前日の海外時間では、引き続きNYダウが続落となり一時700ドル近く下落するとリスク回避の動きの強まったこともあり、ドル円は111.836円とこの日の最安値を更新しました。背景には、トランプ大統領が「ドルが非常に強く、国内でビジネスをすることを困難にしている」などと述べ、ドル高要因になっているFRBの継続した利上げを批判したことも要因として考えられます。ただ、本日の日経平均株価については安値圏から下げ幅を縮小しており、ややマーケットにも落ち着きが見られます。

トルコリラについては、トルコ・8月経常収支が市場予想25.0億ドルの黒字に対して25.9億ドルの黒字となり、予想外の数字を弾き出しました。トルコ急落の8月の数字ということもあり、マーケットの注目は非常に高いものでしたが、経常収支の結果を受けトルコリラ円は18.40円付近からじりじりと上昇し18.80円付近まで反発しました。また、本日の注目材料であるブランソン牧師の審理について、一部報道では「米国とトルコは同氏の釈放を巡り合意。数日中に釈放される見通し」と既に報じており、本日のリスクイベントに期待感を持たせたこともトルコリラが上昇した要因だと考えられます。

今後の見通し

FXプライム,市況解説
(画像=PIXTA)

本日の海外時間については、ブランソン牧師の審理が本日の注目材料ということになりそうです。既に同牧師の解放については、ポジティブな報道があることからマーケットも徐々に織り込みつつあり、実際に解放となればトルコリラ円は20円を目指すような動きになるのではないでしょうか。ただ、市場の期待が高いこともあり、逆に解放が不可となればトルコリラの失望売りが出てくるため、この点は注意が必要になりそうです。

米財務省半期為替報告書が来週15日前後になるのではないかとの思惑もあり、目先は中国が為替操作国に認定される可能性というのは棚上げということになりそうですが、ここにきて米財務省が中国を為替操作国として認定しないとの観測報道があり、水面下では非常にポジティブな内容が取り沙汰されています。上述したように、事前報道通りブランソン牧師が解放されれば、リスク回避の動きも一旦落ち着きを見せるかもしれません。

想定以上にドルが弱い、方向転換が必要

NYダウの続落を受け、想定以上にドル売りが強まっています。今年の2月との比較報道が相次いでいますが、2月については円の独歩高、今回は全体的にリスク回避の動きになっており、意味合いは2月とは違う印象があります。VIX指数についても、2月は37まで上昇しましたが、今回は25であることからマーケットも一時的なものであると考えているのではないでしょうか。ただ、目先ドル売りが強まっていることは事実であり、方向転換が必要になってきそうです。前日のレジスタンスラインである112.80円を損切り目途に、112.50円程度でのドル円戻り売り戦略。利食いについては、112円割れ程度を想定しています。

海外時間からの流れ

イタリアの予算問題で渦中のユーロについては、前日は9月ECB理事会議事要旨が公表され、「インフレ見通しに対する不確実性は後退しはじめている」「成長減速の背景にある要因が一時的でないという意見があった」との報道がありましたが、影響は限定的となりました。引き続き、14日のドイツのバイエルン州議会選挙での政権与党の苦戦懸念、15日までに欧州委員会へ提出される予定のイタリアの2019年度予算案への警戒感が意識されていると考えられます。

経済指標としては、米・9月消費者物価指数(前月比/前年比)が市場予想+0.2%/+2.4%に対して+0.1%/+2.3%となり、ドル売りが強まりました。この時点で前日については、ドルが最弱通貨となったことからユーロドルでも1.16ドル付近まで急反発する動きを見せています。本日も、じりじりとした動きではありますが、1.16ドル台を示現しています。

今日の予定

本日は、米・9月輸入物価指数、 米・10月ミシガン大学消費者信頼感指数(速報値)などの経済指標が予定されています。要人発言としては、エバンズ・シカゴ連銀総裁、ボスティック・アトランタ連銀総裁の講演が予定されています。

(提供:FXプライムbyGMO)

FXプライムbyGMO情報分析チーム
為替のみならず、株式、商品相場の経験者が多角的な目線でマーケットを分析します。執筆者は営業推進部マーケッツグループ長、稲井有紀、グループ長代行、崔 敏樹。