○ 民間企業の2018年夏のボーナス支給額を前年比+1.8%(支給額:37万3千円)と予想する。好調な企業業績が背景にある。夏のボーナスとしては3年連続の増加になるとみられ、伸び率も昨年(+0.4%)を上回るだろう。
○ 好調な景気を受けて17年度は増益が実現したとみられ、企業収益の水準も高い。一度引き上げると削減が難しい月例給与に比べて、ボーナスは業績に応じて比較的柔軟に変動させることが可能であるため、業績さえ良ければ、経営側としても引き上げへのハードルは高くない。労働分配率も低水準で、企業の賃上げ余力についても問題はないだろう。実際、春闘における一時金交渉では増額回答が目立っており、2018年のボーナス増加が示唆されている。春闘でのベースアップは、「昨年対比改善したものの伸びは小幅」との評価が多いと思われるが、ボーナスについては比較的はっきりとした増加が見込まれる。
○ 好調な企業業績を受けて、大企業、中小企業ともボーナスは増加すると思われるが、中小企業において、より高い伸びが見込まれる。中小企業では人手不足感が極めて強いことから、人材確保の観点からボーナスも高い伸びになりやすい。
○ このように、春闘におけるベアの高まりを受けて所定内給与の伸びが緩やかに拡大することに加え、17年度の好調な企業業績を背景に特別給与もはっきりとした増加が見込まれる。18年度の一人当たり賃金は前年比+1%を上回る可能性が高いと予想している。
○ 18年度は物価上昇率が+1%程度に高まるとみられることから、実質賃金でみると伸びは小幅なものにとどまるが、マイナスが濃厚な17年度からは改善が見込める。好調な景気を受けて雇用者数の増加が続くことも所得の押し上げ要因だ。消費が景気を牽引するには至らないが、18年度も個人消費の緩やかな増加程度は見込んで良いだろう。
(提供:第一生命経済研究所)
第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト 新家 義貴