仮想通貨の世間への浸透とともに、ブロックチェーン技術が業種で応用されるようになりました。それらの中でも注目なのが、自動車業界です。ブロックチェーンを自動車業界に応用するイメージがわかない人もいるでしょうが、考えてみればGPSにハイブリッドカー、さらにはAIを活用した自動運転など、自動車業界は常に最新技術を導入してきた業界のひとつでもあります。

彼らは、どのようにブロックチェーンを活用しているのでしょうか。

独自仮想通貨「MobiCoin」を発行するメルセデス・ベンツ

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(写真=FOTOGRIN/Shutterstock.com)

「メルセデス・ベンツ」手掛けているドイツの自動車メーカー・ダイムラーは、2018年2月にスペインのバルセロナで開催された携帯電話の関連イベント「Mobile World Congress 2018」で、仮想通貨「MobiCoin」のプロジェクトを発表しました。

このプロジェクトでは、2月から約3ヵ月間かけて試験が行われ、日頃から安全運転している優良ドライバーに対して「MobiCoin」を提供する予定です。

「MobiCoin」を多く持つドライバーには、テニスツアー「メルセデス・カップ」決勝チケットやドイツツーリングカー選手権(DTM)のVIPチケットが与えられるそうです。

ダイムラーは、2017年1月にビットコインなどの仮想通貨やクレジット決済を扱うルクセンブルクの企業「PayCash Europe SA」を買収。PayCash社はブロックチェーン技術の確立を目指すコミュニティ「Hyperledger Project」に、プレミアメンバーとして参加しています。

今のところ「MobiCoin」がほかの仮想通貨と交換できるようになるかは未定ですが、今後のどのように発展を遂げていくのか注目が集まります。

ブロックチェーンでドアロックや解除を高速化するポルシェ

ドイツの自動車メーカー・ポルシェは、同じくドイツのスタートアップ企業XAINと協力し、ブロックチェーンを活用したプロジェクトに取り組んでいます。

両者はブロックチェーンを活用したアプリを開発しています。アプリを使えば約1.6秒で自動車のドアロックと解除ができます。従来までのアプリと比較して最大6倍も早くなりました。

それだけではなく、他の人に対して一時的に車のドアへのアクセス件を与えることもできます。この権限は遠隔操作にも対応し、権限を安全な形で配布することができます。また、車両の所有者は誰が車のドアを開けようとアプリ経由でアクセスしたのか監視することが可能です。

将来的には、宅配業者などの第三者に、一時的にアクセス権を渡すこともできるようになるとのこと。レンタカーなど、さまざまなビジネス分野で活用できるテクノロジーのひとつとなりそうです。

ブロックチェーンを活用すると全ての取引の履歴がリアルタイムに記録されていきます。データは多くの人の間で共有され、改ざんされることはありません。データの信頼性が確保できることがメリットなのです。

ブロックチェーン技術を活用すれば自動車の名義変更時のコストを軽減するほか、自動車盗難対策などにも役立てることができそうです。

ブロックチェーンと自動車の連携で生まれる新たな世界

自動車部品などを開発、販売するドイツのボッシュは、ラインランドにある車両の検査協会と協力して、不正ができない走行距離メーターの開発に取り組んでいます。ここで利用されているのもブロックチェーン技術です。

このメーターでは、スマホを通して車の正確な総走行距離が簡単に確認できます。ドイツ国内では、中古車市場で不正に改造された走行距離メーターによる損害が約7,200億円にも上っており、ブロックチェーン技術の導入が抑止力になることが期待されます。

海外の自動車メーカーばかりではなく、トヨタ自動車もイーサリアムをビジネスで活用するプロジェクト「Enterprise Ethereum Alliance」に参加しており、自動車にブロックチェーンの技術を取り入れようとしています。

自動車業界の安全性が高まるというポテンシャル

このように、自動車メーカーがブロックチェーン技術を次々に導入している背景には、自動車をより安全で信頼性の高いものにしたいという思いがあります。開発が進む自動運転の安全性を高めるには、より多くのデータが必要となります。ブロックチェーンを使って安全に運転情報を共有していけば、開発も円滑に進むことでしょう。(提供:J.Score Style


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