前日については、1月8日の高値113.384円が目先のレジスタンスとして意識されていましたが、ドル円はこの水準を上抜け、113.464円まで上昇幅を拡大しました。欧州時間序盤には、前日のパウエルFRB議長の発言内容が意識され、利食い先行の売りが強まり一時112.50円台まで下押しする場面が見られましたが、あくまでリスク先行の基調は維持され、NYダウが一時170ドル超を示現、且つナイト・セッションの日経平均先物が300円を超える動きになると、一気にドル買い、円売りが進行した模様。ファンダメンタル的には、四半期末を控えた実需筋のドル買いが継続的に入ったと考えられます。
今後の見通し
南アランド円、トルコリラ円を中心としたエマージング通貨の基調が強くなってきています。依然としてエルドアン・トルコ大統領とトランプ大統領の関係回復とはなっていないものの、トルコが拘留している米人牧師の早期釈放期待の高まりがトルコリラの底堅さをサポートしています。また、一部報道によるとアリババなどの大手中国企業がトルコ企業買収に積極的であると伝わったこともトルコリラ買いの材料になっています。18円後半までトルコリラ円は続伸しており、8月17日以来の19円台が射程圏内に入っています。
南アランドについても堅調な推移になっており、ランドについてはエルドアン・トルコ大統領が中銀の独立性を認めるような発言したことに加え、グロエペ南アフリカ準備銀行(SARB)副総裁、ラマポーザ南アフリカ大統領の発言がランド買いを強めています。前日から本日の動きとして、ドル円が年初来高値を更新したことにより目先ドルが買われているように見えがちですが、正確にはリスクオンのマーケットに引っ張られるようなかたちでドル円も上昇しています。リスクオンのマーケットであれば、一番恩恵を受けるのが資源国通貨、そして新興国通貨です。引き続き堅調なクロス円の動きは継続するものと考えられ、特にエマージング通貨に妙味があるのではないでしょうか。
ドル円は113.20円で損切り、ユーロドルショートに方向転換
ドル円112.80円のショートポジションは113.20円で損切り、一旦下落する場面もありましたが、基調の強さは変わりませんでした。ファンダメンタル、テクニカル両面から見ると、ユーロドルの売りポジションが機能しそうです。1.17ドルまで戻りを待ちたいところではありますが、1.1680ドル付近まで戻りがあればショートでの戦略を考えています。損切りのラインは1.1720ドル付近、利食いについては1.16ドル割れのレベルを想定しています。
海外時間からの流れ
前日の欧州時間では、イタリア政府が予算案の決定が延期されることはないと公式発表したことでユーロドルが1.17ドル割れの水準から1.1720ドル付近まで回復し、一旦は下げ止まったかと思われましたが、「イタリア政府は来年の財政赤字の対GDP比目標を2.4-2.5%とする」と報じられると売りが再燃し、イタリア政府が2.4%で合意と正式に発表したためユーロドルについては1.1640ドル付近まで一段安となり、上値の重いままNYクローズを迎えました。
ポンドドルについてては、ホールデンMPC委員の「現在のペースでの英成長には利上げを必要とする」との発言に買いで反応し1.31ドル付近から1.3160ドル台までポンド買いが進みましたが、30日に開催予定の英与党・保守党大会を控えて英国のEU離脱交渉の先行き不透明感が改めて意識されることになり、その後はポンド売り主導のマーケットになりました。結局1.3070ドル付近でNYクローズを迎えています。
今日の予定
本日は、独・9月失業率、英・第2四半期経常収支、英・第2四半期GDP(確報値)、ユーロ圏・9月消費者物価指数(速報値)、米・8月PCEコア・デフレータ、米・9月シカゴ購買部協会景気指数、米・9月ミシガン大学消費者信頼感指数(確報値)など月末特有の経済指標が多く発表されます。また、バーキン・リッチモンド連銀総裁、ラムスデン・BOE副総裁、ウィリアムズ・NY連銀総裁の講演も予定されています。
(提供:FXプライムbyGMO)
FXプライムbyGMO情報分析チーム
為替のみならず、株式、商品相場の経験者が多角的な目線でマーケットを分析します。執筆者は営業推進部マーケッツグループ長、稲井有紀、グループ長代行、崔 敏樹。