「人生100年時代」といわれるようになり、以前に比べ、定年退職後に残された時間は格段に増えています。定年後の第二の人生を充実させるために、趣味に打ち込む人も少なくありません。

より充実した老後をスタートさせるためには、定年退職した時点で趣味を探すのではなく、定年の少し前の時期から自分にあった趣味を準備しておくことが大切です。今回は、定年間近から始めるのにおすすめの趣味や選び方をご案内します。

老後には「きょういく」「きょうよう」が必要

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(画像=PIXTA)

高齢者には、「きょういく」と「きょうよう」が必要だといわれています。これは「教育」、「教養」という意味ではありません。

「きょういく」とは「きょういく(今日行く)所がある」という意味で、「きょうよう」とは「きょうよう(今日用)事がある」という意味です。つまり、毎日行く所があり、その場所で何かの用事があることで、生きがいが生まれるという意味なのです。

「毎日スーパーマーケットに行って買い物をすることも、『きょういく』、『きょうよう』に当たるのでは?」と考える方もいるかもしれません。ですが、それは「きょういく」、「きょうよう」の真意とは少し違います。

スーパーマーケットでの買い物は、ただの日常的な作業に過ぎず、決してその人に変化を与えるものではないからです。「きょういく」、「きょうよう」の真意は、ある場所に行って、誰かと時間を共有することなのです。

一時的なボランティアよりも余暇の柱になる趣味を持つ

「きょういく」「きょうよう」の一例として、定年後の時間を利用した地域のボランティア活動などが考えられます。趣味を作って、文化サークルなどに積極的に参加することも、それに当たるでしょう。

ボランティアはその場限りのことが多いですが、趣味は自宅に帰った後でも取り組むことができ、余暇の過ごし方の柱になります。ボランティア活動と趣味の大きな違いは、継続して「きょういく」「きょうよう」の場があるかどうかです。このように、定年後に趣味を持つことは、老後を豊かにする糧だといえるでしょう。

老後の趣味を個人で楽しむなら習い事がおすすめ

「老後のために趣味を作ったほうがいいですよ」と言われても、「趣味なんて……」と感じてしまう人もいるでしょう。

老後の趣味選びで、まず提案したいのは、習い事を始めることです。

例えば、ウォーキングを趣味として一人で始めようとしても、多くの人は挫折します。一人で趣味をやるためには、確固たる意志とモチベーションの維持が必要だからです。ほぼ無料でできるものは、やる気が持続しにくいでしょう。

ある程度の受講料を払い、定期的に通う、文化サークルや教室などに入会することをおすすめします。受講料を支払えば、「途中で止めるのはもったいない」という心理が働きます。さらに、定期的にサークルに通うことで、同じ志を持った人たちと顔見知りになり、続けることが苦ではなくなります。

例えば、最近ブームとなっている「ヨガ」。他のスポーツ系に比べて、用具代があまりかかりません。ヨガウエアとヨガマットで数千円程度です。レッスン代も月に一万円前後ですので、自分のお財布と相談しながら、通う回数を調整するといいでしょう。

そのほか、英語や中国語などの語学を習う方法もあります。こちらは、教室形式か個別指導かによって、レッスン料も変わってきますので、自分にあった形式を選択する必要があります。なお、語学が上達してくると、次に「海外旅行をする」という新たな目標も生まれてきます。明確な目標があることで、やりがいを感じる人が多いはずです。

誰かと一緒に趣味を始めるなら旅行がおすすめ

先ほどご提案した趣味は、個人で新たに始めることを想定したものでしたが、友人と一緒に始められる趣味もご紹介します。

定年後ですから、友人も60歳を過ぎている場合がほとんどのはずです。子どもがいる友人でも子育てが終わり、比較的自由に時間が取れるでしょう。

そんな友人たちと定期的に、旅行に行く趣味を持つのはいかがでしょうか。旅行計画を立てて、気が置けない旧友たちと名所旧跡や温泉地を旅行することは、日頃のストレス発散にもなります。

国内旅行でも海外旅行でも、現在多くのプランが旅行会社から出されています。友人と意見を出し合って決めていく時間も、大きな楽しみになるでしょう。すでに仕事をリタイアしているわけですから、夏休み・お盆休み・年末年始以外に旅行することで、費用も低く抑えることができます。

ただし、旅行費用の捻出には注意が必要です。いくら国内旅行といっても、一回の旅行で数万円から数十万円の費用がかかります。できれば、旅行費用専用の銀行口座を作っておいて、毎月無理のない金額を積み立てておくことをおすすめします。この場合も、定年退職してから積み立てするのではなく、定年の数年前から始めておけば、退職してすぐに趣味の旅行を始めることができるでしょう。

数十年前なら、定年退職後に残された年数はそれほど多くありませんでした。しかし現在では、定年後でもまだ体力がある方も多く、残された年数も十分にあります。充実した老後を過ごすためにも、自分にあった趣味を早めに見つけ、退職後に時間を持て余さないようにしたいものですね。

文・井上通夫(行政書士・行政書士井上法務事務所代表)/fuelle

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