前日の海外時間には、ドラギECB総裁が欧州議会で「ユーロ圏の基調的インフレはかなり力強い」「賃金上昇は加速し続ける」と自信を示したことでユーロ買いが先行しました。ユーロドルについては、一時1.18149ドルを示現し、6月14日以来の高値を更新しました。ただ、1.18ドル台では心理的に上値の重さが意識され、徐々に利食い先行の売りが目立ち、さらには米長期金利が上昇したこともあり、1.1740ドル台まで下落する場面が見られました。日本が祝日でアジア時間では閑散としたマーケットでしたが、その中で堅調な推移を見せたのがトルコリラです。トルコで自宅軟禁状態にある米国人牧師アンドリュー・ブランソン氏について、ポンペオ米国務長官が「今月解放される可能性」について言及すると、米国とトルコの緊張緩和への期待からリラ買いが強まり、トルコリラ円では18.576円まで続伸し、リスクオンのマーケットが継続していることを示す結果となりました。
今後の見通し
まずは、前日の動きでサプライズであったトルコリラですが、本日の東京時間においても米国人牧師アンドリュー・ブランソン氏の早期解放の可能性が意識され、トルコリラは堅調な推移になっています。10月12日にトルコ裁判所が判断を下すまでは、一旦棚上げになるかと思われていましたが、ここにきてトルコリラ買いの材料が揃いつつあります。ポンペオ米国務長官が早期解放の可能性を示唆したなかで、トルコ側から否定意見がでてこなかったことがより信憑性を高めているものと思われます。
また、明日の深夜、27日早朝に予定されているFOMCが次の注目材料として意識されそうです。FOMCでは0.25%の利上げが確実視されていますが、年内の追加利上げの見通しを巡り、FOMCメンバーのFF金利見通しやパウエルFRB議長の記者会見が注目されそうです。12月の利上げはまだ可能性としては50/50という状況であり、12月利上げに直結するような材料が出てくればドル買いは継続、明確な利上げ材料が出てこないようであれば一旦材料出尽くしでドル売りが主導するマーケットになりそうです。
通商協議関連では、米国による対中制裁関税第3弾が24日に発効し、中国も報復措置を取ったことで、トランプ米大統領がさらに2,670億ドルの対中追加関税を課す可能性など貿易戦争の泥沼化が懸念材料となっていますが、中国以外の国との通商交渉が進展していることは安心材料として捉えられそうです。当初昨日に予定されていた茂木経済再生担当相とライトハイザー米通商代表との貿易協議は本日に延期され、日米首脳会談が水曜に予定されていますが、既に茂木経済再生担当相が「事前協議もつれていない」と発言していることもあり、それほど大きな材料にはならない公算です。
112.80円でドル円の売りポジション、113円手前でどこまで足踏みするのかに注目
112.80円まで回復したこともあり、一旦ドル円のショートポジションを保持しました。今回の戦略は、あくまで強い基調のドル円ですが、113円では目先足踏みをするだろうと想定してのポジションです。よって損切り、利食い幅は比較的狭いものになっています。損切りは113.20円、利食いについては112円台前半が理想ですが、下値が限定的であればちょくちょく利食いを入れていく考えです。
海外時間からの流れ
独・9月IFO景況指数が予想103.2に対し103.7という結果になったことから、ユーロに関しては総じて堅調な推移となりました。また、ポンドもユーロに連れ高となり一時1.31658ドルまで反発しました。ただ、その後は米長期金利が上昇したこともあり上値が抑えられる結果となっています。
ポンペオ米国務長官が、米国人牧師アンドリュー・ブランソン氏について今月解放される可能性について言及したことがトルコリラ買いに繋がりました。本日は、時間が未定ながらエルドアン・トルコ大統領が国連総会で演説する予定であり、内容次第ではさらにトルコリラの動きが活発化するものと思われます。
今日の予定
本日は、注目の経済指標としては米・9月CB消費者信頼感指数のみになりそうですが、要人発言として黒田・日銀総裁、プラート・ECB専務理事、ブリハ・MPC委員、プラート・ECB専務理事、クーレ・ECB専務理事の講演が予定されています。
(提供:FXプライムbyGMO)
FXプライムbyGMO情報分析チーム
為替のみならず、株式、商品相場の経験者が多角的な目線でマーケットを分析します。執筆者は営業推進部マーケッツグループ長、稲井有紀、グループ長代行、崔 敏樹。