現在独身で、この先も一生独り身で居続けるのではないかと考えている男性も多いのではないでしょうか。今は一人で安定した生活を築けていたとしても、退職し、高齢となったときに満足した生活を送れるとは限りません。

そこで鍵となるのが、お金と人間関係の備えです。今回は、独身男性が老後を生き抜く上で何をどれくらい用意すればよいのか、各種調査結果を基に考えてみたいと思います。

独身男性で老後を生き抜くなら「お金」と「人間関係」が必須

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(写真=StockLite/Shutterstock.com)

独身のまま生涯を過ごす男性が増加しています。国立社会保障・人口問題研究所がまとめている「人口統計資料集」によると、2015年における生涯未婚率(50歳時の未婚割合)は23.37%と、全体の4分の1近くに達しています。10年前の2005年は15.96%、平成初期の1990年にはわずか5.57%であったのに比べると、近年になって生涯未婚率が大きく上昇していることが分かります。

また、一生独身でもかまわない、独身の方がよい、結婚する気がないと考える男性の割合が増加していることも分かっています。2015年に実施した「出生動向基本調査」によると、「一人の生活を続けても寂しくない」と回答したのが48.4%と、5年前の前回調査から7ポイント、10年前の前々回調査から11ポイント増加しました。さらに18~34歳の未婚男性のうち「一生結婚するつもりはない」と回答したのが12.0%となり、初めて10%を突破しました。

このように、客観的な事実として独身である男性が増えているばかりでなく、独身であることを積極的に貫き通し、その状態を是とする男性が増えているのです。

しかし一生独身を貫くつもりであれば、老後の生活をどう過ごすのか考える必要があります。特に、お金と人間関係の備えが老後を幸福に過ごすためには重要です。高齢者の生活満足度に関する要因研究によると、経済的な困窮度や近所の人との付き合い、社会活動・ボランティア活動への参加数が総合的な生活満足度に関わっています。内閣府による別の調査によると、男性の単身世帯は夫婦のみ世帯や二世代世帯などに比べ日常生活に不満を持つ割合が高くなることも分かっています。

独身男性が老後までに貯めるべきお金の目安

それでは、老後の生活を満足に送るためにはどれくらい貯めればよいのでしょうか。もちろん多ければ多いほど安心して生活できますが、まずは最低水準を知っておきたいところです。

総務省の家計調査によると、高齢単身無職世帯(60歳以上の単身無職世帯)の毎月の赤字額は4万円あまりとなっています。社会保障給付額の平均は10万7,000円ほど、そして支出額は15万円あまりです。こう考えると、毎月10万円ほどの年金を死ぬまで受給できる前提であれば、毎年50万円弱(4万円×12ヵ月)の貯金を取り崩せば生きていけることになります。20年間で1,000万円、30年で1,500万円のペースです。

もちろん、その人の置かれた状況によって必要な貯蓄額は変わってきます。厚生労働省によれば、平成28(2016)年度末における厚生年金保険受給者の平均年金月額は約14万8,000円です。毎月この程度の年金を受給し、健康でつつましく暮らすのであれば1,000万円の貯蓄がなくても生きていけるかもしれません。

しかし、自分が老齢になったときの年金制度に信頼が持てない人、将来の医療費や介護費などに不安のある人、あるいは非正規雇用で年金に期待できない人などは、万が一の事態に備えて自助努力が求められるでしょう。最低水準を1,000万円として、抱える不安度に応じて自分なりに貯蓄額の目標を定めることをおすすめします。

独身男性が再構築すべき3種類の人間関係

生活満足度に人間関係や社会参加が影響していることを踏まえて、今のうちに人間関係の構築・再構築を検討しましょう。特に、親族関係/友人・知人/ボランティア活動のつながりの3種類に分けて検討するとよいでしょう。

親や兄弟姉妹を中心とした親族関係は、血縁で結ばれた濃い関係と言えます。贈与や相続、介護などお金絡みで関わる機会もあり得るため、疎遠な相手とも連絡を定期的に取るべきでしょう。いざというときに親族を助けられる、あるいは助けてくれるという信頼感があると、お互い老後の生活安心度が変わってきます。

また近所の人を中心に、友人・知人のつながりも必要です。加えて、社会活動やボランティア活動など、職場とは別のところに人間関係を築くよう意識するとよいでしょう。調査でも「近所の人との付き合いの数」「頼れる人の数」および「親しい友人の数」において男性の方が女性より少ない傾向が明らかとなっています。

人間関係を築けず孤立してしまうと、貯蓄に余裕があったとしても生活には満足できないかもしれません。現役のうちから意識的に人とふれあい、社会の中にも関わっていく試みが求められると言えそうです。(提供:Incomepress


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