要旨

●年末にかけて税制改正大綱や予算案が閣議決定された。複雑化している家計向けの負担軽減策について、公表情報をもとに可能な限り網羅的に向こう数年間のスケジュールと規模感をまとめ、家計の所得への影響を試算した。

●年度毎に見ると、マクロの家計負担額は増税影響が半年に留まる2019年度1.1兆円、その後は2020年度2.2兆円、2021年度2.4兆円、2022年度2.5兆円となる。これを基にすると世帯あたりの家計負担は2019年度2.0万円、2020年度4.0万円、2021年度4.4万円、2022年度4.7万円と試算された。

●増税分5.7兆円と比較すれば、全般的に家計の負担は相当抑えられることになる。一方で、数多くの家計還元策はそれを全てカバーする性質のものではなく、年間2兆円程度の家計負担増が2019年10月以降生じることになる。2019年10月以降の個人消費には、実質所得の低下による下押し圧力が生じよう。

家計
(画像=PIXTA)

経済対策、家計向け措置を総まとめ

 年末にかけて2019年度の税制改正大綱や予算案が閣議決定された。今回の予算編成は2019年10月の消費税率引き上げに向けた経済対策が主軸となっており、数多くの施策が行われることが決定した。

 2019年度以降、教育無償化やキャッシュレスポイント制度、国土強靭化関連の公共投資など、多くの政策が実施されるが、以下ではその中でも複雑化している家計向けの負担軽減策について、公表情報をもとに可能な限り網羅的に向こう数年間のスケジュールと規模感をまとめ、家計の所得への影響を試算した。

 家計への還元策は期限が定められて行われる時限措置と将来に亘る恒久措置の2種類が行われる。時限措置は消費税率の引き上げと同時に実施され、増税の負担を緩和する。その後は徐々に期限終了を迎えていくことで緩やかに家計負担が増えていくことになる。今回の試算では、2019年10-12月の家計負担額(年換算)に関して、2019年10月の消費税率引き上げによって生じる家計負担額5.7兆円(年換算)が、一連の家計への還元措置によって2.1兆円(年換算)まで縮小する結果となった。その後は時限措置が段階的に縮小していくことで、2022年度には年2.5兆円の負担となる。

 年度毎に見ると、マクロの家計負担額は増税影響が半年に留まる2019年度1.1兆円、その後は2020年度2.2兆円、2021年度2.4兆円、2022年度2.5兆円となる。これを基にすると世帯あたりの家計負担は2019年度2.0万円、2020年度4.0万円、2021年度4.4万円、2022年度4.7万円と試算された。

 増税分5.7兆円と比較すれば、全般的に家計の負担は相当抑えられることになりそうだ。一方で、数多くの家計還元策はそれを全てカバーする性質のものではなく、年換算2兆円程度の家計負担増が2019年10月以降生じることになる。2019年10月以降の個人消費には実質所得の低下による下押し圧力が生じよう。(提供:第一生命経済研究所

消費税・負担緩和措置の家計への影響
(画像=第一生命経済研究所)
消費税・負担緩和措置の家計への影響
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消費税・負担緩和措置の家計への影響
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消費税・負担緩和措置の家計への影響
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第一生命経済研究所 調査研究本部 経済調査部
副主任エコノミスト 星野 卓也