年金手帳は、「何となく大切なもの」という認識はあるかもしれません。しかし、「年金保険料は支払っているけれど手元にはない」「会社に預かってもらっていると思っていた」など正しい扱いがいまいちわからないという人も多いでしょう。今回は、年金手帳の基礎知識や保管方法、紛失した場合の手続きなどについて解説します。
年金手帳とは?
日本国内に住んでいる20歳以上60歳未満は国民年金の被保険者です。年金の加入時(20歳)に手続きをすることで渡されるのが「年金手帳」で、年金の被保険者であることの証明書となります。ただし、20歳のときに厚生年金(会社員)に加入している場合は、会社で手続きをしてもらい、会社に年金手帳が届けられるのです。共済年金に加入の方(主に公務員や私立学校の教職員)は、年金手帳の代わりとして「基礎年金番号通知書」が交付されています。
年金手帳には、「基礎年金番号」が記入されており、将来年金を受け取ったり年金記録を確認したりするときに必要です。「基礎年金番号」とは、年金記録を管理する番号で国民年金・厚生年金・共済年金など共通の「1人に1つ付与される番号」で1997年1月に導入されました。10桁の数字で、4桁と6桁の組み合わせになっています。手元に年金手帳がある方は、大切に保管しておきましょう。
年金手帳の色は、加入時期によって違う
年金手帳が交付されるようになったのは、1974年10月以降のことです。それまでは、下記のようになっていました。
・厚生年金の方
「厚生年金被保険者証」(1954年5月~1974年10月に厚生年金の被保険者資格を取得)
・国民年金の方 「国民年金手帳」(1960年10月~1974年10月に国民年金の被保険者資格を取得)
しかし、加入する年金によってバラバラだった被保険者証が「年金手帳」によって一元化されたのです。その後、加入する年金によって異なる番号で管理されていた被保険者記録を簡素化するために、「基礎年金番号」の導入にいたります。これによって、転職や結婚などで加入する年金が変わっても照合が容易になりました。
このように、年金制度の改正などで年金手帳の色も変わっています。1974年11月~1996年12月に被保険者資格を取得された方は、年金手帳がオレンジ色、1997年1月以降の方の年金手帳は青色です。
こんな場合は要注意!2つのパターン
基礎年金番号が「99」から始まる
年金手帳などに書かれている基礎年金番号が「99」から始まっている方は、基礎年金番号を複数持っている可能性があり、保険料を二重に納めてしまう恐れがあります。これは、年金加入時に会社へ年金手帳を提示しなかったことなどが理由で、すでに持っている基礎年金番号が確認できるまで仮の番号として与えられたためです。
「基礎年金番号確認のお願い」という案内が届いた場合も、基礎年金番号に不具合がある可能性があります。最寄りの年金事務所に相談してみましょう。
年金手帳を2冊以上持っている
また、年金手帳を2冊以上持っている場合も手続きが必要になることがあります。まずは、年金手帳にある基礎年金番号が同じかどうかを確認してください。すべての手帳に書かれている番号が同じであれば、再発行などをして複数になってしまっただけだと考えられるので、どれか1冊を保管しておけば大丈夫です。
もし、番号が異なる場合は、厚生年金に加入されている方は勤務先に、それ以外の方は最寄りの年金事務所に、すべての手帳を持って手続きをしてもらってください。
年金手帳は会社に預けるもの?
年金手帳の扱いは会社によって異なります。基礎年金番号が必要になるときは「入社して厚生年金や共済年金に加入するとき」「退職して国民年金に加入するとき」「住所や氏名が変わったとき」などです。会社に勤務している場合は、氏名変更などがあるたびに会社へ年金手帳を持参し、返却してもらうようになりますが、誰が持っているのかが分からなくなり、紛失の原因になることもあります。
そのため、入社時に会社へ提出して保管してもらい、退職時に返却という形の会社もあるようです。個人で管理する場合は年金手帳を紛失しないように、会社で保管してもらう場合は退職時に返却忘れのないように気を付けましょう。
万が一、年金手帳を紛失したら?
年金手帳をなくしてしまった場合は、再発行をすることが可能です。第3号被保険者(国民年金加入者)は市町村役場、それ以外は年金事務所に「年金手帳再交付申請書」を提出することで、後日郵送されてきます。気付いたら早めに手続きしましょう。年金手帳に書かれている「基礎年金番号」で年金記録は管理されていますが、一般的に転職や結婚、裁定請求などの手続きが必要になるときしか見る機会はありません。
毎年誕生月に届く「ねんきん定期便」も支払った保険料や加入期間など、年金記録を確認できるため重要な書類です。「ねんきん定期便」が2通届いた方も、基礎年金番号が2つになっている可能性があります。保険料を必要な分だけ納めて、正しい年金額をもらうためにも年金手帳を大切に扱い、年金の仕組みに興味をもっていきたいですね。
文・冨士野喜子(ふじのFP事務所)/fuelle
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