「新天皇即位」+「消費増税」

株式新聞,ベビーブーム
(画像=PIXTA)

少子高齢化に苦しむ日本では、出生数が3年連続で100万人を割り込み昨年は92.1万人(前年比2.5万人減)にとどまった。一方、今年は新天皇即位に伴う祝賀ムードと、財政健全化につながる消費増税が重なる「当たり年」。まさかのベビーブーム到来を予想する向きもあり、株式市場でも関連銘柄をハヤす動きが強まることが考えられる。

15~49歳の女性の年齢別出生率の合計で、女性が一生に産む子供の数の指標である「合計特殊出生率」。日本では1970年代後半に2.0を割り込み、2000年代の序盤にかけて低下基調が続いた。その後は05年の1.26で底を打ったものの、直近の17年も1.43にとどまり、出生数の減少を招いている。

他の先進国の出生率は、米国1.77、ドイツ1.60、フランス1.92。日本は相対的に低く、高齢化も深刻だ。背景には経済の低成長や万全ではない育児環境、若者が抱く将来への不安などが指摘される。政府は25年度末までに出生率を1.8に引き上げる目標を掲げているが、ハードルは極めて高い。

だが、今年はそうした見方を少し修正する必要があるかもしれない。ポイントの一つが皇太子さまの即位(5月1日)だ。

過去の出生率・出生数の推移をみると、皇太子さまがご成婚した翌年の94年に大きく上昇していることが分かる。世間的な祝賀ブームが影響したともみられ、天皇陛下の生前退位に伴う改元は同様の効果をもたらす可能性がある。

もう一つは、10月1日の消費税率の8%から10%への引き上げ。増税は景気に逆風となる一方で、国の財政にとっては好材料。福祉制度を拡充する原資にもなる。前回の14年4月の5%→8%の消費増税を受けた15年は、出生率が1.45(前年比0.3ポイント増)に高まり、出生数も5年ぶりに微増に転じた。

こうした中、最近話題となったのが「大真面目なびっくり予想はベビーブーム到来」と題した大和証券の11日付リポート。執筆した木野内栄治チーフ・テクニカルアナリストは、既に若者の所得が向上している都市部ではベビーブームが発生していると指摘。有効求人倍率は全国で上昇しているため、所得向上とベビーブームの動きが全国に広がることを予見している。

国策としても、高齢化と人手不足の問題は喫緊の課題だ。スウェーデンの合計特殊出生率は1.85と日本を大幅に上回るが、充実した育児休業制度など子育てをサポートする環境に優れている。

専業主婦の割合が4割近い日本に対し、わずか2%のスウェーデンに学ぶのであれば、女性が子供を産んだ後も安心して働ける体制づくりが欠かせない。政府は今年10月からの幼児教育・保育の無償化を決めたが、待機児童対策など課題は依然多く、月内に召集される通常国会などの場で議論を急ぐ時だ。

株式市場では、改元に絡んで婚礼関連株に思惑買いが波及するなど、新潮流を先取りする動きが既にある。今後も保育施設や育児用品、教育、さらには不妊治療などへの関心が高まる可能性がある。

株式新聞では特に、リソー教育(4714)、ネットマーケティング(6175・(2))、幼児活動研究会(2152・JQ)、ピープル(7865・JQ)、トランスジェニック(=トランスG、2342・M)の5銘柄に注目している。リソー教育、幼児活動研究は教育サービス、ネットマーケは婚活アプリ、ピープルは知育玩具を展開する。

また、不妊治療の基礎研究において、生物の遺伝子を自在に改変できる「ゲノム編集」の技術を人の受精卵に施す試みがこの春始まる。トランスGは同分野に絡むほか、不妊治療の早期化を促す卵巣年齢測定法を研究している。(1月18日株式新聞掲載記事)

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