ファンダメンタルズVS株価トレンド。「日本株」は買い時は本当!?
(画像=トウシル)

ファンダメンタルズを根拠に「買い時」と連呼する専門家、株価のトレンドを根拠に「守りに徹するべき」とする筆者・・・あなたはどちらを信じますか?

またしても突破できなかった「2万3,000円の壁」

日本株は、軟調な動きが続いています。日経平均株価は4度目となる2万3,000円超えチャレンジに失敗し、またしても「2万3,000円の壁」に跳ね返された格好です。

また、日経平均株価を見る限りは、横ばいのトレンドが続いているように見えますが、個別銘柄は散々な状況で、9月7日には年初来安値を更新した銘柄が253銘柄にも達しました。

このように、筆者が客観的に見る限り、現状の日本株は「下げ相場」であり、無理に勝負にいくべきではなく、余計な損失を避け、損失をできるだけ小さくするよう守り優先にすべきと考えています。

ファンダメンタルズで日本株を見ると・・・

ところが、世の中のアナリスト、評論家、専門家と呼ばれる人たちは、「今の日本株は非常に割安だから買い時だ」とコメントをしている人も多いです。

その根拠が、日本株のファンダメンタルズです。例えば、日経平均株価のEPS(1株当たりの利益)は年初の約1,520円から現在は約1,750円まで上昇しています。  そして日経平均株価のPER(株価収益率)は、年初が15.5倍だったのが、現在は12.9倍にまで低下しているのです。

アベノミクス相場がスタートして以降、日経平均株価のPERは14~16倍程度で推移してきました。 それが現在は12.9倍にまで低下、さらにEPSは上昇しているのですから、確かにファンダメンタルズから見れば日本株は割安、という評価を下す根拠は分かります。

ファンダメンタルズと株価のトレンドが不一致という現実

現状は株価のトレンドで見る限り下降トレンドの銘柄が大部分で、年初来安値を更新している銘柄も多数あります。年初来安値更新というのは、下降トレンドであることの明確な表れです。一方、日経平均株価のPERやEPSを見る限り、日本株は割安の状態にあるように見えます。

このように、現在は株価のトレンドとファンダメンタルズが一致していないというのが現状なのです。割安なのに株価が上がらない、それどころか下げ続けているという状況です。

こんなとき、どのように考えるかが、株式投資で大きな損失を避けるためには非常に重要です。筆者は、ファンダメンタルズと株価のトレンドが一致していないときは、株価のトレンドを信用します。ファンダメンタルズから、どんなに株価が割安にみえても、株価が上昇トレンドにならない限りは新規買いはしません。

ファンダメンタルズを信用すると「逆張り」になってしまう

もし、現状でファンダメンタルズを信用するのであれば、株価が下降トレンドのなかで株を買うことになります。これは「逆張り」です。一方、株価のトレンドを信じるのであれば、株価がいくら割安であっても下降トレンドにある限りは買いません。これは「順張り」の考え方です。

私がこれまで散々お伝えしているように、個人投資家の多くが株式投資で失敗する大きな理由が、株価が下がっているときに買う「逆張り」をするということなのです。

ファンダメンタルズを重視する人は、「株価が割安になっている」という事実を重視します。一方、株価のトレンドを重視する人は、「株価が売られている」という事実を重視します。

株式投資を長年続けていると分かってくることですが、「株価が割安である」ことと「株価が上昇する」ことは決してイコールではありません。

結局は外国人投資家が株を買うかどうかで決まる

はっきり言ってしまえば、売買シェアの約7割を占めている外国人投資家が日本株を買い上げてくれなければ、割安であろうが株価の上昇は期待できません。さらには、外国人投資家が日本株を売っている状況では、株価が割安な状態からさらに大きく値下がりすることになります。

個人投資家は逆張りをしている人が圧倒的に多いですから、株価の上値を買い上げることはしません。日銀のETF(上場投資信託)買いも、株価が下がったときの買い支えに過ぎません。

こう考えると、「株価が割安か」は、株を新規買いするかどうかの判断要素とはならないのです。外国人投資家が株を買い上がり、その結果株価が上昇トレンドになっているかどうかを見極める方がはるかに重要な判断要素です。

テクニカル分析を鵜呑みにして大丈夫?

また、テクニカル分析からこのように主張する専門家の方たちもいます。「日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)がボックス相場の下限に近付いてきた。絶好の買い時だ」「ここから株価が下がるなら買い下がりでOK」などと。

でも、こうした考え方は非常に危険です。テクニカル分析から見て売られすぎだからといって、必ず株価が反転上昇する保証はどこにもないからです。

現に、2008年のリーマン・ショックや2016円のチャイナ・ショックのときなどは、テクニカル分析でみて明らかに売られすぎ、という状況からさらに株価が大きく下落し、多数の個人投資家が多額の損失を余儀なくされました。

テクニカル分析は、確かに有効に機能するケースもありますが、万能ではありません。売られすぎの状態からでも外国人投資家が売ってくれば、株価は大きく下がるのです。やはり、株価が上昇トレンドに転じ、外国人投資家が買ってきた可能性が高いと判断できてから新規買いしたほうがリスクは低いです。(提供=トウシル)

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