働き方を変える! 最強の「ミーティング」

脱・会議,横山信弘
(画像=The 21 online)

働き方改革が進み、労働生産性の向上が注目されているにもかかわらず、未だに働く人々の時間を奪う「ムダな会議」はなくならない。とくに、中間管理職はこうした会議の犠牲になりがちだ。ただし、中間管理職は会議を開く立場でもあるため、ムダを生む原因にもなりやすい。一体、どうすればムダな会議を防ぐことができるのか。効率的に目標を達成する働き方を提案するコンサルタントの横山信弘氏に、会議に参加する・開く双方の立場からムダを防ぐ方法をうかがった。

業績が悪化するほど、会議は増える

みなさんが最近の会議で話した内容について思い出してみてください。本当にその会議を開く必要はありましたか? 

私は9割の会議はいらないと考えています。わざわざ会議を開かなくても、ミーティングで十分。必要なときに、必要なメンバーだけを自分のデスクに呼び、懸案事項を解決できたらすぐに解散する。これなら、どんなに長くても20分もあれば終わります。わざわざ時間を調整し、議題に関係のない人まで会議室に集め、何時間もかける必要などないのです。

今まで多くの企業の会議に参加してきましたが、もっともムダだと感じたのが報告だけの定例会議。とくに話し合う議題がなくても、「決まりだから」という理由だけで開かれます。そのため、直前になって無理矢理議題をひねり出す始末。

さらにムダなのが、懇親会を目的として全国から責任者を呼んで行なわれる会議。懇親会自体がムダなのではありません。「せっかく遠方から○○所長が来ているのだから、これについても話しておこう」といった具合に、どんどん議題が増えていくことがムダなのです。一部の出席者にしか関係のない議題を、他の出席者は延々と聞かされることになります。

ちなみに業績が悪化している会社ほど、会議が増える傾向があります。部下がきちんと仕事をしているか疑心暗鬼になった社長や専務が、とにかく部下を集めて叱りつけたいのです。部下は会議に縛りつけられるため、実務に携われる時間が減り、ますます業績は悪化します。

ムダな会議に参加しない「正しいボイコット」

そこでみなさんに提案したいのは、自分が会議を主催する立場なら、会議を半年間止めてみることです。それが怖いのなら、月に2回やっていた会議を1回に減らしてみてください。

ポイントは、1回あたりの会議の時間ではなく、回数を減らすことです。回数を減らすことで、会議によって実務が分断されることが減り、仕事の生産性が上がるからです。これまで会議漬けだった人ほど、時間に余裕ができるでしょう。そのぶん、部下との会話やミーティングの回数を増やせば、意思の伝達がスムーズになり、さらに会議の回数を減らせます。

一方、上司から会議に招集される立場の人は、出る意味がないと感じた会議をボイコットしましょう。私も、「情報共有のためにとりあえず呼ばれた会議」には出席しませんでしたが、案外怒られませんでした。いてもいなくても同じだからです。そのうち飲み会と同じで、「いつも来ないから呼んでも仕方がない」と思われるようになり、呼ばれなくなります。

とはいえ、他のメンバーが会議に出席しているのに、デスクで仕事をするのは得策ではありません。会議に出ないためには、それ相応の理由がなくてはならないのです。そこで、私は会議に合わせてアポイントを入れることを勧めています。「お客様のために」と言われれば、上司も「仕方がないな。そっちを優先しろ」と諦めてくれるものです。

そもそも、顧客のためにならない会議を開く必要はありません。「その会議はお客様のためになるのか」を考えてみたとき、目的が内向きだったり、曖昧な場合は出る必要がないのです。

ただし、議事録には確実に目を通すようにしましょう。これは、会議に参加しなかった人の最低限のマナーです。

また、日頃から上司や役員とのコミュニケーションを大切にしておくことで、ムダな会議の芽を摘むのも手です。なぜなら、彼らがムダな会議を開くのは、下から報告が上がってこないから。であれば、こちらから逐一進捗を報告し、情報を提供・共有することで、ムダな報告会を阻止することができるのです。

絶対に目標を達成する「カイゼン会議」とは?

では、本当に必要な会議とは何でしょうか。それは、PDCAサイクルの「A」、つまり改善について話し合うことです。計画(P)に対して社員それぞれが実行した仕事(D)を、資料を通じて検証(C)してから、具体的にどう改善すべきか(A)を議論することが本来の目的なのです。

そのためには、まず会議の目的を一つに絞ること。その目的を果たすことだけに集中し、他は議論しません。出席者も議題に関係ある人だけに絞り込みます。中身のある議論をしたいなら、人数は五人が限度でしょう。また、資料は前日までに配付し、考えをまとめてもらったうえで会議に臨みます。すると会議における時間を短縮できるだけでなく、本当に議論すべき議題に集中することができるのです。

また会議は、必ず前回の振り返りから始めること。前回決めた目標と行動計画から話し始めることで「そもそも、何のために集まったのか?」といった会議迷子を防ぐことができます。すると、PDCAサイクルが回り出し、会議の質が回を重ねるごとに高まるので、どんどん目標に近づいていくのです。

基本、会議はやらないに越したことはありません。ただ、どうしてもやる必要がある場合は意味があるものにする。これを心がけてください。

横山信弘(よこやま・のぶひろ)〔株〕アタックス・セールス・アソシエイツ代表取締役社長
1969年、名古屋市生まれ。独立系最大手のITベンダー、日立製作所を経て、2004年アタックス入社。12年より現職。企業の現場でのコンサルティング支援を続けながら、年間100回以上の講演・セミナーをこなす。ベストセラー「絶対達成」シリーズの著者であり、メルマガ「草創花伝」は3.8万人の経営者、管理職が購読する。≪取材・構成:長谷川 敦≫(『The 21 online』2018年3月号より)http://shuchi.php.co.jp/the21/

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