相続財産の中で多くの割合を占める不動産。2016年の相続税の申告状況を見ても相続財産の金額のうち土地については38.0%と、相続財産の中で一番多くの金額を占めています。通常の土地活用を考えた場合、形が良い整形地のほうが形の悪い不整形地よりも使い勝手がよく、同じ面積であれば整形地のほうが取引価格は高くなり、不動産の価値も高くなる傾向です。

相続財産としての土地の評価方法も同様で、同じ面積であれば形の良い土地のほうが評価額は相対的に高くなります。しかし、どのような方法で評価をし、どのような形の土地の評価額が高くなり、安くなるのでしょうか。今回は相続財産としての土地の評価方法について、土地の形によって変わる評価の方法を中心に解説します。

相続財産としての土地の評価方法

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(写真=aimful/Shutterstock.com)

相続財産としての土地の評価は「土地及び土地の上に存する権利の評価明細書」を使って行います。まずは、該当地について自用地・貸家建付地・借地権などの「利用区分」を決めていきます。これは自宅・アパート・更地・駐車場・借地権など、「どのような利用形態がとられていたか」によって決まるものです。次に、高度商業地区・普通商業地区・普通住宅地区などの「地区区分」を確定させます。

これは「該当地がどのような地区にあるのか」によって変わってきます。今回は、「普通住宅地区」の内容に沿って解説していきます。この後に、土地の大きさや形状などによって評価額を増減する計算が行われますので、その内容を順に見ていきましょう。

土地の形状等によって評価額が減額できる

まず、該当地の奥行き長さが12メートル未満・32メートル以上の場合、「奥行価格補正率(0.80~0.97)」を掛け評価額を減額します。これは、奥行きが極端に短い・長い土地は使い勝手も悪いため、その分評価額を下げましょうという補正になります。
次に、2~4路線に面している土地については、奥行価格補正率に「側方(二方)路線影響加算率(0.02~0.03)」を掛けて、評価額がプラスされます。
これは、いわゆる「角地」や複数の道路に面している土地については使い勝手も良いため、その分評価額を上げましょうという加算になります。
複数の路線に面している土地についてはさらに、間口の長さが6メートル未満の場合、「間口狭小補正率(0.90~0.97)」、「奥行距離/間口距離」の数値によって「奥行長大補正率(0.90~0.98)」を掛け、評価額を減少できます。これらの補正は、奥行・間口の長さによって評価額を減額させるものです。

この後に土地の形状、該当地が整形地に対してどれくらいの割合で不整形となっているのか「かげ地割合」を求めたうえで、「不整形地補正率(0.60~0.99)」を掛けて評価額を下げます。。なお、土地の奥行・間口については個人でもある程度判断できますが、こちらの補正率については個人で求めることは困難ですので、不動産の専門家や税理士に計算を依頼する必要があります。

さらに、三大都市圏では500平方メートル、それ以外の地域では1,000平方メートル以上の「地積規模の大きな土地」については、「規模格差補正率(0.80~0.95)」を掛けて評価額を下げます。こちらは従来の「広大地」の評価に代わり新設されたもので、2018年1月1日以降の相続に適用されています。地積の大きな土地については売却を考えた場合、個人では価格が高くなり買い手が付かないため、分譲・開発等を行っている業者に売却することが想定できるでしょう。

その場合、通常の土地よりも開発のためも費用がかかるほか、道路などの公共用地として使用する部分もあり、業者はこれらの点を考慮して買取価格を決めることになります。そうなると、1平方メートルあたりの価格が通常よりも低くなってしまうことも考えられるでしょう。そのため、地積の大きな土地についてはこのような評価減の補正率が設けられているのです。

ほかにも「がけ地」がある土地や建築基準法の道路に2メートル接していない「無道路地」、土地のうち「私道」として利用されている部分やセットバックが必要な部分については、それぞれ評価額を減少することができます。

生前に確認することで相続対策にも活用できる

このようにさまざまな要因で評価額が増減することになります。自身で調べられるものもありますが、中には判断が難しいものもありますので、該当地の相続税評価額がいくらになるのかは、土地の評価に詳しい専門家に依頼をしたほうが賢明です。

また、土地の所有者が生前のうちに評価額を試算しておくことで、「この土地は相続後に売却して納税資金に充てる」「この土地はこのまま引き継ぎ有効活用をする」といった判断をすることもできます。「不整形地」に該当しそうな土地や、地積が大きい土地・複数の土地を所有している場合には、一度専門家に評価を依頼してみると良いでしょう。(提供:相続MEMO

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