昨日については、NAFTA再交渉の米加協議の合意報道が好感され加ドルが大きく買われる動きとなりました。海外時間に入ってもこの流れは変わらず、結局加ドル円は89.166円まで上値を拡大する動きとなりました。また、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の合意を受け、トランプ大統領も「NAFTA再交渉を約束する」と発言しており、引き続きリスクオンの地合いは継続するものと考えられます。
このリスクオンの動きを受け、ドル円は114円台を回復しており、一時114.058円(当社レート)まで続伸しました。非常に底堅い動きとなっているものの、値幅自体はそれほど大きなものにはなっていないので、旬な通貨である加ドルやメキシコペソなどのクロス円の買いにマーケットの興味は移りつつあるのかもしれません。
今後の見通し
全体的にリスクオンのマーケットになっているものの、ユーロとポンドが蚊帳の外にいる状況が続いています。欧州通貨については、明日まで英保守党が党大会を行っていることで目先は不安定な動きになりそうです。ジョンソン前外相については「もし私が首相になったらブレグジットは6カ月延期する」と述べ、英タイムス紙はメイ首相がブレグジットへの妥協を約束しているのではとの観測記事も出ていることで、様々な憶測が絡んできそうなため、目先の欧州通貨はあくまで様子見が吉かもしれません。
一方、ドル円が114円を示現したところでポジション調整の売りが出やすいマーケットになってはいますが、トルコリラ円が19円台、南アランド円も8円台をキープするなど、エマージング通貨、資源国通貨については堅調な推移が継続しています。引き続き、クロス円の押し目買い探しが当面のポイントになりそうです。短期的には加ドル円推奨ですが、中期的にはトルコリラ円、南アランド円にも十分妙味がありそうです。
理想の88.40円には届かず、加ドル円の追っかけ買いにてロングポジション保持
週明けの上窓開けでのスタート地点である88.40円台、この水準では一度は戻るかと思いましたが、それ以上に基調が強く88.40円台にもどることはありませんでした。結果的には加ドル円のロング戦略が最重要ポイントだったこともあり、88.70円台でのロングポジションを保持しました。加ドルの独歩高のような動きになってはいますが、引き続きリスクオンの動きが継続しているため、他通貨にも引っ張られるかたちで90円を目指す動きになると考えています。
海外時間からの流れ
欧州通貨としては、「英国がEU離脱合意を目指し、アイルランド国境問題で妥協案を計画している」との一部報道をきっかけにポンドが急伸、1.3010ドル付近から1.3110ドル台まで上昇しました。しかし、合意なき離脱への警戒感も根強く、ポンドに関しては戻りがあったところは売られるというこれまで同様の動きに終始しました。
ユーロについては、ポンド急伸の動きに連れるように一時1.1620ドル台まで反発しましたが、イタリアの財政赤字、トリア伊財務相の辞職懸念などが引き続き意識されており、ユーロについてもポンド同様に戻りがあったところは売られやすい傾向にあります。
今日の予定
本日は、経済指標としては英・9月建設業PMI、ユーロ圏・8月生産者物価指数が予定されており、要人発言としてホールデン・MPC委員、ハスケル・MPC委員、クォールズ・FRB副議長、パウエル・FRB議長の発言が注目されそうです。
(提供:FXプライムbyGMO)
FXプライムbyGMO情報分析チーム
為替のみならず、株式、商品相場の経験者が多角的な目線でマーケットを分析します。執筆者は営業推進部マーケッツグループ長、稲井有紀、グループ長代行、崔 敏樹。