昨日の海外時間には、中国が600億ドル相当の米製品に関税を賦課すると発表したことで一時リスク回避の円買いが強まり、ドル円は112.30円台から112.00円付近まで下落しました。しかし、事前に同国政府が「米国の追加関税に対して報復措置を取らざるを得ない」との見解を示していたことで、マーケットは材料出尽くしと判断してショートカバーが入った可能性が高いと考えられます。ドル円がここから上値を拡大するには、通商協議関連の報道に慣れることが必要でしたが、両国経済には当初懸念されたほどの悪影響が及ばないとの見方が浮上したことで下値が限定的になってきています。

今後の見通し

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(画像=PIXTA)

懸念されていた米中通商協議に関するトピックスでは、マーケットの反応が限定的になってきていることから、徐々に次の焦点としてブレグジットに関する報道が注目されそうです。本日の東京時間では、メイ英首相が英紙とのインタビューで「ブレグジット交渉はほぼ合意している」との見解を示し、ポンドが全般に上昇しました。本日より、EU非公式首脳会議が明日まで行われます。内容次第では、ポンドにとって買い材料が提供される可能性があるため、比較的欧州通貨に関しては、方向性は上方向にあるかもしれません。

本日の日銀金融政策決定会合は、金融政策に変更はないと思われますが、リスク選考に傾いた場合には、低金利環境の継続を好感する流れとなり株価上昇に連れるようにドル円を中心とするクロス円も上昇するのではないでしょうか。また、明日の自民党総裁選投開票に向けて思惑的な買いも入りやすく、株式市場、為替市場ともに上値追いの展開が続くことが予想されます。

111.80円のドル円買いポジションは継続

111.80円のドル円の買いポジションについては、引き続きこの戦略を継続したいと思います。通商協議関連の報道があっても下値も限定的になってきているので、目先の方向性としては112円台後半に向かっていると考えています。損切りは111.50円割れ、利食いについては、113円手前の112.90円付近を想定します。

海外時間からの流れ

前日の海外時間では、中国が600億ドル相当の米製品に関税を賦課すると発表し一時的にリスク回避の動きが強まりましたが、ドル円は112円付近からは底堅い動きを見せており、影響は限定的となりました。さらには、NYダウが250ドル超上昇し、ナイト・セッションの日経平均先物が450円上昇したこともあり、堅調な推移を継続しています。日経平均株価が多少緩む場面も見られますが、本日の東京時間についても底堅い推移は継続しています。

ユーロドルについては、一時1.17240ドルと8月28日以来の高値を付ける場面がありましたが、米10年債利回りが一時3.0570%前後まで上昇し5月23日以来の高水準を付けたことが意識され、徐々にユーロ売りドル買いの動きになっています。また、カナダドルについては、好調なカナダ経済指標や原油高、北米自由貿易協定(NAFTA)改定を巡り米・加高官協議が再開される見通しとなったことを背景にカナダドル買いが入りました。カナダドル円については、86円台前半から86円台半ばから後半まで続伸しています。

今日の予定

本日は、東京時間に日銀金融政策決定会合、黒田・日銀総裁の定例会見が予定され、海外時間では 英・8月消費者物価指数、英・8月小売物価指数、米・8月住宅着工件数、米・第2四半期経常収支などが予定されています。注目イベントとしては、日銀金融政策決定会合ですが本日は無風通過の可能性が高そうです。また、本日よりEU非公式首脳会議が明日まで行われます。

(提供:FXプライムbyGMO)

高野やすのり
慶應義塾大学卒。チェース・マンハッタン銀行(現J.P.モルガン・チェース銀行)、スイス・ユニオン銀行(現UBS銀行)などでインターバンクディーラー業務等に従事。現、(株)FXプライムbyGMOお客様コンサルタント。Twitterでも情報発信中 高野やすのり@takano_fxp