富裕層の人数で日本は世界で2位、1%の富裕層が世界の富の8割強を独占、富裕層に話題の資産運用方法が登場———。新聞やテレビ、インターネットなどで「富裕層」というワードを見聞きすることは多いですが、そもそも富裕層の定義とはどういったものなのでしょうか。
起業ブームなどで「ニューリッチ」と呼ばれる若くして財を成した新興富裕層も世界で増えている今、富裕層という言葉の意味や富裕層の割合、消費や生活スタイルなどについて基本から学んでみましょう。
富裕層の定義とは?
「富裕層」という言葉には、世界共通の年収や資産額による明確な定義があるわけではありません。一方で民間企業が公表している報告書などでは、資産額が「1億円以上」「100万ドル以上」の場合に富裕層と呼んでいることが多く、こうした額が富裕層を事実上定義付ける基準の一つになると言えるでしょう。
日本では、野村総合研究所が資産保有額別の世帯数などをまとめたレポートの中で、保有する金融資産額から負債を差し引いた純金融資産保有額が「1億円以上、5億円未満」の世帯階層を富裕層と定義しています。
フランスの首都パリに本拠地を置くコンサルティング企業のキャップジェミニ社が毎年発表している「World Wealth Report」では、居住用の住宅や収集品、消費財、耐久消費財を除いた資産が100万ドル以上ある人を、「High Net Worth Individual」(HNWI)、すなわち富裕層を定義しています。
このように、レポートによってどのような資産の合計額を対象に分類を行うかや、個人と世帯のどちらを分類の対象にするかも異なっています。
富裕層の人数や割合
World Wealth Reportの2018年版では、日本における2017年の富裕層は前年比約9%増の316万2,000人に上っているとされています。総務省の発表によれば、2017年10月1日時点の日本の人口は1億2,670万6,000人と推計されていますので、総人口に占める富裕層の割合は約2.5%ということになります。
World Wealth Reportの2018年版によると、日本の富裕層の人数はアメリカに次ぐ第2位を誇っています。アメリカの2017年における富裕層は528万5,000人とされています。ただ世界銀行がまとめた2017年のアメリカの人口3億2,571万9,000人に占める割合は約1.6%に留まり、日本の方が富裕層の比率が高くなっています。
野村総合研究所が2016年に発表した2015年のデータでは、富裕層に分類される世帯は114万4,000世帯となっています。この調査では純金融資産保有額別に5つの分類があり、富裕層は「超富裕層」(純金融資産保有額が5億円以上)に続く上から2番目の階層になっています。
超富裕層の世帯数は7万3,000世帯ですので、富裕層の世帯数と合算すると121万7,000世帯となり、全世帯数の5,290万4,000世帯に占める割合は約2.3%と算出されます。先ほど紹介したWorld Wealth Reportの約2.5%と近い数字で、概ね2%台が日本において富裕層の占める割合と言えそうです。
オールドリッチとニューリッチの定義や違い
富裕層をさらに分類するときに、「オールドリッチ層」と「ニューリッチ層」という分け方の概念があります。オールドリッチとは、元々資産がある家庭に生まれて親の財産を引き継いだ人などを指す呼び方で、ニューリッチとは起業して一代で財を成した人などのことを呼びます。
オールドリッチ層とニューリッチ層では、国や人によってももちろん差はありますが、消費傾向や生活スタイルに異なる特徴があると言われています。
ニューリッチ層は利便性などを重視して都市部に住む傾向があるとされています。また不動産や高級車への興味も薄く、保有欲がオールドリッチよりも少ないと言われることも多くあります。現在世界においては、人のスキルや休眠財産などを共有するシェアリングエコノミー(共有経済)が台頭しています。このことがビジネス感度の高いニューリッチ層に少なからず影響も与えていると言えそうです。
富裕層を取り巻く状況も変化していく
このように、資産額によって富裕層と言えるか言えないかと決めることはできたとしても、消費傾向や生活スタイルは一括りにできません。
また、各国の経済状況が富裕層の増減にも影響します。高所得者向けの税制改正などが富裕層の消費行動や資産運用の考え方に影響を与えることも覚えておきたいところです。(提供=JPRIME)
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