高校生

投資信託を買った後はどうするの?

高校生でもわかる投資入門,トウシル
(画像=トウシル)

ひな:しんた君、ふふふ。

しんた:1,000ポイントで「インデックス投資」を始めたひなちゃん! もしかして、投資信託でもう利益が出たの?

ひな:まだそこまで出てないよ~。でも値動きがあって楽しい! ところで、ちょっと気になったんだけど、実際に投資信託を買ってから、つまり運用中はどうすればいいのかな?

しんた:その質問、待ってました! 投資って、そこが難しいらしい。投資した後、「どうする」か。「売る」、「買い増す(つみたて)」、「様子見」の3つの選択肢がある。

どれくらい下がったら(上がったら)売る?

しんた:ひなちゃんの場合、「貯まった1,000ポイントで投資を開始。しばらくは、ポイント投資を追加していくつもり」だよね。それなら、「いつでも買い増し」でいいんじゃない。長期投資、ぼくたちが勉強してきたとおりにやればいいと思う。ある意味、つみたてと同じようなものだからね。それに、まだ1,000円程度の少額投資だし。

ひな:あー。1,000円だからって、軽く見てない? 少額だって、値動き結構気になるんだから!

しんた:じゃあ、ここで、投資家になったひなちゃんに3択クイズです!「売り」、「買い増し(つみたて)」、「様子見」から選んでください。1,000円投資して、10%値下がりしました。100円損が出ました。さて、ひなちゃんだったら、どうする?

ひな:「様子見」。たった100円だし、いずれ戻る可能性が高いって思っているし。

しんた:うん。ぼくもそうするな。じゃあ、次。10万円投資して、1万円損したら?

ひな:それは怖い! すぐに「売る」。その後、「しんた君のアドバイスが悪いから損するんだー、弁償してちょうだい」って、大騒ぎする!!

しんた:やれやれ。同じ「様子見」でいいじゃん? どちらも10%の値下がり、だよ?

ひな:あ、本当だ。

しんた:じゃあ最後のクイズ。10万円投資して、5%。つまり5,000円値上がりしたら、どうするの?

ひな:「売り」たい! 5,000円で、お買い物しちゃうかもー。

しんた:そうだよね。その辺が、一般的なんだって。「利益」が出たら、すぐ売っちゃう、「損失」は、「様子見」して大きく下げてから「売る」人が多いんだって。

ひな:大きく下げてから売ったら、損失が膨らむじゃん! ぎゃ!

しんた:だからね。ぼくが投資で利益を得るコツを伝えるよ!まずは、投資資金のうち、長期で投資を行う分は、原則「様子見」、もしくは「買い増し」。本当にまとまった資金が必要になるまで、「売り」は行わない。ここまではいいかな?

ひな:いいから、早く次に行きなさいよ。

しんた:(最近強さが増してきたな…)一方で、長期投資でない場合、つまりは「売り」を行う場合、大きなポイントは、「決め」。

ひな:「決め」?

しんた:投資って、格言みたいなものがあるんだって。例えば「利食い千人力」。少額でも「利益が出たら、売って利益を確定する(=利食い)」ことを言うんだ。利益確定したことで、後はどれだけ市場価格が下がっても関係ない。確定した利益が確実に手元に残る。

ひな:ふむふむ。

しんた:さっきの例の続きだけど、ひなちゃんは、10万円を投資して、1万円の利益でそれを売却しました。その後、もう一度、10万円の投資をして、今、10%(=1万円)の損が出ています。ひなちゃん、「売る」?

ひな:売らない。だって、最初の1万円の利益があるから。合計ではマイナスになってないからね。あ、なるほど!だから、「千人力」、つまり、無敵、ってことね。最初の1万円を確定したおかげで、考え方が変わってくるのね。

しんた:そう。ここでは、いくら利益になったら売るかを先に「決め」ておくのがポイント。自分が選んだ投資信託が、どれくらい上がりそうか、考えておく。例えば日経平均株価だったら、過去10年でザックリ50%上がっている。過去20年でもザックリ50%。過去30年だと、超バブルだったから、下がっている。

ひな:ん、んーーー。ちんぷんかんぷんだな、こりゃ。

しんた:「決め」だからね。過去20年、ザックリ50%で考えてみる。単純計算なら年率2.5%。少し固めに見積もって2%にしようか。偶然にも、日銀の黒田総裁が物価安定の目標としている2%と同じになったね。ここで、ひなちゃんは、投資資金を期間10年で運用することにしようか。

ひな:年率2%ってことは…、10年間で大体20%上がるってことね。

しんた:そう。そこで、「決め」ておく。途中で20%値上がりしたら、「売る」ってね。

ひな:えー! その後上がるかもしれないじゃん!

しんた:そこがミソ。利食い千人力をやるんだ。下の図を見てみて。

10年後に20%上昇する資産の比較

表1
1:株やリートなど値動きが激しい資産の例
2:債券など値動きが安定的な資産の例

しんた:1も2も、どちらも10年間で20%上がるんだ。でも、オレンジは3年後にいった ん、20%を達成してるよね。

ひな:うん。

しんた:そこで、「利食い千人力」を実施する。全額売って12万円手に入れる。

ひな:目標金額に到達したら、「売る」ってことね。上のグラフの場合、10年待っても、同じ利益だもんね。

しんた:あらかじめ「決め」ておかないと、3年後には売れない可能性が高いよね。

ひな:少なくとも、あたしは売れないわ。

しんた:でもさ、3年で利益確定したら、次の投資を開始できるんだ。これを踏まえて、実はボクは投資のコツを提案したい!

ひな:いよっ、しんた君!待ってました!

しんた:今回のまとめ↓

投資を開始するときに、「売り(利益確定の売りと損失確定の売り)」の基準を「決め」ておく

ひな:利益確定だけじゃなくて、損失も決めておくのね。

しんた:そう。ずるずる損を抱えて運用してもうまくいかないことが多い、って記事を読んだんだ。自分が投資の入るタイミングを間違えたと思ったら、サクッと損失を確定して、次の投資へ向かったほうが良いと思うよ。

ひな:へー。なんで?

しんた:実はね、さっきの「利食い千人力」だけど、売る時だって、「損切り千人力」なんだ。損は確定するけど、より良い投資資産を見つけて、新たな出発をしたほうがいいと思わない? だって、「上がる」と思って買ったのに、「下がって」いるわけじゃん。あとね、「運用が上手な人は、損切りが上手な人が多いらしいよ。」って、お父さんが言ってた。赤字で運用していると、ただ戻るのを「様子見」することが多くなって、新たな投資機会を見逃しちゃうんだって。でも、黒字で運用していると、半分だけ利益確定したり、追加で運用資金を投入してさらに利益を上乗せしたり、ってできるんだって。

ひな:あ! 確かに、さっきのしんた君のクイズ、確定利益の1万円が手元にあるから、次の投資で少しくらい失敗しても、ちょっと余裕を持った気持ちにでできるかも。

しんた:でしょ、でしょ! それでね、他には……。

ひな:ちょっと待って! いま頭がいっぱいだから次回にして!

しんた:投資のコツ、その2と3は次回か……。

覆面ファンドマネージャー
楽天証券 投資運用室
大手銀行で運用業務やファンド選定業務などのマーケット関連業務に約20年携わり、投資業務や運用業務などを行ってきた。現在は、楽天証券の「楽ラップ」などの投資・運用業務に従事している。

(提供=トウシル

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