投資信託(ファンド)を購入する際に、販売会社から必ず交付されるのが「投資信託説明書(交付目論見書)」です。すでに投資を行っている人でもその見方がよくわからず、購入の際に受領確認はするものの、しっかりと目を通していない人も多いのではないでしょうか。ここでは、交付目論見書にはどのような内容が記載されているか、また交付目論見書の注意しておきたいポイントなどについて知っておきましょう。

「重要書類」とは知っているけれど、交付目論見書って何?

交付目論見書
(画像=polkadot_photo/Shutterstock.com)

「投資信託説明書(交付目論見書)」は、投資信託を購入する際に、販売会社から投資家への交付が金融商品取引法において義務付けられている書類です。ファンドの重要事項が記載されている「説明書」ともいえるでしょう。そのファンドの目的や特色、投資するにあたってのリスクなども記載されています。そのため、投資信託を始めるときには必ず目を通しておきたい書類です。

ちなみに、交付目論見書に加えて、販売会社から交付される目論見書には、さらに詳細な事項が記載された、投資家が任意で入手できる「請求目論見書」というものも存在します。投資初心者にとっては、2種類の目論見書があるとそれらとどう向き合っていいのか迷いますが、まず交付目論見書の内容を理解した上で、必要に応じて請求目論見書を参照するといいでしょう。

交付目論見書に記載されている内容

交付目論見書にはどのような内容が記載されているのか、具体的にあげていきましょう。主に5つのことが書かれています。

1.商品分類、属性、委託会社の情報

ファンドの投資先(国内・海外)やファンドの委託会社などの基本情報が記されています。

2.ファンドの目的、特色

そのファンドが目的とする事項や投資対象、投資方針、分配方針などが記載されています。それらの情報を踏まえ、ファンドの仕組みがどうなっているのかをチェックできる項目です。ここを見れば、どのように収益を上げるファンドなのかを理解できるでしょう。

3.投資リスク

基準価額や為替、金利などの変動について、その要因を含めたリスクが詳細に書かれている項目です。リスクが大きくなると予想されるものから順に記載されることがあり、それを参考にしながら他の商品と比較したり、リスクを極力回避する策を立てたりすることも可能です。

4.運用実績

過去の基準価額や純資産額、分配金や年間収益率の推移に加え、主な投資資産や投資信託の実績などを記しています。また、新設のファンドにはもちろん運用実績はありません。

5.手続、手数料等

ファンドの購入単位や価額、運用管理費用のほか、購入時や解約時の手数料など、投資家が負担する金額の条件について書かれています。さらに分配金や換金の際にかかる税金、また償還時などの税金についても説明されています。

これらの内容を踏まえ、特に基準価額や純資産総額が下がっていないか、手数料や税金がどれくらいになりそうなのかをチェックするといいでしょう。そのファンドが安定した運用を行っているのか、自分が負担すべき金額がどれくらいなのかを把握することで、ファンド選びや購入後の損益計算の目安にすることができます。

注意したいポイント、それは書類が「更新」されること

交付目論見書は、2010年7月に簡素化が行われ、それ以前に比べるとかなり読みやすいものとなっています。そのため、上記のような内容のチェックも容易になりました。ただし、交付目論見書の内容を理解した上で、注意しておきたいポイントがあります。

それは、交付目論見書の内容は随時更新されるということです。交付目論見書が更新されると販売会社が再発行を行いますから、その都度変更点をチェックすることが必要です。特に購入してから長期間にわたり確認していない場合には、販売会社に問い合わせて再発行を受けてもいいでしょう。

不明な点があれば販売会社(証券会社や銀行等)に問い合わせて、しっかりと内容を理解することも大切です。交付目論見書に記載された問い合わせ窓口に連絡すれば、詳細に内容を説明してもらえます。交付目論見書の内容がわからないからといって読み飛ばさずに、ファンドの購入前には不明瞭なところはしっかりとクリアにしておきましょう。

(提供:フィデリティ投信