前日の海外時間では、注目のECB金融政策発表後のドラギECB総裁の定例会見にて「経済成長へのリスクは概ね均衡」「インフレに関する我々の自信を疑う理由がない」との認識が示されると、ユーロドルは一時1.14ドル付近から、1.1430ドル付近までユーロ買いになりましたが、引き続き「broadly balanced」のワードが活用されたことにより、ポジティブサプライズはないとの認識が広がり、イタリア予算案の問題が解決していないなか、積極的にユーロを買い進める材料がなくなり、ユーロドルは1.1350ドル台まで下落しました。
ポンドについては、ラーブ英EU離脱担当相が「EUと最善の合意へ向けて努力している」との発言が見られるものの、「EUが譲歩しない姿勢を示すなら合意なき離脱のリスクはある」との発言が嫌気され、軟調に推移になりました。ポンドドルは1.29ドルを明確に下抜け、一時1.27985ドルを示現するなど、マーケットの合意なき離脱への警戒感は徐々に強まりつつあります。
ドル円については、前日はNYダウ反発に連動するように112.70円付近まで反発しましたが、引け後に発表されたアマゾンの決算は7-9月期の売上高と業績見通しが市場予想を下回ったことで、再び下落基調を強め、ドル円は112.30円を下抜ける動きになっています。前日分の上昇幅を一気に帳消しにする展開になっており、本日のNYダウ次第ではさらに下落幅を拡大する可能性がありそうです。ただ、株価連動の動きがより強まっていることもあり、NYダウが再度上昇基調を強めれば、ドル円も上値追いの展開になると考えられます。
今後の見通し
トルコ中銀(TCMB)政策金利発表は、市場予想通り24.0%の据え置きになりました。据え置きは予想通りではありましたが、引き締めスタンスの維持を表明し、今後のインフレ動向次第では再利上げの可能性を示唆したことが好感されたと考えらえれます。エルドアン大統領が国内の銀行に金利引き下げ要請を行ったと一部報道があってから、若干疑心暗鬼になっていたマーケットも、これで再度リラ買いに安心感が出てくるかもしれません。注目の10月トルコ消費者物価指数(CPI)は、11月5日に発表されます。
ユーロについては、イタリアの予算案の提出が最大で12月3日までかかる(イタリアからEUへの再提出+EUからの回答含む)ため、それまではEDP(過剰財政赤字手続き)が意識される展開が継続しそうです。前日は、ドラギECB総裁が非常にスマートな会見をしたものの、すぐさまイタリアの問題がクローズアップされユーロ売りに繋がったことを考えると、戻りがあったところではユーロ売りの地合いは当面続きそうです。
ドル円については、本日のNYダウがどれだけ耐えられるかどうかで来週の動きが変わってきそうです。アマゾンショックが尾を引いているなか、前日のNYダウに関しても高値圏から緩んだ水準で引けていることもあり、悪材料を拾いやすい地合いになっています。ユーロ、ポンドなどの欧州通貨はイタリアの予算案、ブレグジットの問題で一喜一憂する動きになりそうですが、ドルについては株価連動の動きが来週も継続しそうです。
イタリアの予算案が解決するまでは、ユーロは戻り売りが機能しそうだ
ユーロ円、128.20円付近での戻り売り、やはりユーロの上値は重いようでこの戦略は機能しました。128.00円に利食いの逆指値を入れておき、利食いについては127.10円付近まで引き付けてたいと考えています。利食いの逆指値、利食いの指値、どららにもヒットしなくてもユーロに関してはプラスの材料が出てくるとは考えづらいので、どちらかがヒットするまではポジションを保持したいと思います。
海外時間からの流れ
ユーロについては、ドラギECB総裁がバランスのとれた会見をしたにも関わらず、イタリアの予算案問題が意識され、上値の重さが目立ちました。ポンドについては、ブレグジット問題が再び泥沼にはまる可能性があり、マーケットは完全に戻りがある場合はすぐさま売りという流れになっています。あくまで株価連動型の通貨ペアになってはいますが、クロス円であればロングはドル、ショートはユーロ、ポンドという図式が徐々に構築されつつあります。
今日の予定
本日は、米・第3四半期GDP(速報値)、米・10月ミシガン大学消費者信頼感指数(確報値)などが予定されています。
(提供:FXプライムbyGMO)
FXプライムbyGMO情報分析チーム
為替のみならず、株式、商品相場の経験者が多角的な目線でマーケットを分析します。執筆者は営業推進部マーケッツグループ長、稲井有紀、グループ長代行、崔 敏樹。