前週末の海外時間には、好調な米国の経済指標の結果を受けドル円は112.165円(当社レート)まで続伸したものの、「トランプ大統領は貿易協議にかかわらず、中国製品2,000億ドルに追加関税の賦課を望む」との報道もあり、111.80円台まで下落する動きが見られました。17日のアジア時間には112円台まで回復しているものの、ここからドル円が113円を目指すには、トランプ大統領の通商協議関連の報道に慣れる必要がありそうです。

今後の見通し

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(画像=PIXTA)

引き続き米中通商協議に関する報道に、一喜一憂する展開になるのではないでしょうか。正式には、トランプ政権による対中追加関税の発動を警戒する展開となりそうです。27、28日に予定されている米中閣僚級協議を前に、中国の通商政策の出方をけん制する狙いで、制裁を発動するとの見方が強まりつつあるため、既にこの内容をどの程度マーケットが織り込んでいるのかに注目が集まりそうです。

ただ、金曜のトランプ大統領の通商協議に関する報道にしても、ドル円の値動き的には30銭程度、その後はじりじりと値を戻していることを考えると、従来に比べるとマーケットが米中通商協議の悪材料を徐々に織り込んでいる可能性がありそうです。そうなると、一時的に押し目を付ける場面はありそうですが、ドル円についてはあまり深追いしないことを前提とすると、押し目買いに妙味がありそうです。

追いかけはせず、あくまで押し目待ちでドル円買い戦略に変更

111.40円のドル円の売りポジションを111.60円で損切ったことは、結果的には成功でした。112円台に入ってきており、111.80円台までの押し目を待ってドル買い戦略とします。損切りは111.50円割れ、利食いについては、113円手前の112.90円付近を想定します。

海外時間からの流れ

前週末の欧州時間ではユーロドルが1.17213ドル(当社レート)まで上値を拡大する動きが見られましたが、米国の経済指標が概ね好調な内容だったこともあり、徐々にユーロ売りドル買いの動きとなりました。また、ECB関係筋が「欧州景気に対するリスクは下方向」と伝わると1.16ドル前半まで下げ足を速め、NY時間後半には一時1.16210ドルを示現し、日柄最安値を更新しました。

NY時間では、米・8月小売売上高が市場予想を下回る結果になったこと(前回+0.4%、結果+0.1%)からドル売り懸念が出たものの、前月の数値が上方修正されたことから円売り、ドル買いが先行しました。ただ、その後にトランプ大統領が米中通商協議に関する内容の報道があったことからドル円は上値が抑えられました。ただ、米・8月鉱工業生産(前月比)、米・9月ミシガン大学消費者信頼感指数(速報値)が共に市場コンセンサスを上回ったこともあり、下値も底堅く、ドル円は112円を挟んだ動きになっています。

今日の予定

今日の海外時間には、トルコ・6月失業率、ユーロ圏・8月消費者物価指数・確報値(前年比)、ユーロ圏・8月消費者物価指数(コア)確報値(前年比)、米・9月NY連銀製造業景気指数などが予定されています。本日は、本邦が祝日で休場となるため、本格的な動意は欧州時間に入ってからになりそうです。

(提供:FXプライムbyGMO)

高野やすのり
慶應義塾大学卒。チェース・マンハッタン銀行(現J.P.モルガン・チェース銀行)、スイス・ユニオン銀行(現UBS銀行)などでインターバンクディーラー業務等に従事。現、(株)FXプライムbyGMOお客様コンサルタント。Twitterでも情報発信中 高野やすのり@takano_fxp