前週末の海外時間には、ディマイオ伊副首相が「仮に来年、赤字が拡大しても問題はない」との発言によりユーロが急落、またメイ英首相が「EU離脱について悪い合意よりは合意なしの方が良い」「ブレグジット協議について英・EUは袋小路に陥っている」などと発言し、ポンドの急落を招きました。特にポンドについては、東京時間ではポンドドルで1.3270ドルでの推移だったものの、一時1.3050ドル台まで下落しており、「合意なき離脱」への警戒感がより一層強まったものと考えられます。

今後の見通し

FXプライム,市況解説
(画像=PIXTA)

今週はFOMCが予定されており、今年3回目の利上げに踏み切る公算が既にコンセンサスになっています。一般的には、利上げ実施後にポジション調整的なドル売りが一時的に増えますが、今回は12月にも追加利上げが実施される可能性は高いとみられており、利上げ継続の方針を意識して、ドル売りは限定的になりそうです。

また、米中貿易摩擦では、トランプ政権が貿易赤字是正に向けた強硬な通商政策を緩める方向性を出したわけではありませんが、中国が人民元安政策の修正を示唆しており米中貿易摩擦はある程度緩和される可能性がマーケットでは期待されています。この場合は米中のみならず、世界的にプラスの印象をもたらすため、リスク先行の動きが主導するものと思われます。

比較的プラスの材料が揃いつつあるものの、EUと英国とのブレグジット関連の報道だけが交渉難航として報道されています。政府高官からの発言によりユーロやポンドが急落、それに連れるようにクロス円も下落する動きを見せており、欧州からのリスク回避、米、日、中からのリスク先行の動きという構図が目先は確立されてくるかもしれません。

111.80円のドル円買いポジションは利食い決済、次の焦点は113円レジスタンス

111.80円のドル買いポジションについては、狙い通り113円手前の112.80円台での手仕舞となりました。ドルの基調は依然として強いものの、ポイントとなるレジスタンスラインは意識されているようです。次なる戦略としては、この113円のレジスタンスがどこまで機能するかという点にありそうです。113円を上抜ける可能性は十分ありそうですが、その前にこのラインでは上値が一旦抑えられそうです。113.20円上抜けを損切りのラインとし、112.80円付近での売り戦略。利食いについては、112円台前半を想定していますが、ショートポジションということもあり、場合によってはちょくちょく決済、そして112円台後半で再度売りという戦略を第一に考えています。

海外時間からの流れ

前週末の欧州時間では、ユーロドルが一時1.18ドルを回復する動きが見られましたが、フランス、ドイツ、そしてユーロ圏の9月製造業PMI速報値が予想を下回ったことが分かると失速し、1.17ドル半ばまで下落しました。ディマイオ伊副首相が「仮に来年、赤字が拡大しても問題はない」との発言も嫌気され、一時1.1730ドル台までユーロ安となり、その後も上値の重い展開となりました。

欧州時間からNY時間にかけて、マーケットの中心はポンドになりました。ラーブ英EU(欧州連合)離脱担当相が合意なき離脱の可能性を改めて言及するなど先行き警戒感からポンドは徐々に軟調に推移し、英テレグラフ紙が「メイ英首相が日本時間21時45分に声明を発表する可能性」と報道したことで一気にポンド売りに傾きました。結局ポンドはポンドドルで1.3050ドル台、ポンド円でも149.70円台から147.00円付近まで急落し、ブレグジットの先行き不透明感が如実に表れたかたちとなりました。注目のメイ英首相の声明も、ポンドを買い戻すには程遠い内容だったこともあり、ブレグジット関連で急展開な動きがない限りは引き続きポンドの上値は重くなることが想定されます。

今日の予定

本日は日本が祝日となるため、アジア時間は動意の薄い展開になりそうです。海外時間では、独・9月IFO景況指数などが予定されています。また、事前報道にもあるようにトランプ政権が中国製品約2,000億ドル相当への関税を発動するものと思われますが、これは既に織り込まれているものであり、マーケットの動意には結び付かないものと考えられます。

(提供:FXプライムbyGMO)

FXプライムbyGMO情報分析チーム
為替のみならず、株式、商品相場の経験者が多角的な目線でマーケットを分析します。執筆者は営業推進部マーケッツグループ長、稲井有紀、グループ長代行、崔 敏樹。