前週末については、日本時間24時前にロンドンフィキシングなどが絡む動きにより一時的にドル売りの動きがありましたが、全体的にはユーロの上値が意識されるマーケットになりました。イタリアは今後3年間財政赤字の対国内総生産(GDP)比率を2.4%に安定させる目標を掲げたことにより、このままでは一向に債務圧縮が進まない可能性があり、欧州連合(EU)側では反発の声が相次いだとの報道を皮切りにユーロ売りが強まりました。ユーロドルでは、一時1.15701ドルと12日以来の安値を付けたこともあり、これまで以上に、イタリア財政懸念や予算案を巡るEUとの対立などが警戒されそうです。
NY時間に入ると、月末・期末のロンドン16時(日本時間24時)のフィキシングに絡んだドル売りが観測されたこともあり、ユーロドルでは1.1570ドルの安値圏から1.1630ドル付近まで反発する動きが見られましたが、あくまで一時的な材料として捉えられたこともあり、影響は限定的となりました。一方ドル円については、113.60円付近から113.50円割れ付近までドル売りが進行しましたが、その後は引き続き底堅い動きとなり113.60円台でNYクローズを迎え、本日の東京時間には113.90円台を示現しています。
今後の見通し
引き続き米国を中心とした通商協議に加え、欧州圏の財政懸念などの問題が意識されそうですが、本日に関しては本日の13時に予定されている米国とカナダの北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉期限が重要視されそうです。本日のオセアニア市場より期待感の高まりにより加ドルが買われており、本格的にNAFTA合意との報道があれば、全体的にリスクオンの動きが強まりそうです。
前週はトルコリラ、南アランドのエマージング通貨がマーケットのリスクオンを牽引しましたが、上記NAFTA合意との報道があれば、今度は加ドルを筆頭とした資源国通貨がマーケットを牽引するのではないでしょうか。強いドルに弱い円という図式になっており、一見ドル円の買い戦略が最も妙味がありそうですが、リスク資産通貨がリスクオンを牽引している以上、ドル円のみに固執するのではなく、旬なクロス円の通貨ペアの買い戦略にすぐさま切り替える方が今のマーケットに対応しやすいものと考えられます。因みに、前週末から本日の東京時間にかけては、やはり加ドル円という通貨ペアに最も妙味があったと思いますし、NAFTA合意との報道があれば、本日は加ドルはもちろん、同じ資源国通貨のオセアニア通貨が面白そうです。
ユーロドルのショート、もしくはクロス円のロングの二択になりそうだ
ユーロドル1.1680ドルまでの戻り売り戦略でしたが、結果この水準まで戻ることなく下落しています。現状は、強いドルにバイアスをかけるか、リスクオンの地合いに付いていくかの二択ですが、今回は後者であるクロス円のロングの戦略を進めます。本日の13時まではNAFTA合意かどうかは不明ではありますが、一部報道によるとトルドー加首相が内閣を召集したと発表されており、マーケットも期待感をもって上昇しています。87.90円割れを損切りラインとし、88.40円台での押し目買い、利食いについては1円程度の利食い幅を想定しています。
海外時間からの流れ
米・9月シカゴ購買部協会景気指数は60.4と予想の62.0を下回ったほか、米・9月ミシガン大学消費者信頼感指数(確報値)は100.1と予想の100.6より弱い結果となり、且つ、ロンドンフィックスに絡むドル売りも散見されましたが、ドルの基調の強さに加え、リスクオンの動きをかき消すような材料は週末、月末のマーケットでは確認できず、引き続きドル円などのクロス円は堅調に推移しました。
本日の仲値については、一部大手邦銀が東京仲値で不足(ドル買い・円売り需要)だったことで、113.893円まで仲値発表時に上昇しました。また、日・第3四半期日銀短観-大企業製造業業況判断は市場予想+22に対して+19となったものの、マーケットへの影響は限定的でした。まずは、米国とカナダのNAFTA合意があるのかどうかに注目です。
今日の予定
本日は、英・9月製造業PMI、米・9月ISM製造業景況指数などが注目されそうですが、13時に米国とカナダの北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉期限が控えています。
(提供:FXプライムbyGMO)
FXプライムbyGMO情報分析チーム
為替のみならず、株式、商品相場の経験者が多角的な目線でマーケットを分析します。執筆者は営業推進部マーケッツグループ長、稲井有紀、グループ長代行、崔 敏樹。