昨日の海外時間には、「米国が中国に新たな貿易交渉を提案」との一部報道が伝わると、両国間の貿易摩擦激化が回避されるとの期待から一時ドル円は111.20円付近から111.40円付近まで反発しました。しかし、アップルの新製品発表後にNYダウが下落に転じたことが嫌気され、ドル円は111.121円まで下落し昨日の安値を示現する動きとなりました。
今後の見通し
本日も、引き続き米国と中国の貿易交渉の話題が重要になりそうですが、TCMB(トルコ中銀)、BOE(英中銀)、ECB(欧州中銀)の金利発表が相次ぐことから、本日は各国の金利発表に連れる動きになりそうです。特にトルコ中銀については、前週にトルコ中銀が事実上の利上げ宣言をしたこともあり、今回は利上げ幅を焦点になりそうです。同国の8月・消費者物価指数は17.9%と前月の15.8%から加速しており、現在の政策金利である17.75%を上回っており、実質マイナス金利の状態に陥っています。
市場の政策金利予想については、20.00%~25.00%までの予想とかなり乖離が見られており、トルコ中銀の動向に注目が集まりそうです。一部報道では、5.00%利上げの22.75%まで利上げをすればリラ買いになるのではないかとも言われており、明確な買い基調は22.75%以上、22.75%以下であれば若干のリラ売り、20%を割り込むようであれば大きなリラ売りという流れになりそうです。また、本日についてはトルコリラの動きに連れるよに主要通貨も動きそうなため、特にユーロの動きには注視したいです。
ECB理事会については、ECBメンバーによる四半期経済見通しが下方修正されるとの観測が浮上しており、本日はその度合いに注目が集まりそうだ。ECBの政策金利発表前にトルコ中銀の政策金利が発表されるため、トルコ中銀の政策金利が市場コンセンサスよりも利上げ幅が小さいようであれば、目先のユーロの動きも下方向になるのはないでしょうか。
再びドル円111.40円でショート
昨日建値付近でポジションを閉じた111.40円でのドル売り円買いのポジションですが、本日再び同じ水準でドル売り円買いのポジションを持ちました。ドル円の動き自体は小さいものですが、111円の半ばから後半では上値の重さも確認できることもあり、再度ショートです。
海外時間からの流れ
欧州時間序盤では、ブレグジット絡みの報道が相次ぎ、保守党議員によるメイ首相下ろしの動きとの報道を材料に英ポンドは弱含みで始まり一時1.30ドルを割り込みました。ただ、ユンケルEU委員長がブレグジット後の英国と貿易・安全保障面で緊密な関係を築くと表明するとポンドドルは1.3048ドル付近まで急反発しました。その後はじりじりと上昇幅を縮小する動きとなりましたが、NY時間に入り米国が中国に対し新たな通商協議を提案と報じられるとNYダウが上昇、リスク先行の動きとなりポンドドルは再び1.3040ドルを回復する動きとなりました。
その後も、「EUはアイルランド国境に関する離脱協定案を見直す可能性」との報道にポンドドルは一時1.3080ドルまで上昇し、前日高値に迫る動きとなりました。現在は1.30ドル半ば付近での動きになっており、引き続きブレグジット関連の報道によりポンドの動きは活発化しそうです。
今日の予定
今日の海外時間には、英中銀(BOE)政策金利、トルコ中銀(TCMB)政策金利、欧州中銀(ECB)政策金利、 米・新規失業保険申請件数が予定されており、政策金利発表の一日となりそうです。要人発言では、ドラギ・ECB総裁定例会見、クォールズ・FRB副議長、ボスティック・アトランタ連銀総裁の講演が予定されています。
(提供:FXプライムbyGMO)
高野やすのり
慶應義塾大学卒。チェース・マンハッタン銀行(現J.P.モルガン・チェース銀行)、スイス・ユニオン銀行(現UBS銀行)などでインターバンクディーラー業務等に従事。現、(株)FXプライムbyGMOお客様コンサルタント。Twitterでも情報発信中 高野やすのり@takano_fxp