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今や「人生100年時代」と言われています。長い人生の中では、何が起きるか分かりません。「海外転勤が決まった」、「リストラされて収入がなくなった」、はたまた「子供をもう一人授かった」――。20年後、30年後の暮らしが予定通りになるとは限りません。

家族構成や生活スタイルがライフステージに合わせて変化していくなかでは、暮らしの器となる、住まいとの付き合い方を考えることが求められます。住まいのあり方を考えていくうえで、優先順位をつけて判断していくべきこととして、一般的には「賃貸か分譲か」「新築か中古か」「都心か郊外か」などが挙げられますが、実は最も重視すべきことは「資産性」があるかどうかなのです。

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資産性が高いとはどういうことか

高度経済成長期の日本では、「マイホーム」と言えば新築の庭付き一戸建てを指すものでした。木のにおいがする、まだ誰も暮らしていない家を買う。中には自分で土地を見つけ、設計やデザインにも意見を取り入れてもらう……。こうした将来を夢見ている人は今なお少なくないでしょう。

しかしこのような「愛着や感性」ではなく「資産性」という切り口で考えてみると、日本の不動産マーケットにおいても新築より中古のほうが評価が高いとされるケースが増えてきました。

理由としては、新築住宅の価格には売主業者の利益や広告費、販売経費など計15~20%ほどの経費がかかっていること、新築は誰かが住んだ途端に中古扱いとなり、“新築プレミアム”は消えて価格は下がってしまうことなどが挙げられます。

最近では新築を礼賛し、中古を低く評価する考え方は薄れつつあります。いまや、中古物件を買い、リノベーション・リフォームして住むことは一般的になっています。それには、生き方や考え方の多様化が進んでいることや、中古物件の割安感、立地の良さ、資産性の高さ、人口に対する中古ストックの増大などが影響しているのではないでしょうか。

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住まいの資産性は、新築か中古かという点だけでなく、その立地の良し悪しにも影響されます。立地が良ければ換金性や収益性が高いからです。

換金性とは売りたい時に「売りやすい」、収益性とは貸したい時に「借り手が見つかりやすい、もしくは高い家賃設定ができる」ということ。自分が住まなくなっても誰かに必要とされる住まいは資産性が高いと言えます。

長く住み続けるためには、当然ながら手を入れていく必要があります。自分や家族のライフスタイルの変化に合わせて、住まいをリノベーションして住みやすくしていく。そのときに、自分好みの住まいにすることも大切ですが、自分以外の誰かが住んだ場合に使いやすいか、という点も併せて考えておくことをお勧めします。

室内の内装やインテリアは個人の力で変えられます。間取りを変えるような大がかりなリノベーションから自分でできるような簡単なDIYまで、バリエーションは広がっています。住みながら手を加えていくことでも、住まいの価値を上げることはできるのです。

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自分では変えられない部分が大切

住まいを買った後にリフォームやリノベーションはできますが、住まいを選ぶ時点で注意しておかなければいけないこともあります。それは、自分自身の力では後から変えられない点です。

まず立地や環境は変えられません。「不動産は立地が大切」とよく言われますが、利便性だけではなく、周辺の環境も含めてしっかり確認するべきです。「東京タワーが目の前に見える」「緑いっぱいの公園に隣接している」「ルーフバルコニーがある」など、唯一無二の価値が評価されます。

マンションの場合は、階数や部屋の向きによる日当たりや風通しなどは変えられません。また共用部分も個人では変えることはできないので、その管理状況も含めてチェックしておくべきです。共用部分が美しく整えられていると見た目の印象も良くなり、高い価格評価につながります。

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資産性の高い家は人生の強い味方になる

人生100年時代と謳われる昨今、子供が巣立ってリタイアした後でも、家族構成や生活スタイルが変化する可能性があります。

どんな生活や人生を送るにしても、「住まい」は必要です。賃貸でなく購入することを決めたのであれば、「資産性」という観点から立地や物件を検討し、購入後はそれを維持していくことが大切です。

人生で予定外の変化が起きても、資産性の高い家はきっとあなたの心強い味方になってくれるはずです。どんな家であれば資産性が高いのか、様々な角度からアドバイスしくれる良きプロのパートナーを見つけ、相談することをお勧めします。

文・四宮朱美
宅地建物取引士、マンション管理士、マンション管理業務主任者、ファイナンシャルプランナー、ホームステージャー。20代で自宅マンションを購入し、以後、数々の売却・買換えを経験、老朽マンションの建て替えにも取り組む。不動産・住まいの分野を歩み、住宅情報メディアの不動産広告を20年間制作。現在は、不動産や住宅に関する記事を取材・執筆するとともに、不動産購入に関するあらゆるサポートをする”不動産メキキスト”として活動。

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