投稿に関しては、注意点が3点あります。

(1)短い動画を数多くアップする
長い尺だと挫折しやすいうえに、観る人も短いほうが観やすいので、一分間で充分です。

(2)編集は不要
動画配信というとつい、映像のクオリティや音楽や演出に凝ったものをと考えがちですが、人はそうした点では商品を選びません。信頼できる相手から商品を購入するものです。情報をわかりやすく伝え、動画そのもののクオリティにはこだわらないことです。

(3)内容はワンパターンでOK
店内にある商品の紹介や挨拶など、内容をパターン化してルーチンワークにしましょう。無理にバリエーションを増やそうとすると挫折しやすくなります。

以上の3点に注意しましょう。

「セルライト」をどう言い換えるか?

そのうえで重要になるのが、タイトルや説明文に使うキーワードです。キーワード検索で引っかかりやすい言葉にすれば、より多くの人に動画を見てもらえる可能性が高まります。

ここでやってしまいがちな間違いが、専門用語や売り込みの言葉を使ってしまうことです。そうした「自分が売り込みたいこと」よりも「相手が検索したい言葉」に設定するべきです。

たとえば、エステ店のホームページ等でよく「セルライト除去」という言葉を見ますが、セルライトという言葉を知らない人は「皮膚の凸凹」などの言葉で検索することがあります。このように顧客の悩みや知りたいことに即した平易な言葉を使うのが良いでしょう。

すなわち顧客との商談や雑談の中にヒントがあるということです。日々の仕事の中で、相手が言った言葉をメモしておき、タイトルを決める際に試しに使ってみましょう。

説明文のスペースには自社サイトのURLとともに「LINE@登録者獲得用ランディングページ」のURLを掲載して、「LINE@」への誘導を強化することもお勧めします。

菅谷信一(すがや・しんいち)〔株〕アームズ・エディション代表取締役
1969年、茨城県生まれ。獨協大学外国語大学卒業後、日立製作所関連会社などを経て、2001年に独立。YouTube動画を活用した集客法を企業に支援し、これまでに総額50億円以上の売上アップの実績を持つ「YouTube集客専門コンサルタント」。セミナー、全国の中小企業へのコンサルティング、講演、著書執筆に精力的に活動中。近著に、『LINE@“神”営業術』(ごま書房新社)などがある。(一社)日本動画マーケティング協会代表理事。(『The 21 online』2018年3月号より)

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