相続税とは、身近な方が亡くなり、その方の財産を引き継ぐときに支払う「税金」です。
相続税を支払うのはある程度の財産がある人ですが
「私は財産ないから大丈夫かも」
と思ってる人でも意外に相続税を支払うことがあります。
税金なので、ほったらかしにすると、脱税とみなされ罰金になることもあります。
そうならないよう、相続税に必要な6つの知識をお話します。
最後まで読むと、相続税の基本的なこと、今日からやらないといけないことが明確になりますので最後まで読んでください。
知識① 相続税って何に対してかかるの?
相続税は故人(被相続人と呼びます)が持っていた財産(遺産)に対してかかります。
被相続人名義の土地や建物、預貯金や株式などが主なものです。 細かいものを含めると、タンス預金や自動車はもちろん、骨董品などにもかかります。
ポイントは消費税のように財産1つずつに課税されないことです。 相続税は、遺産の総額にかかります。
土地が4000万円だから税率5%で、相続税は200万円…ではありません。
例えば、死亡した父が
- 住んでいた家(土地4000万円、家1000万円)
- 現金2000万円
- 株式800万円分
を持っていたら『総額:7,800万円』に税金がかかります。
相続税をいくら支払うかは、様々計算が必要になります。 基礎控除や相続人の人数を調べないといけません。
詳しく計算をすると難しいですが 次の項目にある早見表でいくら支払うかすぐ確認できます。
知識② 相続税っていくらかかるの?税理士に頼んだらいくらかかる?
支払う相続税の金額を手早く把握するなら下記の早見表で確認しましょう。
相続人に配偶者・子がいる方は、(1)の図を 相続人が子のみの方は(2)の図を見てください
(1)相続人に配偶者・子がいる方の相続税早見表 例えば、相続人が配偶者(夫・妻)と子供1人、遺産総額が5,000万円であれば、相続税は40万円となります。
(2)相続人が子のみの方の相続税早見表 例えば、相続人が子供1人、遺産総額が5,000万円であれば、相続税は160万円となります。
税理士に頼んだらかかる費用
税理士に相続税申告を依頼してかかる金額の相場は、遺産総額の0.5%~1%です。
例えば、あなたが5,000万円の相続をしたら、25万~50万円の報酬を支払います。
知識③ 相続税申告って必ずやらないといけない?
誰であっても”基礎控除”を超えたら絶対に相続税申告*をしないといけません。
*相続税申告とは…相続税の納税と申告書(書類)の提出、2つを指します。 被相続人の死亡の次の日から10か月以内に申告し、現金一括払いで納付します。
基礎控除とは、全員が使える割引券のようなものです。 割引券(基礎控除)を使って、遺産総額が割引以下であれば、税金タダになります。
例えば、遺産総額が3,000万円、基礎控除が3,600万円だったら
遺産総額 < 基礎控除
なので、税金タダ・相続税を一切払わなくて大丈夫です。
逆に
遺産総額 > 基礎控除
になると相続税払わないといけません。
基礎控除は国税庁が決めた下記の算式で求めます。
「3000万円+600万円×法定相続人の数」
■■法定相続人って?■■ 相続人(財産を受け取る人)のことです。
「法定」がつくと難しく感じますが、あまり気にしないでください。
相続人は、配偶者(夫・妻)、子供です。
兄弟も相続権はありますが、配偶者と子供がいれば、遺言書に記載がない限り相続はできないと考えてください。
知識④ 相続税申告しなかったら、どうなるの?
罰金を支払います。 これは、相続税申告をする(遺産総額が基礎控除を超えた)方が対象です。
相続税申告しなくていい(遺産総額が基礎控除内)方は、納税も書類提出も不要なので、何もしなくても問題ありません。
相続税申告は申告期限(被相続人が死亡した日の翌日から10か月以内)があります。 それまでに申告しなければ、罰金を支払います。
罰金は定額ではなく、ほとんどが率で定められています。
例えば、相続税500万円支払う方が期限内に納付しなかったので15%増し(575万円)で支払うといったものです。
また罰金は種類があります。
- 申告をしなかった
- 期限内に納付しなかった
- 納付金額が少なかった
どういった申告をしたかによって、罰金の重さは変わってきますが 「ウソをつく」と一番重い罰金を科されます。
例えば、財産を隠すといったウソをつくことです。
これら罰金は専門用語でいうと 無申告加算税、過少申告加算税、延滞税、重加算税といいます。
知識⑤ 申告書はどこに、どうやって提出するの?
