こんにちは。
相続税専門の税理士法人トゥモローズです。

小規模宅地の特例のうち、亡くなった人などが住んでいた建物の敷地について、80%の評価減ができる「特定居住用宅地」について、その自宅敷地の範囲が実務上、よく問題となります。自家用駐車場については、自家用駐車場も特例対象になる?!の記事で詳細に解説をしましたが、駐車場以外にも、庭、家庭菜園、農機具置き場、庭内神しなど、自宅の敷地には様々な用途の場所が存在します。今回は、これらについてわかりやすく解説します。

1. 庭

自宅建物と一体として利用されている場合には、庭部分についても自宅敷地の範囲に含めて小規模宅地の特例の適用が可能となります。

2. 家庭菜園

これも庭と同様に自宅建物と一体として利用されている場合には、家庭菜園部分についても自宅敷地の範囲に含めて小規模宅地の特例の適用が可能となります。
なお、家庭菜園に該当するか農地に該当するかは明確な決まりはありませんが、下記条件を総合的に考慮して判定することになります。

その位置

自宅と家庭菜園が公衆用道路で区切られているような場合には自宅と一体とは認められないため家庭菜園とは考えません

その規模

極端に言えば何ヘクタールもあるような規模のものを家庭用菜園と考えるのは無理があります

農地台帳登録の有無

農業委員会で農地として登録されているか否かを確認します

出荷の有無

自家消費レベルであれば家庭菜園と考えて問題無いでしょう

固定資産税上の地目

固定資産税評価における課税地目が畑なのか宅地なのか

もちろん、家庭菜園ではなく農地に該当した場合には、自宅敷地ではなくなりますのでその部分は、小規模宅地の特例の適用は出来ません。

3. 農機具置場

農機具置場となっている納屋などの敷地については、下記のように考えます。

① 家庭菜園に係る農機具置場

特定居住用宅地に該当
上記2と同様のロジックで自宅敷地の一部と考えることが出来るでしょう

② 農地に係る農機具置場

特定事業用宅地に該当
被相続人等の事業(農業)の用に供されていた宅地であれば、特定事業用宅地に該当し400㎡まで80%の評価減が可能です。

ただし、その納屋が下記建物又は構築物に該当しないことが要件です。
イ 温室その他の建物で、その敷地が耕作の用に供されるもの
ロ 暗渠その他の構築物で、その敷地が耕作の用又は耕作若しくは養畜のための採草若しくは家畜の放牧の用に供されるもの

なぜ上記二つが除かれているかというと、農地の納税猶予の適用があるからです。特例措置を二重に適用することを防止している規定なのです。

4. 庭内神し

庭内神しの敷地についても自宅敷地の一部と考えられますが、そもそも庭内神しの敷地は、相続税が非課税となっているため小規模宅地の特例の適用も関係ありません。ゼロ評価のものを減額する余地がないためです。

庭内神しとは

平成24年7月 国税庁情報
(画像=税理士法人トゥモローズ)

庭内神しの取扱いの解説

庭内神しそのものは元々相続税が非課税でしたが、庭内神しの敷地については相続税の課税対象でした。しかし、平成24年7月に国税庁から情報が発せられ、下記のような事項を総合的に判断して、その敷地についても相続税の課税対象から除かれるようになりました。
① 庭内神しの設備とその敷地、附属設備との位置関係やその設備の敷地への定着性その他それらの現況等といった外形
② その設備及びその附属設備等の建立の経緯・目的
③ 現在の礼拝の態様等も踏まえた上でのその設備及び附属設備等の機能の面から、その設備と社会通念上一体の物として日常礼拝の対象とされているといってよい程度に密接不可分の関係にある相当範囲の敷地や附属設備(提供:税理士法人トゥモローズ)