昨日の海外時間には、トルコ中銀が予想以上の利上げを決定したことから、トルコ・リラや南ア・ランドが買われる中、リスク選好の動きとなってドル売り、円売りの動きが強まりました。その中で円は弱いドルよりも弱かったため、ドル円は8月1日以来の112円台乗せとなっています。

今後の見通し

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(画像=PIXTA)

注目されていたトルコ中銀は、決定の直前にエルドアン大統領が「この高い金利を引き下げるべきだ」「インフレ高進は中銀の誤った対応が原因」などと述べたにも拘わらず、予想以上の利上げを決定し、トルコ・リラは急騰しました。ただ、メンツをつぶされた形のエルドアン大統領が今後中銀総裁などに圧力をかける可能性もあるため、今日は利食い売りが先行しています。

ドル円は8月1日以来となる112円台乗せとなっていて、チャート的には1段高が期待できる形になっています(日足一目均衡表の三役好転)。またアメリカが中国に貿易交渉の再開を呼びかけ、中国が歓迎するとしていることも、円売りの要因になっています。ただし、トランプ政権は強硬な姿勢を続けるとの報道もあるため、過度の楽観はリスクが大きいこともあって、ドル円のここからの上昇は限定的となる可能性もあります。

売り目線だが一旦様子見

昨日111.40円でドル売り円買いのポジションを作りましたが、じり高となったことから111.60円で損切りをしました。ここからのドル円の上昇が限定的となると考える一方、先ほども書いたようにチャート的には一段高が考えられることから、一旦様子見とします。

海外時間からの流れ

欧州時間序盤、特段の材料もない中主要通貨は小動きが続きました。一方、この日トルコ中銀の利上げが予想される中、エルドアン・トルコ大統領が「この高い金利を引き下げるべきだ」と述べたことからリラ円が17円台半ばから17円割れまで急落しました。しかしトルコ中銀はその後、市場では5%程度の利上げが予想されていたところ6.25%もの大幅な利上げを決定したことからリラ円は18円台半ばまで急騰しました。この間日経平均先物が堅調に推移したこともあってドル円は111.60円台まで、ユーロ円は129.80円付近まで上昇しました。

この日行われたECB(欧州中銀)理事会では、予想通り政策金利の据え置きと、10-12月の資産買い入れ額の減額が決定されました。なお英中銀は予想通り金融政策の据え置きを発表しています。いずれも予想通りだったことから為替市場に目立った動きはありませんでした。

NY時間にはいって、発表された米・8月消費者物価指数が予想を下回ったことから米が急低下してドル売りが強まって、ドル円は111.30円台まで下落し、ユーロドルは1.1700付近まで、ユーロ円も130.80円台まで上昇しました。しかし、全般的なリスク選好の中、各国株価が一段と上昇したことから円売りが強まって、ドル円は111.90円台まで上昇しました。

NY時間午後にかけて、米長期金利が堅調に推移したことからドル円は112.00円付近まで、ユーロ円は130.90円台まで上昇しました。

東京時間にはいってからは、日経平均が堅調に推移していることからドル円は112円台での取引となっています。

今日の予定

今日の海外時間には、ユーロ圏・7月貿易収支、米・8月小売売上高、米・8月鉱工業生産/設備稼働率、米・9月ミシガン大学消費者信頼感指数の発表があるほか、カーニー・英中銀総裁、エバンズ・シカゴ連銀総裁、ローゼングレン・ボストン連銀総裁の講演が予定されています。

(提供:FXプライムbyGMO)

高野やすのり
慶應義塾大学卒。チェース・マンハッタン銀行(現J.P.モルガン・チェース銀行)、スイス・ユニオン銀行(現UBS銀行)などでインターバンクディーラー業務等に従事。現、(株)FXプライムbyGMOお客様コンサルタント。Twitterでも情報発信中 高野やすのり@takano_fxp