昨日の海外時間では、NYダウが一時220ドル超の下落となったことを受けリスク回避の動きが強まり、ドル円は113円を下抜け112.826円まで下落しました。ただ、その後は米国債券相場がコロンブスデーの祝日で休場だったため、米長期金利の動向を警戒した動きが一服し、NYダウが持ち直したことでドル円にも買い戻しが入り113.25円付近まで値を戻しました。しかしながら、休暇明けの東京市場では再びリスク回避の動きが強まっていることもあり、一時112.937円を示現しています。
じりじりとこれまでのリスクオンの動きの調整が強まっているなか、本日の海外時間では久々にトルコリラが注目されそうです。アルバイラク・トルコ経済相が「本日、インフレ抑制策を発表する」とツイートしたこともあり、海外時間では期待感も含めた動きになる可能性があります。ただ、トルコリラのボラティリティが一段落していることを踏まえると、どのような内容になっても、以前のようなマーケットが壊れてしまうような動きにはならない公算です。
今後の見通し
今週に関しては、金曜のNY時間に発表される可能性が高い米財務省半期為替報告書に注目が集まりそうです。トランプ政権は中国人民元の下落に対する懸念を強めていると報じられており、今期報告書で中国がこれまでの監視対象国から為替操作国に変更されるかどうかがポイントになりそうです。日本については、実質的に割安であると引き続き指摘される可能性が高いものの、今回の主要トピックからは除外されていると考えてよさそうです。ただ、批判のトーンに変化があるかには注目したいです。
その他では、木曜から金曜にかけてG20財務相・中銀総裁会議が開催されます。昨日の海外時間より、EUと英国が離脱合意に近いとの期待を背景にポンドが買われてきており、ヘッドライン次第では欧州通貨の動きに注目が集まりそうですが、ラーブ英EU離脱担当相のブリュッセル訪問が今週予定されていないと判明したことで交渉進展が期待できないとの観測もあり、マーケットを先導するような動きにはならないと考えられます。
1.15ドル半ばのユーロドルの戻り売り戦略
基本的には週末に予定されている米財務省半期為替報告書待ちのマーケットではあるものの、ユーロについてはイタリアの情勢に変化なく予算案の提出も15日と引き続き上値が意識される通貨となりそうです。テクニカル的にも1.15ドル半ばが意識されており、1.15ドル前半から半ば付近での戻り売りを目先の戦略とします。ただ、ボラティリティ自体が再び小さくなってきているので利食い、損切りの幅は通常時よりも狭めた戦略とします。損切りは1.1580ドル、利食いは1.1440ドルです。
海外時間からの流れ
前日は、東京市場、NY市場が祝日となったため、大きな動きにはなりませんでしたが、全体的にリスク回避の動きが強まりました。本日も日経平均株価が300円超の下落となっており、これまでの主流であったリスクオンの調整が前週末より継続しています。イタリアの情勢についても、15日に予算案提出を控えており、目途が立たない以上積極的にユーロを買い戻す動きにはならないと考えられるため、1.15ドル半ば付近まで戻りがあるようであればユーロドルについては絶好の売り場として意識されそうです。
今日の予定
本日は、経済指標としては独・8月経常収支、加・9月住宅着工件数などが予定されていますが、主要なイベントは予定されていません。要人発言としては、ウィリアムズ・NY連銀総裁、ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁の講演が予定されています。
(提供:FXプライムbyGMO)
FXプライムbyGMO情報分析チーム
為替のみならず、株式、商品相場の経験者が多角的な目線でマーケットを分析します。執筆者は営業推進部マーケッツグループ長、稲井有紀、グループ長代行、崔 敏樹。