税務署に提出します。
注意点は、税務署であればどこでもいいわけではありません。 亡くなった方が死亡時に住民票を置いていた住所地を管轄する税務署に提出します。
例えば死んだ父が住民票を東京の江戸川区に置いていたら、東京の江戸川区を管轄する税務署に提出します。
それ以外の税務署では受理してもらえません。
提出する際は窓口に直接持っていくことも、郵送することも可能です。
知識⑥ 申告書の他に何を提出すれば良いの?
戸籍や謄本など、相続人や財産に関係する資料を提出します。
資料は、どのような財産を相続したかによって異なります。
例えば土地を相続した場合であれば登記簿謄本、預貯金や株式を相続した場合であれば各金融機関が発行する残高証明書など必要になります。
具体的に資料をピックアップすると・・・
・・・・贈与税に関係する資料など他にも多数ありますが、集めるべき資料は国税庁のHPで確認、税務署に電話で聞く、税理士に聞く、といった方法をとったらいいでしょう。
取得する資料によっては発行までに時間を要するものや、発行する条件が厳しい(被相続人と取得者の関係性を証明する資料を提出する必要がある、など)ものもあります。
相続する財産や適用する特例によって何を取得するべきかを事前に把握し、時間に余裕をもって収集する必要があるでしょう。
【まとめ】最初に何をしたらいい?
相続税を支払うべきかどうかを調べましょう。
相続税の支払い有無を知ることがスタートです。
そのためにやるべきことは2つです。
(1)遺産総額を把握する (2)遺産総額が基礎控除額を超えているかどうか確認する
(1)遺産総額を把握しましょう
土地、現金、株式…亡くなった方の家を整理しながら、財産を整理していく必要もあります。 箪笥の中に現金はないか、銀行に預け金はいくらあるのか、家族が知らない土地を持っていないか。 固定資産税評価証明書なども見ながら、財産をリストアップします。
(2)遺産総額が基礎控除額を超えているかどうか確認しましょう。
基礎控除額の計算式は下記です。 あてはめて計算しましょう。
基礎控除額 = 「3000万円+600万円×法定相続人の数」
例えば相続人が二人(妻・子1人)だったら基礎控除額は4,200万円になります。
もし遺産総額が4,200万円以上だったら、相続税申告は必要です。
遺産総額が4,200万円より下であれば、相続税申告は不要です。
最初にやるべきステップが終了しました。 ここで相続税申告が必要だとわかった方のみ、次をお読みください。
もしわからなくても問題ありません。 次の項目で解決策をお話させていただきました。
相続税申告をする人がやるべき2つのこと
相続税申告、具体的に何をしたらいいかわからないことだらけだと思います。
そこで、まずは税務署に電話しましょう。 概要や一般回答は教えてくれますので、より詳細に何をしたらいいのかわかると思います。 ただ個別具体的なアドバイスや節税方法は教えてくれません。
ある程度聞いたら手詰まりになりますので、次に税理士に話を聞きましょう。
ここで注意があります。 必ず『相続専門』の税理士に話を聞いてください。
税理士であっても専門があります。
相続専門ではない税理士に相続税申告を依頼するということは 例えるなら、風邪を診てくれるお医者さんに、脳の手術を依頼するようなものです。
同じ医者でも、専門が違うので、専門の先生に診てもらいますよね?
安全に申告をするためにも、必ず相続に精通した税理士に聞きましょう。
相続に強い税理士を選ぶにもポイントがあります。
詳しくは「相続税申告の税理士報酬・相場の実態と税理士選びのポイント」に載せています。
税理士に話を聞く、頼もうとなんとなく考えている方は、必ず見てください。(提供:税理士が教える相続税の知識)