昨日の海外時間では、NYダウが一時350ドル超下落し、ナイト・セッションの日経平均先物が300円下げた場面でこれまでの上昇分の調整が入り、ドル円は節目の114円のラインを下抜け、一時113.60円台まで下落しました。本日に米雇用統計を控えていることもあり、調整が入りやすい地合いであったことも、下落速度を速めたものと考えられます。その後は、3.17%台まで低下していた米10年債利回りも3.20%付近まで戻す動きとなったことでNYクローズにかけてドルの買い戻しが入りましたが、本日の東京時間では、再度114円を割り込む動きになっています。

ドルの調整売りが強まる一方、イタリアメディアが「EUはイタリア予算案を拒否するレターのドラフトを作成」と報じ、その後に否定されるなどイタリア財政問題に関しては向こう3年間の成長予想に関して報道が一本化されておりませんが、EU筋からの「英国のアイルランド国境問題に関する新提案は正しい方向への一歩で、妥協点を見つけることが可能に」との報道を受けユーロは買い戻しの動きを強めました。ユーロドルでは一時1.1540ドル台まで上昇し、ポンドドルでも1.3040ドル台まで反発しています。

ただ、気になるのが原油価格の下落です。これまではリスクオンの地合いによりクロス円は上昇基調を強めてきましたが、サウジアラビアとロシアが増産で合意したことを受け、原油価格が下落しており資源国通貨のクロス円が軟調に推移しています。本日は米雇用統計が何より重要な経済指標ではありますが、この原油価格の動きが一時的なものかどうかを見極めるにも重要な日になりそうです。

今後の見通し

FXプライム,市況解説
(画像=PIXTA)

目先では、本日の米雇用統計が重要なポイントになりそうです。今週水曜に発表されたADP雇用者数は市場コンセンサスを上回る強い結果となり、民間部門雇用者数の23.0万人増と整合的な結果となりました。ただ、ハリケーンの影響がADP雇用者数等に反映されていない可能性があると考えられており、例え市場予想よりも弱い結果になったとしても、非農業部門雇用者数が20万人を多少下回る程度の数字であれば、一時的にはドル売りが強まるかもしれませんが、その後は徐々に織り込み始め、買い戻されるような展開を想定しています。

本日の東京時間では、本邦が3連休前のゴトー日とあって仲値に向けてはドル買い需要が意識される半面、日経平均株価下落が見込まれるなか上値も試しづらい面があり動きづらい状況になるかと思われましたが、一部報道で本邦長期金利の上昇を受けて「本日10時10分過ぎに日銀が指値オペを実施するのでは」との噂も一部で浮上していましたが、結果は無風通過、やはり米雇用統計待ちの体制に変わりはなさそうです。

原油価格の下落が資源国通貨の下落を招いてしまった

88.70円台の加ドル円ロングポジションは、原油価格の下落に伴い88.20円で損切りとなってしまいました。クロス円の材料が錯綜しており、本日は米雇用統計も控えていることから、一旦ポジションスクエで行きたいと思います。

海外時間からの流れ

米・新規失業保険申請件数が20.7万件と21.5万件の予想よりも改善したものの、加・9月Ivey購買部協会指数が50.4と前回の61.9から大幅に悪化しました。原油価格の下落により資源国通貨が利食い先行の売りが入りやすい状況であったこともあり、加ドルを中心としたクロス円は上値の重い展開となりました。

今日の予定

本日は、経済指標としては米雇用統計、加雇用統計が予定されています。特に、米雇用統計への注目度は非常に高いものになりそうです。

(提供:FXプライムbyGMO)

FXプライムbyGMO情報分析チーム
為替のみならず、株式、商品相場の経験者が多角的な目線でマーケットを分析します。執筆者は営業推進部マーケッツグループ長、稲井有紀、グループ長代行、崔 敏樹。