2018年の最終週が始まり、米国株式市場は本格的弱気相場入りを目前に波乱の展開が予想される。トランプ米大統領による減税施策によって、2018年序盤では株式市場は恩恵をうけて上昇していたが、現在では金融危機を招きかねない市場環境になっている。
そして、トランプ米大統領が今年作った問題はすぐにでも解消されるようなものではないと考えられている。最新のニュースとしては、暫定予算執行に伴う一部政府機関閉鎖や、パウエルFRB議長更迭の不安が市場を覆っている
先週のダウ平均は大きく下落し、約10年で最大の下落幅だった。また、ナスダック総合指数は、最高値から22%下落し弱気相場入りしている。
この世界同時株安の不明瞭な環境の中で、株式市場はホリデーシーズンで下押し圧力が依然として強い。以下は各自の進展によって動きがありそうな3銘柄である。
1. Apple
米国株式が弱気相場入り目前の中で、一時時価総額世界一だったアップルの株価のテクニカルシグナルは危険信号を発している。
アップル株は10月に233ドルの最高値を記録していたが、先週の同株は150.73ドルとなっている。最高値から35%の下落であり、これはダウ平均株価に上場している中でもっとも下落している株の一つとなっていた。そして、同株はさらなる下落余地を残している。
テクニカル的には、アップル株は50日の移動平均線が200日の移動平均線を下抜けし、デットクロスを形成しており、さらなる下落を示唆している。
また、アップルはクアルコムとの法廷論争というファンダメンタルがある。12月10日の中国の福建省の裁判所や、また20日のドイツではミュンヘンの裁判所で、アップルは特許を侵害しているとしてクアルコムが勝訴し、iPhoneの販売差止命令が出されている。
ドイツではアップルは上訴をするとし、その間にiPhone7とiPhone8が販売差止される。
2. JD.com
中国で2番目に大きなeコマースのJD.comは先週の金曜日に大きく上昇した。背景にはミネソタ州ミネアポリスの検査圧当局は21日、性的暴行の容疑で逮捕されていたJD.comの劉強東CEOの訴追を見送るとしたことが上げられる。
劉CEOの逮捕以来JD.comは売り圧力がかかっていた。中国では、彼は中国のeコマースで最も成功した先見者として崇められている。
JD.comのサイトでは「この決定を嬉しく思う」と記載していた。金曜日、JD.comのADRはこの報道を受けて5.9%上昇し21.08ドルとなった。しかし、劉CEOが逮捕される前の株価の29.43ドルと比べると、その差は依然として大きい。(24日終値は19.75ドルとなり上昇前の水準まで戻っている)
3. PG&E
2018年11月8日に起こった米カリフォルニア州の北部とロサンゼルスの北東での大規模な山火事は、大手電力会社のPG&Eの設備不具合(送電線の故障)による出火の可能性が指摘されており、先週金曜日に同株価はさらに下落した。
カリフォルニア州公益事業委員会(CPUC)は、PG&Eの同委員会の役員を解任を考えていると述べている。CPUCはPG&Gに対してどのような処分をするか決定していない。
現在では22.75ドルで取引されている。(追記:24日終値23.15ドル)今回の山火事「キャンプファイア」を巡って、PG&Eの株価は約半分まで下落している。キャンプファイヤでは州史上最悪の犠牲者を出してしまった。また同社が原因とされる山火事は今回が初めてではなく、去年の10月のナパやサンタローザで起きた山火事についても原因の責任が問われており、同社は巨額の損害賠償を抱えている。(提供:Investing.comより)
著者:Investing.com